はじめまして、さいしんです。
学園祭の運営を一年半続け、また運営委員会のなかでも随一の学園祭ヲタクとして他大学の学園祭に数多く回った私が、一つ、五月祭に言いたいことがあります。
「五月祭、同じような企画多すぎね??」
一度 でも東大の学園祭に来たことのある人は分かると思いますが、普通はわざと違うものにするはずなのに同じものを選ぶ東大生は馬鹿なのか、と思うくらい牛串の屋台は多いですね。
正直、保護者の方が「息子の牛串の店に行きたいんですが…」と案内所に来られても、出店数が多すぎて委員ですら絶対見つけられません(東大美女図鑑の場所を恥ずかしそうに聞く中年男性には対応できてもね…)。
今回はなぜ企画が被るのかについて考察していこうと思います。
これを知らないと話になりません(笑)
五月祭(ごがつさい)は毎年5月の半ばの土日に東京大学の本郷キャンパス・弥生キャンパスで行われる学園祭です。1・2年生の発表の場となる駒場祭と異なり、五月祭は学科や院生による研究発表なども多く、学術的な学園祭と言われています。
昨年度の来場者数(2日間累計)は14万5000人と、名実ともに全国屈指の学園祭であることを裏付けています。
今年90回目を迎える五月祭は歴史も古く、その発端は大正デモクラシーのもとでの学生運動であるなどともいわれています。私が知っている限り、全国で東京農業大学の収穫祭の次に回数の多い学園祭です。
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ということで、今回は特に被りの多い「屋外の飲食系」に限定して考えていきましょう。
第89回五月祭で当日配布された模擬店パンフレットを参照してみると次のような結果になりました。
なんと、一位の牛串とタピオカジュースは17店舗も!!多すぎる!!さすがに競合していますよね…
さらに上位5品目の割合は全体の30%を超えています!!
これは人気企画に集中している現状を明白に示しています。
ちなみに、一昨年まで人気品目であった揚げアイスは、一昨年のぼや騒ぎによる火気の一時使用禁止の影響からか5店舗に減少していました。
ほかにも例年出店があるチュロスや、近年人気が出てきたケバブなど、その他の項目に入っている中にも被りがあるものが本当に多いです。
感覚的に東大生がうすうす感じていたことは本当だったようですね。
そうなんです!!
皆さんは五月祭に出店する団体って二種類に分類できること、ご存知でしたか?
一つは新入生のクラス。
入学してすぐ、オリ合宿で上クラに「一年生はクラスで出店するもん」と言われ、なんかよくわからないけど出店するケースで、全体230店舗中の91店舗を占めています。
皆さんも流されるように一年生の時に出店しませんでしたか!?
ただ五月祭を通してクラスの中が深まるのも事実なんですよね…
もう一つはサークルや学科。
これはもう毎年恒例だから、今年もやろうかということで出店するケースで、全体230店舗中残りの139店舗を占めています。
スポーツ系のサークルが飲食の屋台が多い印象ですね。
実はこの二つのうち、特に後者の方が品目の被りに大きな影響を与えているのです!!
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さて、それでは一つ目の本題である、なぜ企画が被るのかについて考えていきましょう。
まず先ほど述べたクラス企画が多く被っているのです。
その原因はありきたりな品目が選ばれがちということです。
これはというものの、入学してからすぐに学園祭があるということもあり、出店のための登録期間が極めて短いためです。
先ほどのデータを新入生のクラスだけに限定して集計し直すと、1位のたこ焼き(8店舗)を除き、2位のタピオカジュース(7店舗)、3位の焼きそばなど、大学の学園祭以前に一般的なお祭りの屋台でよくある品目が並んでいます。
そして、サークルや学科企画ではそれ以上に多くの被りが出ています。
その原因は調理工程が単純な品目に集中しているということです。
もう一度、先ほどのデータを今度はサークルや学科企画だけに限定して集計してみると、1位の牛串(12店舗)、第2位のタピオカジュース(10店舗)、第3位の焼き鳥(8店舗)など、言ってみれば焼くだけ、注ぐだけの品目が上位を占めています。
これは、他の企画にも参加していたり、他の企画が見たい人がいるために、あまり自分の屋台に時間を割けない人が多いのではないかと考えられます。
実際のところは分かりませんけどね…
もちろんそれだけでは最初に見たような被りは出てきません。
ここでまず一つ目に東大の学園祭は衛生面に厳しいということです。
いや、5月は食中毒が出始める時期ですし、厳しいに越したことはないんですが…本当に厳しい!!
