インドなんて行きたくなかった...
こんにちは.社会基盤学専攻修士2年コンクリート研究室の丸野と申します.
修論真っ只中のM2の秋,実験を後輩に放っぽり投げ
インド工科大学デリー校に一か月間滞在してきました!
留学というとヨーロッパやアメリカ,インターンでは東南アジア,アフリカという国々はよく耳にしますよね
しかしながら,その巨大な人口や経済にも関わらず,インドという国は私たち日本人からはあまり馴染みがないように思います.
インドと聞いて思い浮かべることは?
「日本人は必ずお腹を壊す」「インド人の英語は分からない」「カレーしかない」
そのようなイメージは果たして本当なのだろうか.短い間でしたが実際に見聞きしてきたことをレポートしていきたいと思います!
また,私自身,積極的に海外に行きたいと思っていた訳ではありません。指導教員にインド留学を命じられた意識低めの自分が,留学について考えてみました。
インドの理科系最高峰の大学でありエリート集団.
グーグルやフェイスブックといったグローバルIT企業から人材が求められている.
東大生にとっても馴染み深いあの「知るカフェ」も初の海外出店先としてIITを選んでいます.
ここで私は、土木工学科構造材料研究室にお世話になりました。
皆さんはご存知でしょうか?人間が地球から取り出す資源のうち水に次いで利用されている物質がセメントであることを。
日本の建設業界の関心が維持管理へ移っているのに対して,インドにはまだまだ莫大な建設需要があります.
しかしながらインドの経済成長を支えるために従来の開発を推進していくためには,地球環境への大きな負荷が避けられません.
そこで,研究室ではCO2排出量の少ないセメント材料代替物SCMの開発について学んでいました。
また,せっかくの機会でしたので,公的研究機関やデリーメトロの現場見学をさせていただくといった実習内容でした。
日常会話はヒンドゥー語ですが,英語は公用語になっているので通じます.
インド人の英語は何を言っているのか分からないとよく聞きますが、実際、速いうえに独特のなまりがあって聞き取れません。
(しかしながら,なまりうんぬんではなく問題なのは,分からないことに対して配慮してくれないという根本の部分な気もしましたが…)
ただし,IITの学生は聞き取りやすい発音で話す人が多かったような気がします。
エリートは英語の重要性を知っているので、幼少期からperfect American Englishを話せるように塾に通うとか…
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大学内にあるホステル(全寮制)はお世辞にもきれいとは言えません.
留学前は大学のゲストハウスと聞いていた気がしたのですが、無事に現地学生用のホステルにされました。
300人弱が住むホステルでしたが,私以外は現地の生活に慣れたインド人。
待ち構えていたのは
傾いたベッド,お湯の出ないシャワー,そして汚いトイレ
(左手を使って水で洗うため床が濡れている)
数年前まではエアコンの設置すら認められていなかったそうです。
40度を超えるデリーの夏を一体どのように過ごしていたのか…
生き抜く力が強すぎる。
タフでグローバルになりたい方はインドに行くことをオススメします。
インド料理といえばなんといってもカレーですが、私は一日三食、カレーを食べ続けていました。修行…?
もちろん,日本のカレーとは違います。
スパイスの効いたスープ仕立てとなっているのがインドのカレー。本郷通りのインド料理屋も現地の味ではありません。
ベジタリアンが多いため,想像していたチキンカレーなんてものは食べられませんでした。
ある日のランチは豆のカレーとまた別の種類の豆のカレーでした。とってもヘルシー。
ちなみに,カレーの横にあるのはナンではありません,ロティです→重要
発酵させた生地をタンドリーという窯で焼き上げる高級品のナンと違って、全粒粉と塩と水を混ぜてフライパンで焼いただけのパン。それがロティです。
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実は入国日のデリーは史上最悪レベルの大気汚染となっていました。
非常事態宣言がなされて学校の休校や建設工事の禁止が命じられました。
空港に迎えに来てくれた学生からは明日になれば風が吹くので少しはましになるだろうと言っていましたが,そんな呑気な...
