【運動会報コラボ記事】エースとして、法学徒として。宮台選手が挑む「最も困難な道」

2017.04.21
東京大学運動会総務部

「勉強と部活を両立したい。」

誰しもが、一度はこのように思ったことはないでしょうか。特に東大生の皆さんや、東大を目指している高校生の皆さんは、見事に勉強と部活の「二刀流」を達成している人も多いかと思います。

しかし上には上がいるのは世の常。今回は、「日本最強の勉強と部活の二刀流大学生」を紹介します。

勉強では文系の最高峰、東大法学部で学び、部活では硬式野球部のエース左腕としてチームを引っ張っている彼。皆さんもご存知、宮台康平選手です。

学生証
  1. 名前:宮台 康平(みやだい こうへい)選手
  2. 所属:東京大学法学部第二類4年
  3. 部活:東京大学硬式野球部4年

東大野球部を背負う彼の、勉強と部活の両立の話はもちろん、エースとして挑む最後の年への抱負、普段なかなか聞けないプライベートな話まで余すところなく取材してきました。

全学生、必読です。

インタビューの前に~宮台選手、どのくらいすごいの??

インタビュー内容をお届けする前に、「名前は聞いたことがあるけど、宮台選手ってどのくらいすごいの?」という方もいると思うので、これまでの宮台選手の成績についておさらいしておきましょう。

通算成績 4勝6敗 防御率2.51

まず、この4勝という成績。「本当にすごいの?」と思うかもしれませんが、東大野球部の通算成績は、宮台選手が初めてマウンドに立った2014年秋季リーグからの通算で5勝50敗。東大野球部の近年のほとんどの勝利に貢献していることが分かります。

そして防御率。これは9回を投げて失点する得点を示しています。と、いうことは、宮台投手は完投(9回全てを1人で投げること)しても3点以内に抑えるピッチングをしてきたわけです。

さらに、すごいのが奪三振。2勝をマークし、最も活躍した2016年春季リーグ戦では、投球回44回に対し39奪三振を記録していることから、ほぼイニングに三振を1つ奪っている計算になります

最速150km/hのストレートに多彩な変化球で奪三振ショーを繰り広げる、それが宮台選手のピッチングです。

この防御率や奪三振、当然プロとは打者のレベルが全く違うとはいえ、数字を見るとプロに匹敵するレベルです

プロ入りも期待されている野球に加え、法学部での勉強を見事に両立している彼のすごさが分かったところで、インタビュー本編をお楽しみください!

※東大野球部および宮台選手の成績は2016年度秋季リーグまでのものです。

―そもそも、なぜ東大にはいったのか?

まず「東大野球部の宮台が生まれるまでの、大学以前のことについて聞いてみました。

―野球自体はいつから始めたのですか?

小学校3年の時から始めました。当時は外野手でしたが、高校2年のころから本格的に投手をやるようになりました。

―高校時代はプロを目指していましたか?

高校時代は甲子園を目指していました。しかし、プロに行きたい、という意思はありませんでした

―そうだったんですか!では、他の六大学で野球をしよう、という思いも?

はい。慶応も考えていましたが、まずは勉強をしっかりやろう、自分の将来の選択肢を増やしていこう、という考えから東大を目指そうと思っていました。

自分の将来を見据え、野球漬けの毎日から東大を目指すことに決めた宮台選手。となると、気になるのはこの質問。

野球部から東大受験へ、というのは相当大変ではなかったですか?

高校が勉強と部活を両立するのが当たり前、といった雰囲気だったので、頑張れました。事実両立できている人が多くいたので、その人たちに負けないように」という思いが原動力になりました。

野球でも、勉強でも「周りに負けたくない」という気持ちで成功をつかんだそう。さすがの一言です!

―大学では、勉強と部活をどのように両立しているのか?

続いて大学での勉強と部活の「二刀流」について聞いてみました。法学部と言えば、試験範囲が圧倒的に広いことで有名です。法学部の記者自身も苦しんでいますが、宮台選手はどのように「二刀流」を続けているのでしょうか。

―宮台選手は大学での試験にどうやって対応しているのですか?

普段は部活に打ち込んでいます。勉強は年末年始のオフの期間で一気にシケプリ(*1)を読み遅れを取り戻すようにしています

年末年始のオフだけでですか!?かなりの量ですよね?すごい集中力ですね。

確かに量は多いですが、集中力がすごい、と自分で思ったことはないですね。

―では、どのような心構えで勉強と部活の両立をしているんですか?

