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【学術展示】世界の地震の約1割は日本で発生?自然現象を理解するということ

2016.05.13

皆さんこんにちは!東京大学理学部地球惑星物理学科です!

この度、今週末に予定されている五月祭において、このような形で私たちの学科展示を宣伝する機会を頂きました。この記事を通して、少しでも多くの方に「地球惑星物理学」という分野の魅力を伝えられたらと思います!

五月祭で展示する内容をご紹介する前に、まずは私たちの学科について説明したいと思います。

地球惑星物理学科とは?

地球惑星物理学科は、文字通り「地球や他の惑星に付随する自然現象を、物理学を通して解明していく」ことを目的とした学科です。カバーしている主な分野は、気象学、海洋物理学、地震学、火山学、惑星進化学、プラズマ物理学と多岐に渡っています。

この学科の特徴は何といっても「スケールの大きい現象を物理学の基本法則を使って理解していく」という点です。

人工衛星から見た地球の雲

・・・。これだと少しわかりにくいので、天気予報を例に挙げて考えてみましょう。

今や地球上どこにいても明日の天気に関する情報が得られるような時代になりました。言うまでもないことですが、地球は私たちから見たら比べ物にならないほど大きい天体です。ではなぜこんなに広域に渡って天気予報が精度よく行えるのでしょうか。

それは「自然現象が物理学の基本法則の上に成り立っているから」です。一見複雑に見える自然現象でも、一つ一つを紐解いていくと実はシンプルな法則で説明することができます。

かの有名な天文学者ガリレオ・ガリレイは、自身の著書「天文対話」の中で以下のような印象深い一文を書き記しています。

自然は、我々の知性にとっては限りなく驚嘆すべきことを、最高度の容易さと単純さとで行っている。

(引用:『天文対話 下』ガリレオ・ガリレイ/著 岩波書店 1977)

まさにこの考えの元、私たちは自然現象を解明するために日々勉強し、研究をしています。

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地球惑星物理学の重要性

本学科は様々な自然現象に対して、理学の視点からアプローチをしています。

例えば地球温暖化を始めとする気候変動問題や、近年日本で目立つ地震活動です。温暖化や地震発生のメカニズムを解明することは、今後私たちが社会生活を恒常的に営んでいくために必要なことですよね。

他には、知的生命体が存在できる環境を持った惑星を見つけるための太陽系外惑星探査、なども扱います。系外惑星探査を通して、私たちの住む地球がどのくらい特殊で、どのように生命を育む環境を獲得していったのかを理解することができるかもしれません。

このような点から、地球惑星物理学というフィールドは今後ますます重要になっていくでしょう。

系外惑星の想像図

今年の五月祭について

私たちは扱う自然現象を、海と気象、地震と火山、そして宇宙と惑星の3種類に分類しました。班も「大気海洋班」、「固体班」、「惑星班」の3つに分け、五月祭に向けて半年前から準備をしてきました。

今年は、室内実験やシミュレーション結果の可視化のクオリティに力を入れ、来場者のみなさんにとって理解しやすいような工夫を随所に施しています。

どの企画も大変興味深い内容なので、次にそれぞれの班のテーマについてご紹介していきたいと思います!

①気候変動で台風はどう変わる?―大気と海洋の相互作用(大気海洋班)

台風と聞くと、学校が休みにならないかとドキドキし、非日常の感覚にワクワクした小学生の頃を思い出す方もいらっしゃると思います。しかし対策を誤ると、(時には非情にも対策を講じていたとしても)思わぬ被害に遭ってしまうことがあります。日本人にとってとても身近な、台風という自然の脅威についての研究は特に重要と言えるでしょう。

今年の大気海洋班のテーマは「異常気象がどのように台風に影響を及ぼすか」です。そして、柏キャンパスにあるスーパーコンピュータFX10を使用して数値シミュレーションを行いました。可視化した画像を使って台風が発達、衰退していく様子も再現しています。

全球モデルを用いた太平洋上の大気シミュレーションの様子

②地球内部で起こっていることとは?ー地震と噴火のメカニズム(固体班)

地震と聞くと、先月発生した熊本地震が記憶に新しいでしょう。実は地球全体で発生する地震のうち約1割が日本で起こっているという観測結果があり、名実ともに日本は地震大国なのです。

今年の地震パートは、地震が発生するメカニズムを簡単なモデルを使って再現し、タイトルにもあるような地震統計についての解説も充実させました。当日も地震発生モデルを使用し、室内実験という形での実演を予定しています。火山パートも室内実験として火山噴火の模擬実験を行う予定です。

火山噴火の模擬実験の様子

③宇宙空間では何が起こっている?ープラズマで紐解く宇宙(惑星班)

「私たちの住んでいるこの太陽系はどのように形成されたのか?」この問に対して、私たち人類は未だに明確な答えを出せずにいます。

今年の惑星班は、惑星形成に重要な役割を果たすと考えられるプラズマ現象に関するシミュレーションを行いました。また、プラズマ粒子が引き起こす美しい自然現象であるオーロラを室内の装置で再現する予定です。

オーロラ発生の模擬実験の様子

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まとめ

いかがでしょうか?この記事を読んで少しでも興味を持った方は是非お越し下さい!簡単な景品付きクロスワードパズルも用意していますので、足を運んだ際は挑戦してみてくださいね!

私たちと一緒に、自然現象をより身近に感じ、自然に対する理解をさらに深めてみませんか?

<企画情報>

企画名 :「地球と惑星の物語」
企画団体:理学部地球惑星物理学科
企画場所:安田講堂エリア 理学部一号館 3階
     331、及び336教室
企画時間:5/14(土)、5/15(日) 終日

<執筆にあたって>

本記事中の画像は、「五月祭について」及び最後のイラストに関しては学科の学生が作成し、それ以外のものに関しては以下に示すURL元の画像を使用しました。

https://stocksnap.io/photo/JRVIMXKSYX

https://stocksnap.io/photo/QV9FND5D5O

https://stocksnap.io/photo/76C18366BC

http://img.tabi-labo.com/wp-content/uploads/2014/10/lava-flow-to-pahoa2-1038×576.jpg

http://metamorphose-planet.c.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_853/metamorphose-planet/Kepler22bArtwork_946-710-dad7b.jpg?c=a0

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東京大学理学部地球惑星物理学科
はじめまして! 東京大学理学部地球惑星物理学科です。UmeeTのライターをやっています。よろしければ私の書いた記事を読んでいってください!
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