【アイドルの恋愛は法で裁かれるか?】東大最優秀集団・東大法学部生の”ガチ”が詰まった模擬裁判劇【五月祭目玉企画】

2017.05.18

ゆみ

みなさんこんにちは、わたし(文三出身・後期教養)はどうやら“東大法学部生”を舐めていたようです。

法学部生を中心とする「東京大学法律相談所」なる団体が、五月祭で毎年「模擬裁判劇」を上演しているって知っていました?

私はこれを知った時に、「まーた模擬裁判とかお固いものを…法学部生は祭りでも真面目なことがやりたいんか!」と思っていたんですよ。

でも、UmeeTの陰謀で取材することになったので、その練習を見に行かせてもらったんですね。

そしたら……

左端緑シャツの人「もっと声張って!背筋伸ばしてぇぇぇ!!」

えええええええええええ?!めっちゃガチじゃん。怖いじゃん。スパルタじゃん。ちびるわ……。

すごい本気で演劇練習してましたのよ。あの、常に膨大な課題に苦しんで勉強ばかりしてると噂の東大法学部生が(とんだ偏見)。しかもこれを放課後3時間やってるんですって。

「宿題とかやんなくて大丈夫…?」とすごい低レベルな質問が湧いてきましたよ。

しかも、

「音響照明など裏方仕事もすべて自分たちでやっています」
劇中に使われる判決文は東大法学部OBの法律関係の実務家がチェックしてるんです

と強そうなワードがどんどん飛び出すじゃないですか!

もうここまででも「東大法学部生の模擬裁判劇」の本気具合に打ちのめされているんですけど、さらに話を聞いていきますよ。
法学部生の恐ろしさを知らない東大生の皆さん、やつら何に対してもガチです。

覚悟しましょう。

  1. 団体名:東京大学法律相談所
  2. 年齢:70歳。※設立してから今年で70年目。
  3. 経歴:法学部生の3分の1が所属する、東京大学法学部最大のコミュニティ。3、4年生合わせて200人が所属。普段の無料法律相談活動に加え、五月祭では毎年1000人以上を集客する目玉企画「模擬裁判劇」を安田講堂にて行う。ホームページ:http://ut-hoso.org/

今年は「アイドル恋愛禁止条項」についてブッコミます。

最初にお話を伺ったのは、今回の模擬裁判劇総責任者、成田旭宏さんです。最初にあえてラスボスに立ち向かう勇気ね。

実際はすごい優しい方です。ラスボスっていうよりヒントをくれる仙人キャラです。

Q.今年の模擬裁判劇について、私でもわかるように教えてください!

成田さん「模擬裁判劇は、民事事件と刑事事件を1年ごとに交互にやってるんですけど、今年は民事なんですね。

で、今年は民事事件として、「アイドルの恋愛禁止条項」をテーマに設定しました。

主人公は、ある芸能プロダクションに所属する女性アイドルで、彼女はある男性ファンと交流を重ねていくのですが、その男性が「女性アイドルと付き合っていた」とマスコミに流し、芸能プロダクションの社長は恋愛禁止を定めた契約に違反したとして彼女を解雇してしまうというあらすじです。

模擬裁判では、交際事実があったのか、また女性アイドルに禁止される「恋愛」とは何なのかを争点に、解雇が認められるかのどうか、判決を下します。」

すごい簡潔に説明してくれたわ。ていうか、めっちゃ面白そう。

実はあのミスコンのしのりなさんも出演されています!!

Q.テーマはどうやって決めているんですか?

成田さん「その年にあった印象的な事件を何個か候補に出して選んでいます。

去年は、刑事事件を扱って、児童虐待がテーマだったんですけど、シングルマザーの母親が子供をベランダから突き落としたかどうかが争点でした。刑事事件って、「突き落としたか、突き落としてないか」なので、見ている人にもわかりやすいんですね。

でも、民事事件は、普段法律に縁遠い人からしたら、契約とかが争点なので、結構難しいのかなって

なのでわかりやすくキャッチーなテーマがいいねってなって。アイドルになりました。

メディアで過熱報道もあったし、アイドルってある種マイノリティで、そうした少数者の人権として扱うのも面白いかなって。

執行部があって、そこで投票して決めるんですよ。あと、法学部OBの実務家の方に、これ劇として成り立つかとか聞いて。あと、4人いいキャストが揃うのかとか。」

さすが民主主義が徹底されています。独裁じゃない。

結末はキャストも知らない

成田さん「有罪か無罪か劇の終わるギリギリまでわからないようになテーマにするのもポイントです。

実際の事件とまるっきり一緒にすると結果が見えてしまうので、あまり面白くない。だから、判例があまりないようなテーマに挑戦しています。

だから、法学部OBの法律関係の実務家の方に聞いても、「有罪か無罪かわかんないねー…」って言われたりするんです。」

いわば法律のプロでも判断できないとか難問すぎじゃない?法学部生頑張りすぎだよ。

成田さん「あと、実はキャストの人たちも結末を知らないんです。

にこやかに爆弾を落とす成田さん。

当たり前のように言ってるけど、え!?