片方に打ち込むときはもう片方のことを忘れるくらい真剣に、という姿勢で臨んでいます。たとえば、ボールを投げるときに『勉強して東大に入った』ということは関係ないと思っています。法学部生として試験を受けるときも、『野球部だから』ということは関係ないと思って、自分の勉強の蓄積で勝負しよう、という気持ちでいます。

二刀流だからこそ、それぞれの領域のプロフェッショナルを目指す。それが、勉強と部活の両立の秘訣ですね。

~ひとこと補足~

(*1)試験対策プリントのこと。東大では学生が分担して授業内容をまとめたプリントを作成し、一致団結で試験を乗り切る。法学部は教授の話をそのまま書き起こすので、膨大な量になると有名である。

―「野球選手」としての自分の強みとは?

次に、「野球選手宮台」としての素顔を探るべく、野球に関する質問をしてみました。

―野球選手として、ここは誰にも負けない、という部分はありますか?

球種(*2)としてはやはりまっすぐに自信があります。

―なるほど。ちなみに、コーチだった桑田真澄氏(元巨人)(*3)からピッチングについてアドバイスなどはあったのでしょうか。

アウトロー(*4)のまっすぐを磨け、といわれました。これは野球では基本にあたりますが、桑田さんレベルの方がおっしゃるとやはり重みがありましたね。

かつてプロ野球の一時代を築いた大先輩からの言葉を胸に、宮台選手は練習に励んでいるようです。次に精神的な面について聞いてみました。

―それでは、メンタル的な部分での自分の強みはどこですか?

どんな状況でも気持ちで負けずに打者と勝負できるところです

―さすがです。しかし、ビハインドの状況でも気持ちを保つのは大変ではないですか?

0対1から勝っていくのが東大だ、と考えています。ビハインドの中で気持ちを保って9イニングしっかり投げ切ることは、自分にとってむしろやりがいでもあります。

ビハインドの状況から気持ちを維持し、仲間の逆転を信じながら完投を目指す。それをやりがいと言ってのける宮台選手はさすがの精神力の持ち主です。

―では逆に、終盤で勝っているとやはり緊張しますか?

はい。応援にも熱が入るのがわかります。そういう時は、相手の方が緊張しているだろう、と考えるようにしています。

―逆転の発想ですね(笑)それでは、リーグ戦期間中、というロングスパンでの気持ちの維持はどうでしょうか。

試合で課題が見つかることもありますが、1週間単位でどうこうなるものではないので、次の週の試合に今の自分の100%をもう一度持ってくることを第一に考えています

~ひとこと補足~

(*2)球種とは、投手が投げるボールの軌道の種類。まっすぐ、というのはストレート。日本人最速は日本ハム大谷翔平選手の165km/h。他にも、宮台選手はスライダー(高校野球でもよく使われる、最もメジャーな変化球の1つ)や、チェンジアップ(相手のタイミングを外すために投げる遅い球)を投げる。

(*3)1985年に巨人に入団し、エースとして活躍し、メジャーリーグにも挑戦した。引退後、2013年から東京大学硬式野球部のコーチを務める。

(*4)野球のストライクゾーンは、左右はホームベースの幅、上下は胸あたりから膝までとされている。アウトローというのは、打者の膝くらいの高さで、且つ体から最も遠いコース。

 ―両立し続けるうえで、気持ちが折れそうになることはないのか?

ここまでの取材で、宮台選手は我々からは計り知れない努力を積み重ね、非常に高いレベルの両立を続けていることが分かりました。そうすると、気になるのはこの質問。

―野球でも勉強でも大忙しですが、このレベルでの両立を続けるのは辛くないですか?

そうですね。ただ、「最も困難な道に挑戦せよ」というのが僕の座右の銘なので、負けずに挑んでいます。

名言が出ました!!掘り下げて聞いてみます。

―先ほどから、負けない、負けたくないという言葉が印象に残り、それが座右の銘につながっているように感じます。やはり負けず嫌いですか

そうですね。『負けたくない』という思いが自分の底にあって、支えてくれていると思います。競う相手がいると力が入ります。

―それでは、野球において特に「負けたくない」と思う相手は誰ですか?

同じ東大の山田選手(*5)です。六大学でいえば明治大の柳選手(*6)がお手本でもあり、目標とするべき存在でした。

宮台選手の人としての生きざまが分かったところで、なぜか話題は気分転換の話に…?

―ところで、気分転換も大事だと思いますが、何をしていますか?

オフにはよく昼寝をします。あと、温泉が好きで、よく行きますね。

温泉いいですよね!疲れを取るにはうってつけで!!

