五月に入り、新入生の方々も通学に慣れてきたころでしょうか。
東大生の皆さん、突然ですが、自分のやりたいこと、可能性を狭めてしまっていませんか?
「部活や忙しいサークルに入ると、やりたい勉強がおろそかになってしまうんじゃないのかな…。」「大学だし、遊ぶだけで忙しいっしょ!」「部活が第一だから、もう大学の勉強はいいや!楽単そろえて卒業するぞー」
こんな声が新入生時の筆者の周りでもよく聞こえてきました。
でも皆さん、考えてみてください、本当にそれだけでいいのでしょうか。
「本当は私、ワンダーフォーゲルに興味あったのに、同クラに誘われて好きでもないサークルに入ってる…。」
「スぺ語の毎週の小テストくらいしか、まともに頑張っているものないかも…?」
「授業まったくついていけてないな、でもまぁいいか、部活やってるから就活強いでしょ。いいんだよね、大学生ってこんなもの…。」
こんなもやもやを抱えたまま残りの大学生活を終え、社会に出るのはもったいなさすぎます!!
今回はそんな皆さんにも、そうでない皆さんにも、東大の国際プログラムで学びながら留学し、それでいて部活と両立させているという強者東大生、馬術部前田さんの生きざまを紹介しちゃいます!
今回は彼女のインタビューの中から見えてきた頑張り方のtips、留学情報もまとめてご紹介します!
ギアを入れるのはまだ遅くない!
どんどんインスピレーション受けちゃいましょう!
生き物が好きなそこのあなた、新しいことやってみたい留学に興味あるそこのあなた、いろんなあなた必見です!
名前:前田 玉青(まえだ たまお)さん
所属:東京大学農学部フィールド科学専修課程4年
部活:東京大学運動会馬術部
相棒:セレスくん
記者:よろしくお願いします。
前田:よろしくお願いします。
記者:早速ですが、何で馬術部に入ったのか教えてください。
前田:もともと中3のとき、碑文谷公園の子ども動物広場っていうとこがあって、そのポニー教室にちょっとだけ通ってて、それがすごく楽しくって。
東大に入ったのも、馬術部があるからっていうのもちょっとだけありました。
記者:えー!すごっ。他の大学にもあるんですか?東京で。
前田:ありますよ。早慶とか、結構古めの学校なら意外とあって。私も入ってみて、あ、他も意外とあるんだなってなりました笑。
記者:いまは何やっているんですか?
前田:馬場馬術です。
記者:馬場馬術ってオリンピック競技の?名前が面白いですね笑
前田:あ、障害もありますよ。馬場馬術は、フィギュアスケートのショートプログラムみたいな感じで、決められた動きをして、それがどのくらいきれいかっていうのを審判さんに採点してもらって、それを競うみたいな競技です。
(↑前田さんとセレスくんの演技の映像です。)
記者:何が決められているんですか?
前田:ここで、一歩踏み込むとか、回るとか。表記がAとかCとかで書いてあるんですけど、ここから左に行くとか、一歩ごとに、駈歩(かけあし)の方向を変える、だとか。(駈歩かけあし…馬術で一番速い歩き方。世間の人がイメージするいわゆるパカラッパカラッという走り方です。)
記者:馬が覚えるように訓練をする、っていうことなんですか?
前田:もちろんこういう指示したらこういう動きをするんだよっていうのは調教で教えるんですけど、実際馬に乗って、今こういうことをやるんだよって指示を出しているのは騎手です。でもうまい人になると、馬の上で何しているのか見えないんですよね。
そのくらいちょっとの扶助で言うこと聞くくらいの関係性が築けてるっていう。
記者:不思議な競技ですね。 自分でもするけど、基本馬がやるんだ。
記者:じゃあ、馬とは仲良くならないといけないんですね。
前田:ふふっ笑 仲良くって言うか、嘗められないようにですかね、どっちかって言うと。
記者:え、飼い主のことをなめくさってくるんですか?笑
前田:結構そうですね笑 身体が大きいし力が強い分、ちゃんと接してないとすぐなめられちゃったりするんです。
記者:へぇー 言うこと聞かないよっていう態度をとってくるんだ。
前田:さぼろうとしたらだめだよ、って教えてあげます。笑
記者:結構人間ぽいんですか?
前田:人間ぽいっていうか、意外と感情豊かなんだなって始めてみて思いました。
ちゃんと個性とかもあって。気性の荒い馬もいれば何も考えていないおっとりした馬とかいて。
記者:えー、可愛い。笑 犬みたい!
前田:うちには犬もいますよ。
記者:あ、馬術部に!それはあれですか、牧羊犬みたいな。牧馬犬?笑
前田:全然そんなことはしないです笑 ただの癒しです。
番犬ですかね、どっちかって言うと。
記者:楽しくやりたいって人と競技をやりたいって人が部活ってどうしても発生すると思うんですが、馬術部さんはどうなんでしょうか?