しかしながら,不思議なことに当のインド人はあまり危機感を持っているようには見えませんでした.
もちろん新聞等では政府の対応を批判する論調は見られますが,街行く人でマスクを着けている人はほとんどいません.
日本でニュースになるPM2.5の基準値の10倍以上高い濃度となっているのにも関わらず、です。
とはいえ,さすがに不安だったので、近くの薬局にマスクを買いに行くことにしました。
しかし,パッと見てお店に取り扱っている様子はありません。
店員さんにPM2.5にも対応のマスクが欲しいと伝えると、がさがさとカウンターを探して出てきたのは手編みのマフラーのようなマスク。
2.5µmどころか,いろいろな粒子が通りまっせという感じでした(笑)
インドでマスクをすることは諦めました。
滞在期間中にはもう一つ,国家全体を揺るがす大きな事件がありました.
モディ首相「明日から高額紙幣は使えなくしまーす」
物価の低いインドで豪遊しようとたくらんでいた私の所持金が20Rs(32円)となった瞬間でした。
昔から問題になっていたブラックマネーや偽札の横行を禁止するための抜本的な対策だったようですが,あまりにも突然の通知だったためさすがのたいていのことには驚かないインドも混乱に陥ります。
銀行には旧紙幣を預けて,新紙幣を引き出すための長蛇の列。
列に長時間並んでいたため死人が出たという報道も...
私も現金を得るために並んでみました。
結果報告…
一回目:預け専用だと発覚して紙幣を引き出せない
二回目:待っている最中にATMからお金が無くなる
結局は現地の学生からお金を借りてしのぎましたが、毎日一本のミネラルウォーター2L/40円を購入するだけという極貧生活が5日間ほど続きました。
幸いなことにホステルの食事は朝昼晩提供されていたため,生きていけないという恐怖はありませんでしたが
カレー以外のご飯食べたい,たまにはお肉も食べたい,せめてジュースを買いたいと切実に願っていました.
一円の重みを感じたい人はインドへ行けばいい!
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ここまで読んでみて,インドに行きたいと思う人はどのくらいいるのでしょうか.
インドに行った人は,ドはまりしてしまうか,二度と行きたくないと思うか,きれいに二分されると言わています.
さて,みなさんはどちらになるのでしょうか(行かないかもしれませんが)
一か月という短い期間ではスキル面で大きな成長は見られませんでしたが、
全く違う背景を持った人と会話をする中で広がった考え方というものが強く残っています。
IITの学生とお互いのキャリアについて会話したり,結婚式に参加して陽気なインド人と踊ってみたり,観光地の悪いインド人に騙されたり,,,
私が会った人々はインド人のほんの一部を取り出しているに過ぎませんが、通じているのはちょっと緩いということ、日本のように統率された社会でないにも関わらず、何だかんだ言って生活は回っている。(やや緩みすぎている気はしますが)
気を張りつめていなくてもきっとうまくいくんだという根拠のないおおらかさは見習うべき点だという気がしました.
インドでは現地の方だけでなく,ツテをたどって日本人とも何人か会いました。
インドで会った日本人は,何かしらの強い動機を持って生活している人が多かったです。
高卒後に直接インドの大学に進学した学生,イスラム史を学びにインドにやって来た大学院生,鉄道大好きな元商社マン,,,
一風変わっているけど,私が欲しても手に入れられない情熱を持っていました。
いい大学に入って,いい会社に入ることを信じて疑わなかった私にとっては,生き方はひとつじゃないんだと思いました。
いやいやの留学でしたが,同じ一か月間を日本で平穏に過ごすことと比べると、想像していなかったように考え方が広がり,自分のちっぽけさを知ることができたと思います。
インドに限らずたとえ目的が明確でない留学や海外旅行だったとしても
共通の土地を通じて人とのつながりが増えていくことは面白さがあるように思いました.
また,インド行きたいなあ...