自由にコラムを書いてくれと編集長に言われ、真面目に一本書いてみたあと、他の先輩ライターのコラムを見てみると、やれDJだやれアイドルだ……。えっ。みんな好きなもの語ってるじゃん。じゃあわたしも語るしかないよね、語ります。
基本的に雑食なので、漫画で好き嫌いはあまりしません。少女漫画も勿論読みますが、第一話でカッコいい男の子がヒロインに向かって「……面白いやつ」と言ってフッと笑うあたりでムズムズしてくるので今回は省略します。(大好きな少女漫画もたくさんあるので決してディスっているわけではありません)
少年漫画が好きです。大好きです。なんで好きかって、ワクワクするからです。強くなって、敵を倒して、より強い敵に出会い、それを倒すためまた奮闘する……。かつてこっぴどくやられた強大な敵を、能力や知力を絞りつくして倒していく――ワクワクするでしょう。
「完全自由」コラムと言われたので自由に書きます。わたしの愛してやまない2つの少年漫画を題材に、その魅力を紹介しようと思います。
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漫画の中で特にわたしが好きなのが、いわゆる「能力モノ」です。登場人物がその漫画の世界観に共通する何らかの特殊能力を会得し、それを用いて戦う――というものです。有名なものでいえばジョジョの奇妙な冒険が原点にして頂点と言えるでしょうが、ここではBLEACHとHUNTER×HUNTERを取り上げたいと思います。
まずはBLEACH。そう、卍解(バンカイ)です。もはやiPhoneで一発変換できてしまうほどに有名になりました。関係ないけどiPhoneは「あいふぉーん」って打たないと変換できないのかなりむかつきますね。BLEACHでは、登場するすべての死神が斬魄刀(ざんぱくとう)と呼ばれる刀を所持しており、死神は己の斬魄刀固有の能力を使って敵を倒していきます。
HUNTER×HUNTERの世界では、念と呼ばれる人の生命エネルギーを用いて、各々が発と呼ばれる固有の能力を習得していきます。
BLEACHでは能力は先天的かつ意思に関係なく、HUNTER×HUNTERでは能力はほぼ後天的かつ己の意思で決定されるという違いはあるものの、これらの「能力モノ」漫画に共通するのは「他者と能力が被らない」という点です。物を凍らせる、電気を生み出すなど、直接相手にダメージを与えるものから、切りつけたものの重さを倍にする、他者の意識から自分の存在を完全に消すといった特殊な使い方をする能力まで様々です。
この、「能力の唯一無二性」にわたしたちは引き付けられていると思うのです。
昨今「個性」という単語をよく耳にします。みんな、どこか人とは違う点を己に見出したいのです。自分が大勢のうちの平凡な一個であることを認めたくない、けれど圧倒的な能力を持っているわけでもない。多くの人が抱いているこの葛藤によって、人は漫画の登場人物に感情移入し、彼らの持つ能力の個性に強烈に惹かれることになる。少なくともわたしはそうです。だから、自分が使えるとしたらどの能力がいいかな、なんて考えるのです。(ちなむと、わたしは四次元マンションが欲しいです)
と、一丁前に理由付けをしてみましたが、「だってかっこいいじゃん!」、結局はこの一言に尽きます。
一見超えられそうにない困難に立ち向かうために、己の限られた能力をどのように使ってくるのか、展開に目が離せないしめっちゃワクワクしませんか!しますよね!
現実世界において、努力は必ずしも結果につながるわけではありません。かなり時間を割いて勉強してもいい点が取れなかったり、毎日遅くまで練習していたのに本番で失敗してしまったり。一定の時間と労力を割いて努力をするからには、報酬としての相応の結果が欲しい、そう望むのは自然なことだと思います。
その欲求を叶えてくれるのが少年漫画における”修行”です。
例えばHUNTER×HUNTER。主人公の少年たちは、師匠の下で修業し、時間と労力を割いて確実に強さを手に入れていきます。血筋や才能といった先天的なものに甘えることなく、自身を過酷な環境に置き、厳しい修行に耐えることで一定の対価を得、それを用いて目標を達成していくのです。
より強い敵を倒すための一撃は、つらい修行を通じててやっと手に入れたものです。
大切な一点が入ったのは、それまでの2万本のシュート練習があったからです。
もしこれらが努力なしに得たものであったならば、これほどの感動はなかったでしょう。
「努力の対価としての結果があってほしい」、その欲求に応えてくれるからこそ読んでいて心地よく感じるのではないでしょうか。
もちろん、努力が実を結ばない展開も往々にしてあります。
それまで無双していた登場人物にすら突破できない圧倒的で不条理な力が世界観に描かれるとき、不安を抱きつつも、どこかその展開に心惹かれている自分がいます。
「せめて漫画の中では努力が報われる」ことを望み、それに心地よさを感じながらも、「漫画の世界にちらりと現実味やその残酷さがのぞく」こともまた面白いと思ってしまう。
物語の世界だとわかっていながらも、どこかその物語に現実性を見出したい。それは、物語の世界に現実を重ねることで、努力が報われる展開が自分の生きる現実でも起こるのだと思いたい、そんな欲求が原因なのかもしれません。
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好きなものは好きです。上で挙げたいくつかの考察は所詮後付けにすぎません。
「面白いなぁ、好きだなぁ」という思いが先にあって、そう感じる理由を強いてあげるならば、と文字に起こしているだけにすぎないのです。
もちろん他にも、わたしたちをワクワクさせてくれる要素はたくさんあります。能力の名前や呪文、メチャクチャかっこよくて思わず口に出してみたくなりますし、手に汗握るストーリーや、バトルシーンなどそのどれもがわたしの心をつかんでやみません。
最近ではワンピースや進撃の巨人などの流行により、男女問わず少年漫画に触れる機会が増えていることと思います。今まで漫画に触れることがあまりなかった人も、是非手に取って読んでみてほしいです。メチャクチャ面白いから!