成田さん「判決文は、裁判官パートの人たちが書くんですけど、キャストは、内容を知らないんですよ。

本番の劇の最後に判決文が朗読されて初めて、彼らも結末がわかるっていう。

判決文のあとに映像が流れるんですけど、原告が勝ったバージョンと負けたバージョン、両方撮ってあります。

でも、どちらが流れるかは本人たちもわからない。

この模擬裁判劇、ガチですよ。

キャストの方も「どっち勝つんだろう…」て思いながら日々練習しているのか…。

裁判官パートに口が軽い人いたらどうするんですか?!「そんな人はいませんね」愚問でした…(完敗)

Q.裁判官パートと話が出ましたけど、いろんなパートに分かれているんですか?

成田さん「そうです。キャスト、映像、裁判官、シナリオ、パンフレット、宣伝、音響・照明、交流会の8つのパートで構成されています。

各パートにチーフと呼ばれるリーダーがいるんですが、総責任者の僕はその8パートを総括する感じですね。」

全部 Made by Hougakubuなんですね!!すごい!(ダサい表記しかできない私の語彙力。)

翌日は、司法試験予備試験?!

Q.劇も本格的に練習して、シナリオも自分たちで書いて、正直めちゃくちゃ忙しくないですか?

成田さん「確かに、いまは忙しい時期ですね。4年生は就活もあるし、公務員試験を受ける人もいますし。

あと、模擬裁判劇翌日の5月21日って、司法試験の予備試験があるんですよね。」

はい、爆弾どーん

ええええええええええそれって、やばそうじゃん。(司法試験をあんまり知らないからよくわかんないけど、響きやばそう。)

成田さん「予備試験っていうのは、それを通ったら司法試験が受けれますっていうもので。

1年に1回しかないし、大変っちゃ大変ですよね。でも裁判官パートの人は約半数は受けますよ。

私が馬鹿でした!就活一本で忙しいとか言ってて、ごめんなさい!

それか、これはあんまり大声では言えないんですけど、もしかしてサイボーグを見つけてしまったのかもしれませんだって、同じ人間でここまで差でる?! 一体この団体はどんなやつらの集まりなんだ…(ゴクリ)。

Q.この模擬裁判劇を主宰している「東京大学法律裁判所」っていうのは、どういう団体なんですか?

成田さん「法学部3、4年生合わせて200人くらいが所属していて。法学部では最大のコミュニティですね。普段は無料で週3回法律相談を行っています。

今年で72期目で、模擬裁判自体も69年目になります。

我妻先生っていう法学部の偉い先生が戦後間もなく作った団体で。「医学部に東大病院があるように、法学部には法律相談所を」って考えられたみたいで。学問的研鑽と地域社会への貢献ていう2つを目的に生まれました。」

なんか崇高。

成田さん「あと、大きい団体なので、ゆるく活動できるのも魅力かなあと思いますね。

Q.ゆるくなくないですか?!?(思わず声が震える)

成田さん「まあ模擬裁判はゆるくないですけど、普段は他の活動もやってるので。自由参加だし。

年に一回地方に行って、地方で法律相談するっていうイベントとかもあったり。去年は高知、今年は富山に行きます。京大にある法律相談所とも年に一回交流してて。普段の法律相談活動のコミットの仕方も自由ですし。

模擬裁判は、200人でがっつり取り組みます。新しく入った3年生に仲良くなってもらうっていう新歓の意味合いもありますしね。

4年生としては、3年生に、模擬裁判をやって、「おもしろいな」とか、「このメンバーでもっと活動したいな」って楽しんでもらえるようにと思っています。」

いいリーダーですね。成田さん優しいし、確かに劇練習はスパルタでも楽しめそう。

主演女優、将来の夢は弁護士です

お次は、今回アイドル役で主演女優を務める草田里美さんにお話を伺います。

UmeeTのカメラマンも明らか多めに草田さんの写真撮ってましたよ(告げ口)。素敵な方です!

