ユーグレナ社長・出雲充氏が斬る「成功に、正しさも効率も関係ない」




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バングラデシュでの体験

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出雲さんにとっての、そういう体験は何だったのでしょうか。

 

大学1年生の時にバングラデシュに行ったことですね。本当にびっくりしました…。

 

どのような経験をしたのですか?

 

バングラデシュという国は、1億5500万もの人が、北海道の二倍しかない非常に狭い国土に密集しています。国中が渋谷のスクランブル交差点みたいなものです。6000万人以上の人は、朝から晩まで一生懸命働いても1日の給料が100円という生活。そういう人たちは電気が家にありません。

でも飢え死にしそうな人は、一人もいませんでした。みんなカレーを山盛り食べて、満腹です。お米はいくらでも採れるので。

 

問題は、栄養失調なんです。飢餓じゃない。

お米しか採れないから、果物も野菜も卵もお肉も魚も何にもない。電気がないので冷蔵庫に貯蔵できない。売ってもないし、流通もしてない。

みんな栄養失調で免疫力が低いので、細菌性の感染症が爆発的に広がる。一度広がると、蔓延した状態がずっと続いて、大勢の人が亡くなります。

 

こういうことは、インターネットで調べるだけでは分からなかったと思います。

 

満腹なのに栄養失調になるんですね。栄養失調というと、ガリガリになったアフリカの子供とかを思い浮かべます。

 

それは、飢餓です。栄養失調とは、全く違うカテゴリーにあるものです。

センセーショナルなニュースばかり報道されるから、そういう印象を持つのかもしれませんが、飢え死にしそうな人は世界ではごく少数です。

国連の報告書には、解決すべき課題として「飢餓」っていう単語は書いていません。

 

全世界で12億もの人が直面している問題は「栄養失調」です。

 

「飢餓」と「栄養失調」、混同していたのは僕だけではないはず。そんな無関心を変えうるのは、衝撃的でリアルな体験だけなのかもしれません。

人のキャリアを決めるものとは

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バングラデシュにある多くの問題の中で、なぜ栄養失調を解決したい、それもミドリムシで解決したいと思ったのでしょうか?

 

それはもう、偶然としか言えませんね。

たしかにバングラデシュにある問題は、栄養失調だけではありません。

私の知人にも、学校を作っている人、水を浄化する化学薬品を作っている人、長く使えるフィルターを開発している人、いろんな問題に取り組んでいる人がいます。

同じ栄養失調でも、冷蔵庫がなくても野菜を運搬・保存できるものを開発するとか、いろんなアプローチがあります。

 

全部正解です。ミドリムシじゃなきゃダメなんて、一度も思ったことはありません。

その数ある正解の中から、人のキャリアを決定づけるものは、「最初のお客様に喜んでもらった体験」だと思っています。

 

さっきもあった「明確で完璧な理由付けが、行動を決めるのではない」という話にも通じますね。

出雲さんの場合、それは何だったのですか?

 

ある日、大阪の学校の先生からお手紙をいただきました。

「今まで色んなサプリメントにだまされてきたけど、ミドリムシを試してみたらとても自分に合っていた。とても助かってる」って、健康診断の検査表を同封して。もちろん身内でも何でもない、知らない人ですよ。

 

私が本当の意味で、「ミドリムシで頑張ろう」と思ったのは、その日からです。やっぱり自分は間違ってなかったって。

研究で得られるどんな科学的な証明も、使ってくださったユーザーの、「ありがとう、あなたの商品があってよかった」の声には及びません。最初のお客様に喜んでもらうまでは、誰だって不安です。

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学校を作った友達も同じです。

作ってる間はずっと批判され続けるんです。隣の村にもその隣の村にも学校がないのに、なんでここだけえこひいきするんだとか、不公平だとか。世の中批判はつきものです。

 でも、最初の一つ目の学校を作って、そこで勉強した子供が卒業なんてする日には、ほんとにもう死んでもいいってくらいうれしいし、「一生がんばろう」という勇気と決意がみなぎってきますよ。

 

戦ってる場所は違っても、根本には同じ思いがあるから、リスペクトしあえるのですね。

でも、誰もがそんな経験に出会えるのでしょうか?

 

そういう瞬間はみなさんにも、必ずいつか訪れます。それもインターネットじゃない形で。

そういうものと一日でも早く、全員に出会ってほしい。

そういう感謝・ありがとうがあって、自分の天命はこれだ、という自信と自覚が芽生えた後は、ビジネスも研究もどんどん進んでいくものです。

 

→次ページ、出雲さんから学生へ、未来を切り開くには…

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田中マルクス

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