よくわかる流行語のつくりかた

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ここからは、先に述べた流行語の技術を使って、東大へのイメージを良くし、東大生が今よりかは生きやすくなるための提言をしてみようと思います。

流行語は「輸出」できる

まず押さえておきたいのは、ある文化圏に定着した流行語というのは、他の文化圏に「輸入」も「輸出」もできる、ということです。

例えば、2005年ごろ、「2ちゃんねる」というアンダーグラウンドなネット世界で「ワロタ」(訳:大いに笑った)という言葉が流行し、定着しました。

その数年後、この言葉は「ギャル語」の文化圏へ輸出されてそこにも定着し、そこから女子中学生・女子高校生の文化圏に輸入され、今や一般社会でも普通に見るまでになりました。

また、外国語からの「輸入」も流行語に目立ちます。1970~90年代には、フランス語やイタリア語から引用して商品名をつける手法が頻発しました。(例:カフェオレ・カフェラテ

これらのケースを見るに、流行語は割と簡単に輸入できるし、輸出もできると言えるでしょう。

特に重要なのは、流行語を「輸出」した際の効果です。というのも、流行語を輸入した文化圏は、流行語を輸出した文化圏に対して、嫌悪感を抱きづらくなるのです。

「輸出」によるイメージアップ

この現象を端的に説明する具体例を挙げましょう。「オタク」文化圏と「多数派一般人」文化圏の関係です。

1980年代、オタク文化圏というのは現在と比べるとまだまだ小さい文化圏で、多数派一般人文化圏から比べれば、完全なマイノリティーでした。

オタク文化圏多数派一般人文化圏とは、その生い立ちや社会内での扱いをはじめとする環境の違いも相まって、その当時からすでに「会話上の違和感」が存在していたと言います。

つまり、「あいつらは別の文化圏だ」と、お互いに敵視しあっている状態ってことです。

そこに、その亀裂を深刻化させる事件が起こります。1989年の宮崎勤連続幼女誘拐殺人事件です。

この事件を報道する際、多数派一般人文化圏は、TVの影響力を用い、「宮崎勤は殺人犯だ、そして宮崎勤はオタクだ、だから、オタクは殺人犯だ」という手法でオタク文化圏を徹底的に攻撃、マイノリティーであるオタクは、その攻撃になすすべもありませんでした。

偏向報道について述べるのは他の記事に任せるとして、ここでは流行語の観点からこの事件を見てみましょう。

このような多数派一般人文化圏による攻撃の前提となったのは、オタク文化圏多数派一般人文化圏の間に「会話上の違和感」があったことだと言えるでしょう。「踏み絵的用法」を思い出してください。言葉が通じる相手は仲間だと認識しますが、その逆に、言葉の通じない相手はだとみなされるのです。

さて、この亀裂は、ある一つの言葉の「輸出」によって解決に向かうことになります。それは、「萌え」という言葉です。

2005年、「電車男」というテレビドラマが放送されました。このドラマの放送によって、十年余りにわたって熾烈に敵視されたオタク文化圏の内容が、少しではありますが多数派一般人文化圏に入り込みます。

その際、「萌え」という言葉が情報流入の媒介として使われ、多数派一般人文化圏にて、流行語として定着していきましたオタク文化圏が、多数派一般人文化圏へ、言葉の「輸出」に成功したのです。

この「輸出成功」を契機に、多数派一般人文化圏から見るオタク文化圏は身近な存在に近づき、秋葉原の歩行者天国では一般客も増加し、現在に至っては、オタクであることに対する偏見はだいぶ軽減されています

今となってはみんなで一緒に「君の名は。」を見る時代になりました。昔なら全く考えられないことです。

マイノリティーは流行語の「輸出」で生き残れ

この先例から学べることは、マイノリティーが社会の中で生き残るためには、多数派一般人文化圏に流行語を輸出することが有効だ、ということです。

何もしなければ、マイノリティー多数派一般人では話が通じなくなり、亀裂が生じ、争いが起こります。争いが起こってしまえば、多数派一般人数の暴力に抵抗することは難しくなります

もしマイノリティーが社会の中で安全に、そして自らのアイデンティティーを保ったまま暮らしたいのであれば、流行語を輸出することで多数派一般人との「会話上の違和感」を少しでも軽減し、踏み絵的な効果をもって多数派一般人から敵視されないようにするのが有効なのです。

そして、東大生文化圏圧倒的なマイノリティーです。

東大生が「輸出」するには今がチャンス

最近、東大生を見世物的に扱う番組が増えました。これは、明らかに多数派一般人文化圏東大生文化圏断絶を示す兆候であり、非常に危険な状況であると言えるでしょう。

数件立て続けに東大生に関する事件が起こってしまえば、この断絶は深刻化し、かつて発生した「オタクバッシング」のような事態になるのは明らかです。

今はまだ東大生にメディア上で発言する権利が社会的に認められています。流行語を「輸出」し、断絶を埋めておくチャンスは今しかありません

幸い、東大生文化圏にとっては常識的な単語でも、多数派一般人文化圏にとっては「出ない語」や「長い語」である言葉がたくさんあります。

「任意」や「期待値」、「機会費用」や「トレードオフ」などといった、多数派一般人と話す際にイカ東だと思われないように使うのを遠慮する」言葉がそれです。流行語の材料は、我々の周りにあふれています。

特に、すでにメディア露出をなさっている東大生の皆様、このような言葉を材料に流行語を作り、世に広めてみてください

学術的論理性に裏打ちされた流行語は、世間の人々の行動を改善し、東大生自体へのイメージを向上させることでしょう。

そしてなにより、自分が作った言葉を誰かが使用している様子は、独特の喜びがあります。是非とも、流行語を作ってみてください。

以上、ペン一本で人々を変える方法でした。

けいとけー

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