Q.草田さんが模擬裁判劇に出てみようと思われたのは何でなんですか?

草田さん「1年生の時に所属していたゼミ(川人・山下ゼミ)は毎年駒場祭で模擬裁判やるんですね。そこで1年生のときにキャストをやっていて、二年生では演技責任者を務めていました。

五月祭の模擬裁判劇も、「ぜひ安田講堂でできるなら」と思って、今回応募しました。」

模擬裁判劇界のベテラン

草田さん「あと、演劇がもともと好きで、劇団とか宝塚を観ていたんですけど、将来弁護士志望なので、模擬裁判もやってみようと。」

弁護士志望!なってくれ、なってください、草田さんみたいな優しく聡明な弁護士いたら、お願いしたいです。(何を?)

Q.法学部の授業とか忙しいですよね?

草田さん「私は法学部ではないんです。教育学部なんです。文三からで、進振りで点数が足りなくて…」

やっと仲間を見つけた。文三からって本当どこの学部行くのも大変なんだよ!!!!

草田さん「でも、将来弁護士志望なので、あきらめたくないなって思ってだから、法学部の授業を受けたりしています。

草田さんの人間性に惚れてまう

草田さんはすごいよ。仲間とか一瞬でも思ってしまって申し訳ない気持ちだよ。

Q.弁護士を目指す上で、模擬裁判劇が活きてるところってありますか?

草田さん「原告を演じてみて、誰かを訴えるってこんな感じなんだな、本当に敵になっちゃうんだな」って原告になった人の気分を疑似体験できるのは活きてくると思います。

あと、裁判の中身の順序は実際のものと同じなので、勉強になります。」

Q.今回女性アイドルを演じる上での苦労はありますか?

草田さん「演じるアイドルが、「まだ高校生で純朴で大人しい子」っていう設定なんですが、私は逆でけっこうガツガツしているような性格なので、それをどう表現するかっていうのが、難しいですね。

あと、アイドルのダンスが大変でした。

映像で、アイドルグループのライブシーンがあるんですけど、私以外のメンバーはみんなダンス経験者で。

私は、踊るのは小学6年生のフォークダンス以来だったんで。

草田さんのフォークダンスも見てみたいです(もうファン)

映像の中で踊ってる草田さん、見たいですね。フォークダンス以来と思うと感慨深いものが見てる側もありますよね。(ない?)もちろん、草田さんの迫真の演技も注目です!!

シナリオ作りは半年がかり!

次は、脚本家の青木健太朗さんにお話を伺います!

成田さんが全幅の信頼を置く脚本チーフ青木さんです

Q.学生のクオリティを超えてる感じがするんですけど、1人で書いてるわけではないですよね?

青木さん「脚本パートは、少数精鋭で、6人で構成されています。

僕を除いた5人に各シーンのシナリオを書いてもらって、できあがったものを僕がチェックします。」

Q.シナリオ作成の過程を教えてください!

青木さん「だいたい五月祭の半年前くらいから、テーマを決め始めます。

去年の12月頃から、まず、30個くらいテーマ候補を出します。そこから12個くらい選んで、協力してくれている法学部OBの方に出して、それでまた5、6個にしぼって、執行部15人で投票して決める感じですね。テーマ決めには約1ヶ月かかりました。

テーマが決まったら、そこからストーリーを決めていく。法学部OBとメールし合って、法律的に成り立つかどうか相談しながら、ストーリーの土台を固めていきます。」

Q.シナリオをまとめる上で大変なことは何ですか?

青木さん「各幕のシナリオを書く人が必ずしもすごく法律に詳しいというわけではないんです。そりゃ法学部だからある程度は知ってるけど、法律のプロではないので。

そうすると、裁判官パートの学生とか、OBの実務家の方に手伝ってもらいながら、シナリオの法律に関係する部分を固めていきます。

で、やっとシナリオが落ち着いたと思ったら、裁判官パートから、「ここ違くない?これって法律的にあってるの?」って指摘されるという。固めては作り直し、固めては作り直しの作業が大変でしたね。」

「固めては作り直し、また固めては作り直し…」もう青木さんの手が物語ってますもん

東大法学部生の中でも法律に詳しい人が集まっている裁判官パートに指摘されるとか本当辛そう。いつまでこれ続くの?ってなりそう。

でも、一切妥協してないっていうのがすごく伝わってきます!

次ページ:監督は元浮気相手役?!さあ最後は、監督・宮垣拓実さんにインタビューです!

通し稽古開始寸前にインタビューさせていただきました!(感謝)

Q.スーツということは、就活中ですか?