疲れが取れるのはもちろん、温泉の雰囲気が好きなのもあって通っています。

突然の温泉談議に、場が盛り上がります。

―やはり、チームの仲間と一緒に行きますか。

まとまった時間があればチームの仲間と行くこともありますし、一人で行くこともあります。

一人で行くこともある!?これは特ダネだ!!思い切って質問をもう1つ。

―ちなみに、どのあたりの温泉ですか?

宮台:「○○区です。」

※プライバシー保護のため、伏せさせていただきますm(__)m

ですが、東京23区のどこかの温泉に行けば、宮台選手とばったり遭遇するかも(!)

~ひとこと補足~

(*5)東京大学硬式野球部現主将の山田大成選手。右投左打(有名所はイチロー選手)で、ポジションはショート(2塁と3塁の間)。

(*6)昨年度の明治大学エース、柳裕也投手。中日ドラゴンズにドラフト1位で入団した。縦に大きく曲がるカーブが持ち味。

―ずばり、将来の展望は?

話がすっかり脱線してしまったので、今度は皆さんも気になるであろう、この質問。

―ずばり、将来の展望を教えてください!

そろそろ考えなければいけない時期に来ていると感じています。まだ具体的に『この道に進みたい』というのはないですね。

―当然選択肢にプロの道というのがあると思いますが、実際のところ意識していますか?

昨年春、立教大学戦で完封(相手に1点も与えない)したのを皮切りに結果を出し、大学日本代表(*7)にも選ばれ、そういう取材が増えてきたな、というのは感じています。

―素晴らしかったです。日本代表として戦ってみての心境の変化はありましたか?

それが、当時のことはよくおぼえていないんですよね(笑)とにかく相手が強くて、興奮していました。結果として自己最速の150km/hのストレートも投げられましたし。

近年のプロ野球で、左投げで150km/hを出せる選手はほどんどいない。であれば、プロになれてしまうのでは!!!

でも、とにかくまずはあと1年しっかり大学野球に打ち込みたいですね。その結果として先があればいいと思っています。

頼もしい一言が聞けました。我々からしてみれば、ここ10年以上耳にしなかった「東大卒プロ野球選手誕生」を期待してしまいます。最後に、プロ野球についてこの質問を。

―好きなチームや目標とする選手はいますか?

地元が横浜なので、DeNAベイスターズには愛着があります。目標は楽天の松井裕樹選手(*8)ですかね。

~ひとこと補足~

(*7)宮台選手は2016年7月に行われた日米大学野球選手権の代表選手として、神宮球場で行われた第3戦に登板。日本でわずか9人しか選ばれなかった大学野球屈指の投手の1人として、33年ぶりの東大からの代表選手として、3回途中5奪三振1失点と力投した。第3戦は惜しくも0対1で敗れたが、日本は全5戦を3勝2敗で終え、アメリカに勝ち越した。

(*8)東北楽天イーグルスの若きクローザー(試合終盤で投げる、味方のリードを守り切る投手)。宮台選手と同じく、左投げで150km/h近い球速を誇る。

―最後に今年度の抱負を教えてください

―では最後に、今年度の抱負を読者の方にお願いします。

チームとしては勝ち点を取りに行くことが目標です。そのために、個人としては1戦目に勝つのはもちろん、3戦目にも登板し、勝利を引き寄せられるようなピッチングができるように体を強くしていきたいです。去年は3連戦で、中1日で2試合投げることができなかったので。もちろん2連勝するに越したことはありませんが、1勝1敗で迎えた重要な一戦で結果を残したいというのが目標です。

いかがだったでしょうか。野球にも勉強にも誰よりも真面目に真剣に取り組み、それぞれの領域でトップクラスの実力を誇る宮台選手。東大卒のプロ野球選手として、プロ野球のマウンドに立つのか、はたまた別のフィールドで活躍するのか、今後も目を離せません。

その前に宮台選手にとって最後の大学野球シーズンが待っています。東大野球部の黄金時代を作るべく、ひたむきに投げ続けるエース。宮台選手を、そして東大野球部を応援するためにも神宮球場に応援に行きましょう!

取材に快く応じてくださった宮台選手、本当にありがとうございました!!

~ひとこと補足~

6大学リーグでは、1つの大学と3連戦を行う。この3連戦で勝ち越した方に「勝ち点」が与えられる。したがって、宮台選手が言うように1勝1敗で迎えた第3戦は勝ち点獲得の上で非常に重要。

この記事を書いた人
東京大学運動会総務部
はじめまして! 東京大学運動会総務部です。UmeeTのライターをやっています。よろしければ私の書いた記事を読んでいってください!
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