前田:そうですね。わたしも最初楽しくやりたい派だったんですけど、なんか、いつの間にか競技をやりたい、ってなってて。上手な人が乗ってると、すごい楽しそうに動いてて、あぁ上手になりたいなぁっていうのがきっかけです。楽しくやってるだけじゃあまり上手になれないなぁって思ったんで。
やっぱ本当の楽しさみたいなものは、何事もうまくならないとわからないという感じがします。
記者:ということは馬術ってスポーツなんですか?
前田:スポーツです。疲れます。
記者:何か前、結構昔に、御殿下にもあるんですけど、ジョーバっていうマシンはやったじゃないですか。こうやって乗るやつ。ああいう効果はあるんですか?
前田:いや、あれ結構違ってて。あれはめちゃくちゃ元気な常歩(なみあし)って感じですね。(常歩…馬のゆったりした歩き方)
実際より激しい感じで、あれは乗馬ではなく体験的なものですね。
本物は、腕とか腹筋とか背筋を使います。
記者:バリバリに割れてるんですか?
前田:割れてはないです。だっていやでしょ?割れてるとか。
筋肉はだいぶつきました。体重もとても増えました。
記者:引き締まりそう…!笑
記者:馬って、本来はどういう状態なんですか?ホッキョクグマだったら北極の氷の上じゃないですか。
前田:モウコノウマという野生馬はモンゴルに少し残っていますが、ほぼ絶滅しています。
記者:じゃあ世界中探しても野生の馬はなかなか見つからない?
前田:シマウマとか含めればそこそこいますけど。基本的に今は牛とかのほうが強いですね。進化的に馬の方が消化に難があり、牛は消化が上手で、草とかの栄養を吸収できるんです。なので、馬は押され気味ですね。
記者:それって勉強したんですか?
前田:もともと好きなので。
記者:じゃあ(部員)みんなが知っているわけではない?
前田:と思います。
記者:なんでそんな馬が好きなんですか?
前田:馬に限らず、動物が好きなんです。将来も動物の研究ができればいいなと思っています。
今の学科も、フィールド科学専修っていうところで、生態系について学んでいます。動物だけじゃなくて、植物とかも。
記者:面白そうですね。私も動物好きなんですけど、動物の生態が好き、というか、動物にも性格があって、動物が語りかけてくるというのが好きで、動物園行っても何考えてるんだろうな、っていう風に見てますね。
前田:そうですね。馬が何考えてるのかなぁって見てます。餌がほしいのかなぁとか。
担当馬(セレスくんのことだそうです)が食いしん坊なので、私をおやつくれるひとと認識していて、近づくと「きた、きた!」みたいになって、ポケットをまさぐってくるんですね。
でおやつを持ってないと怒る、みたいな。
記者:なんか大きい赤ちゃんみたいですね。
前田:力が強いんですけどね。でもかわいいです。
記者:不思議ですね。競技だけど、ペットというか趣味みたいな。部活ってこう自分のメンタルとの戦いみたいな部分があると思うんですけど。
前田:そうですね。楽しいです。でも大変な部分もあると思います。
記者:たとえば?
前田:とにかく肉体的に大変ですね。朝も早いですし。まぁ生き物ですからね。
記者:アピールポイントは?
前田:馬かわいいし、多分大学でしかできない経験なので。卒業してからでもできます。乗馬クラブだとお金かかりますし、馬の世話は厩務員さんがやってくれるケースがほとんどなので、馬の世話も含めできるのは馬術部ならではですね。
部活は生き物相手なので大変ですが、人はとても優しいです。病気で休まなければいけなかったんですけど、部員がいいよーって言ってくれたおかげで、やめなくてすんで、今も何とか続けられてますね。なのでみんなには感謝しています。実際今も体が弱くて、それでもなんとか運動部を続けられてるのは、やっぱりいろんな人から支えてもらってのことなんですよね。本当にありがとうと言いたいです。
記者:ところで、乗馬クラブって日本にも結構あるんですか?セレブの休日みたいな?
前田:長野とか結構あるみたいですね。東京だと八王子とか?
記者:私長野出身なんですよ。山にキノコ採りにいくときとか山菜採りにいくと、あ、いるなぁ、みたいな。あとフランスに柔道しにいったとき、ホームステイ先のお母さんが乗馬やってました。
前田:そういう海外の乗馬への親しみやすさをみて、日本でも気軽に乗馬に触れてもらおうっていう動きもありますね。馬術部も五月祭で乗馬体験のイベントをやったり、普段活動している地域で馬と触れ合うイベントを自治体とやったりしています。
※馬術部さんは今年の五月祭でも乗馬体験をやるそうです!こちらも要Check!
記者:へぇ! 柔道も、海外だと気軽にやるものみたいですね。