例えば衛生面を配慮して、調理工程が1工程までという制限。
他にも、何かはあまり言えないのですが、他大の学園祭で当たり前のように出されている品目が東大ではNGといったこともあるようです。
信じられないですが、他大学だと当日の包丁の使用禁止という制度すらない学園祭もあります、さすがに包丁の使用は危険なように思えますが。
この衛生面での、保健所からなのか運営委員会からなのかの規制により多様な品目が生まれにくい環境になっていることは事実だと思われます。
ただ、僕の知っている限り毎年運営委員会の食品担当は保健所に交渉しているので、ちょっとずつ改善していくことを願うのみですね!!
そしてもう一つが、ただ単純に出店数が多すぎるという点です。
例えば同規模の早稲田祭と比べてみても、早稲田祭が100店舗弱なのに対し、五月祭は230店舗!!
どう考えても被りが出てしまうのは仕方がないのです。
これには東大の横のつながりが大きくかかわっています。東大は一年生のころから同クラという制度が存在し、また3年生になってからもつながりが強い学科が多く存在します。こういったコミュニティの存在が出店舗数増大の一因となっているのでしょう。
このように、屋台での品目の被りは多くの要因によって起こっているため、すぐに解決する問題でもないようです。
しかし、大丈夫。
基本、売れるから(笑)
だって14万人もおなかすかせた人が来るんですよ、単純計算一つの屋台で6000人が何か買っていくんですよ(さすがにざっくりしすぎだけど)
それに、前売りだって売ってるわけだし、いろいろ困難があっても最後は黒字になるんだよね。
ということで、ハッピーエンド、終わり!!
・・・でもいいんですが、でも知りたいじゃないですか、被ってないセンスピカイチの品目だって。
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熾烈な顧客獲得競争に燃える学園祭の屋台は年々進化しつづけています。
ここからは、皆さんがあまり知らない最前線をお伝えしようと思います。
まず最初に皆さんにおすすめするのは国際色豊かな、めったに食べない品目です。
近年の五月祭は牛串の陰に隠れつつも、食の多様性が増しています。
東大のクラス制度は基本的に第二外国語をもとに組織れています。
そこで出てくるのは「第二外国語関連の国の料理」です。
毎年有名になるのが理系ロシア語選択(理ロシ)ですね!!去年はピロシキを販売し、May Fes. Awards(五月祭の人気投票企画)の新入生模擬店部門で3位に入るなど、めずらしいものへの人気は高いようです。
また、一昨年のフランス語選択のクラスでは、カナダの名物お菓子であるビーバーテイルというものを販売していました。これは揚げパンにチョコなどをトッピングしたものです。正直本当においしかったし、今年も出店してほしい(ただの願望w)。
もう一つ同じ観点から注目すべきは「PEAK生や留学生」による屋台です。
五月祭では例年工学部前広場あたりに屋台が集中しており、めずらしいものが食べられると近年人気に火が付き始めています。
五月祭でしかできない食の体験、ぜひ味わってもらいたいです。
次に紹介するのは、残念ながらまだ五月祭では導入されていないものです。
皆さんが学園祭の屋台でうすうす気づいていること、それは「そこまでおいしいわけではない」ということです。
期待半分で買って、それがおいしかったら儲けもの…なんてこと、実際よくありませんか?
それにうまく応える形で出てきたのが実はICU祭のとあるサークルが行っている富士宮焼きそば。
この企画の謳い文句はなんと「実際に富士宮に行って弟子入りしてきました」です。
そう、先ほどのPEAK生や留学生による屋台にも共通しているのですが、本場の味をキーワードにした品目には注目です。
もう屋台でがっかりしなくていいんです!!
今年の五月祭でも、もしかしたら新たな発見があるかもしれませんので、ぜひ探してみては?
いろんな角度から模擬店で品目が被る理由や東大生の戦略を見てきましたが、やっぱり品目が被らないのが一番ですね。
私が1年生の時は大学いもを作りましたが、他と違うってだけでかなり売れたのを今でも覚えています。
しかし、いろんな学園祭を回ってきた私が考えるに、最高の学園祭ってやっぱり
「店をやってる人が楽しそうな学園祭」なんですよね。
だから一言。
品目が被ってるとかもはやどうでもいいから、とにかくお祭りを楽しもう!!!