総務省のキャリア官僚でありながら、なぜか突如として鹿児島県長島町の副町長に! 地方創生のトップランナーとして話題の井上貴至さんに、その哲学を語ってもらいました。大学生への喝もたくさん入れていただきました。心して読んでください!
最初からズバリ聞きますが、総務省でお勤めのはずの井上さん、なぜ遠く離れたこの長島町に?
「もっと現場の近くにいたいと思ったから。中央で制度をつくりながら、現場でこそ感じられる深いニーズを、自分で探したいと思ったからだね。」
官僚こそ、地方を知っていなきゃダメだと。
「頭で考えてるだけだと、やっぱり制度が一人歩きしちゃう。何が求められているか身をもって感じて、それを元に仕組みを考えなきゃ。」
そのバランス、とっても重要な気がします。
「あとは単純に、いろんな場所に訪れて人に会うのが好きなんだよね。地域には隠れたヒーローがいて、とても魅力的。この人たちを輝かせたいと思って」
「人も地域もダイヤモンド」って、よくおっしゃってますよね。
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「そもそも今盛り上がってる地方創生って、目標があいまいになってることが多いよね」
確かに、どうなったら「創生された!」ってことになるんでしょうね。
「それは現場が見えてないからだと思うんだよね。僕の場合、地方創生って単純に、そこにいる人を一人でも多く笑顔にすることだと考えてる。」
急にめちゃくちゃミクロな話になりましたね。
「だって地域って人の集まりでしょ? 地域を良くするって、誰かを幸せにしてそれをつなげていくこと以外ないよ。」
確かに……。「地方」というなんだか曖昧なものを、とりあえずなんとかしよう、って思っても……。
「具体的な誰かがないと、誰のためにもならない制度が生まれちゃうんだよね。」
とはいえ井上さん、総務省にいながら副町長、ってどういうことなんでしょうか。
「自分で制度を提案して、その第一号として来たんだよね」
……自分で?
「なかったから。でも必要だと思ったから。」
地方創生人材支援制度……本当だ! 井上さん自分で提案して自分で使ったんですね!
「自分でルール作っちゃったほうが楽しいよね。」
またスケールがでかいですね……
「例えば、僕は柔道が好きなんだけど、そんなに強くないんだよね」
(柔道2段だそう。十分強い……)
「で、僕の一生の夢が、オリンピック優勝なんだよね」
(いやそれはたぶん無理でしょ)
「数十年後の、次の次の東京オリンピックで、年齢別チャンピオンになろうと」
年齢別、ですか?
「高齢化が進んでいけば、今の100キロ級とかいう体重の区切りだけじゃなくて、年齢の区切りだって出てきていいはず。なければ自分で作って出る。それなら勝てるかもしれない。」
「つまり、ルールをつくればいいってこと。」
そんな発想はなかった……
「東大生ってルールの中で戦うのがなまじ上手いせいで、ルールをつくろうっていう発想が弱いよね」
自分に刺さった気がするのは僕だけじゃないはず。
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