宮垣さん「結構今やばくて、勉強と就活とコレ!っていう三本柱で死にそうになっています。

忙しいんですけど、まあでもうまくタイムマネジメントすれば、なんとかなります」

さ、さすがですね、やっぱり。

Q.監督のお仕事を教えてください!

宮垣さん「2つあって。1つは演出ですね。演技指導だったり、音響照明スライドとかをまとめて、模擬裁判の総合的な演出をしています。

2つ目は、法律相談所の中で模擬裁判っていうのは新歓のイベントなので、だからキャストパートをまとめて、そこの人たちをこの劇とか他のイベントを通して仲良くさせてあげるのも仕事です。」

Q.大変なことは何ですか?

宮垣さん「やっぱり今の時期ってみんな忙しいんですよ。

公務員試験の人も、就活の人も、予備試験の人もいて、みんな忙しいんですけど、その中で声をかけて人を集めるっていうのが一番大変ですかね。

僕も就活があるから、最初は監督やりたくないなって思ってて。」

そりゃ法学部生も人間ですもんね(私は一体法学部生をなんだと思ってるんだろう)

宮垣さん「模擬裁判劇には関わろうと思っていたんですけどね。3年生の時にキャストとして参加して、すごく楽しかったので。

『君に合う役があるよ』って言われて、それが浮気相手の役だったんですけど…。

でも、僕はずっとスポーツをやっていて、演技経験はその浮気相手の役しかなかったので、この団体の中には演技経験者もたくさんいるし、自分は監督として適任じゃないと思っていたんです。」

Q.それでも監督になったのは何でですか?

宮垣さん「(総責任者の)成田から『監督やってくれないか』って直々に話をもらって。何回か断ったんですけど、すごく熱く誘ってくれて。

法学部のラウンジでもめっちゃ語りましたし。で、『じゃあやるか』って。情に厚いんですね意外と笑。」

なんか、青春ですね。キラキラしてますよ。

これほぼ成田さんと宮垣さんですね

Q.最後に、今回の模擬裁判劇のオススメポイントを教えてください!

宮垣さん「模擬裁判って基本的に難しい法律をわかりやすく見せるっていう目的があって、いつも『リアルとエンターテイメントの融合』を目指しています。

リアルっていうのは、実際の裁判の法的手続きとかを盛り込んで、法学部OBとも相談して、なるべく本物に忠実に裁判劇を行うこと。

でもそれだけをやっていたら、わかりづらいんで、それにいかにしてエンターテイメント性を持たせるかっていうのがいつも課題としてあります。

で、今年はかなりエンターテイメント性に寄せているんです。

まず、テーマがやっぱり女性アイドルの恋愛禁止条項というわかりやすいもので。

さらに、音響とか照明とかも今年はよりエンターテイメント性を重視しています。

ぱっとみてわかるような工夫をしているんで、かなり敷居が低く楽しめるものになっていると思います。」

法律に詳しくない一般ピーポー、今年チャンスです!!!!!!

で、いつどこでやるの?

東京大学法学部生200人が本気で作りあげた模擬裁判劇、見逃すわけにはいきません。

私通し稽古も見せてもらったんですが、もうすごいハイクオリティでした。

はじめは「法学部生の劇なんて、劇としてのクオリティはそんな高くないだろうなあ」と思っていたんですよ、ひねくれ者の私は。

でも、通し稽古を見ているときは、演じている人が法学部生だと忘れてしまうほどでした!本当にお世辞抜きで。まじto be honest。

そしてさすが法学部生が作りあげただけあって、弁護士の尋問シーンなどは素人から見てもすごくリアルだなあと思いました。

多分法律オタクの人見たら、「や、やるじゃねーか」(親指を立てるジェスチャー)ってなりますよ。

「裁判のリアルさ」と「劇としてのエンターテイメント性」をここまで追求してるのは、たぶん法律相談所の模擬裁判だけ!!

さあスケジュール帳を用意するんだ、5月20日(土)12:00-14:30、安田講堂。しかも無料。

5月20日(土)12:00-14:30、安田講堂!!! 無料!!!!

※イベントは終了しました

ポスターも貼っておきます!
この記事を書いた人
ゆみ
2018年に東大を卒業して、それからエストニアで働いています。今はブログをたまに書いているので、興味のある人は見てみてください(もちろん、UmeeTの記事も!)。 新卒で海外就職したこと、最初の会社は2ヶ月で退職したこと、エストニアでの働き方についてなどなど書いています。
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