【運動会報コラボ記事・最終回】~挑戦するすべての人へ~ 運動会から世界へ 壮大なプロジェクトに挑む、一人の東大生を追う




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過去Ⅱ ~転機~

-その転機とは、何だったんでしょうか?

 大学二年の冬、先ほどのGC32という最新鋭のヨットを日本人のオーナーが購入し、外国人のプロの選手を連れて、国内でトレーニングを始めたという話を聞きつけました。

 そこで、「どうしても乗ってみたい、もう一度あの海を飛ぶ感覚を味わいたいと思い立ち、すぐにチームのベースへと足を運び直談判しに行ったんです。

空飛ぶヨットにもう一度…!(海神チームジャパン オフィシャルFacebookより)

行動力がすごいですね。

 ありがとうございます笑 

 最初の頃は単純にお手伝いような形でチームに関わっていたのですが、その折に初めてユースアメリカズカップの存在を知り、自分もいつかその大会に挑戦したいと強く思うようになり、セーリングだけでなくハードなフィジカルトレーニングにも励むようになりました。

 その後日本チーム発足と、クルーの選考会を行うことが発表され、迷うことなくすぐに応募しました。その選考会を通過して、今に至るといった感じですね。

 

未来 ~チーム海神JAPANへ~

-現在チームではどのような立ち位置にいるのですか?

 現在は選手と併行してチームのマネージャーという役職についていて、主にチームのスケジュール管理や、財務、PRを担当しています。今のプロジェクトで「東大生らしさ」が出せるとしたらこの分野くらいしかありませんね(笑)

 これまでの人生では考えられないほどの世界レベルの大きなプロジェクトで、それに携われることにすごく興奮しています。

…ただ、日本チームなのに外国人が多いので、英語が公用語になってます。英語できない自分としてはつらいです笑 苦労する場面ももちろん多いですね笑

-マネージャーとしてはどんなことをしているのですか?

 一番大きな仕事はチームへのスポンサーを獲得することですね。

 海外での活動を主とし、多くのレースに出場するにあたっては当然多額の資金が必要になるので、スポンサー獲得が不可欠になります。特にヨットの世界では資金力はセーリングのスキルや経験値に大きく影響してくるんです。大会で結果を残すことを目標としている以上、こういったところにもすごく気を遣っています。

 また、山中寮にあるような小さいヨットなら体格の小さい人でも乗れますし、むしろ軽いほうが有利だったりするんですが、このGC32というヨットはいかんせん大きいので、体が大きくないと乗りこなせないんです。でもそんなに体の大きなセーラーはなかなか日本にはいないので、海外の日本国籍を持ってる乗り手を探して、チームを構成しています。

フィジカルトレーニング中の宇佐美さん。(海神チームジャパン オフィシャルFacebookより)

-でもメンバーの中にはヨットをやったことがない人もいると聞いたんですが。

 その通りです。従来のヨットの常識が通用しないスケールの船なので、「ヨットの世界で」、というよりも、単純にアスリートとして優れている人をチームに加えています。皆ボート競技や、ラグビー、アメリカンフットボールなどの世界で活躍してきた選手ばかりです。予想以上に彼らのヨットレースの吸収が早く、その成長の速度に日々驚いています。

本当にスケールが違います…(チーム海神ジャパンオフィシャルHPより)

-なるほど。

 冒頭でもお話ししたRed Bull Youth America’s Cupという大会が、今年の6月、大西洋に浮かぶ絶海の孤島・バミューダで開催される予定で、今は基本的には現地で練習してます。

 チーム本隊は昨年12月からすでに現地入りし、調整を行っています。私の最終目標としている大会であり、日本として、また、アジアの国として初めてこの大会参加することもあって、このチームの一員であることを本当に誇らしく思います。

 今回のユースアメリカズカップで初出場、初優勝というのが理想ですが、ヨーロッパやオセアニアの強豪ひしめくこの大会、そう甘くはないと思います。たとえ今年勝てなかったとしても、その次の大会では絶対に優勝したい。

 このチャレンジを今回だけ終わらせることのないよう、日本の次世代のセーラーたちへバトンを繋げることが私の使命だと思っています。

 

-そこまでの熱意、すごいです。その源はなんですか?

 やはりヨットそのもの、ヨット競技が好きだからだと思います。

ヨットの魅力 ~海のF1~

-そうなんですか。ヨットを好きになったのはいつ頃なんですか?

 ヨット部時代は練習が大変だったりで、むしろ部の雰囲気が好きだったのが大きかったです。ヨットそのものが本格的に好きになったのはやはりこういう活動をしてからですね。

 特に、この競技はエクストリームスポーツとされるだけあって、非常にスリリングでその速さゆえの楽しさがあります。

 もともとジェットコースターなど速い乗り物が好きなんですが、このヨットの感覚はちょうどジェットコースターの上を走り回っているような感覚ですね。

 実際の速度は80km/hくらいなんですが、向かい風だったり海面が近かったりするので体感速度は三倍くらい、数字で言うと200~300km/hくらいだと言われています。

-話だけ聞くとちょっと怖いですね笑 他のスポーツと比べてどんな点が特徴的なのでしょうか?

 私は高校まで続けていた柔道は、対人競技ゆえ感覚に頼ることが多く、どうすればもっと強くなれるのかがはっきりしないのでストレスを感じていました。

 しかし、ヨット競技はボートの性能や乗り手自身の体格体力など、レースで勝つための様々な要素があり、それら一つひとつを磨いていくことで日々自分が成長できるんです。

 伸ばすべきところをリストアップしやすい、という感じですかね。もちろん風や潮の流れ、気象の変化などを感じる力も必要ですが、経験の少ない私を他のメンバーがカバーしてくれています。チームスポーツだからこそのなせる業ですね。

実際に宇佐美さんが乗っている場面です。(チーム海神ジャパンオフィシャルHPより)

 このときにこの人がこうするのが何秒遅れたからこの動作がうまくいかなかったというように、ミスの原因が分析ではっきりわかるというのも特徴的で、日々これらを改善していくことで成長を感じられるのも有意義です。とはいえまだヨットを始めて三年目とかなので、伸びてないと困りますが汗。

 

 -なるほど。ところでヨット部のほうはいまは休部中ということですが、今後の予定などはどうするんですか?

 そのバミューダの大会が終わって、今のキャンペーンに一区切りつくので、そこでヨット部に復帰しようかと考えています。

  この一年以上世界レベルの選手と一緒に練習して学んだ技術や感覚を、部に還元したいですね。なかなか伝えるのは難しいと思いますが、そこを乗り越えて、ヨット部悲願の全日本の舞台へチームを連れていくのが僕の使命だと思います。毎年あとちょっとのところで壁を越えられずにいるので、その壁を超えるのに貢献できれば嬉しいです

 と、偉そうなことを言っていますが、今乗っているヨットとヨット部で使うようなヨットはあまりにもかけ離れているので、ヨット部に戻って活躍できるとは限りませんが…汗

次ページ:世界を見た東大生が、伝えたいこと

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ABOUTこの記事をかいた人

東京大学運動会に関わる、幅広い活動を展開しています。 東大生がもっと運動、健康、スポーツに親しんでほしい、そして、各方面で活躍する運動部を、身近なものとして応援してほしい。そんな願いを胸に、日々活動しています。

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