【体張りすぎ】東大出身ギャグ漫画家「東大生は心の穴まみれ!」【限定漫画つき】

LINEで送る
Pocket

IMG_3916

 

―方向性を見失いながらも、進学振り分けでは当初の予定通り生物系に進まれたんですね。

 

はい。後期課程では勉強も研究も、苦労しながらも楽しく取り組むことができました。そこで腰を落ち着けてみて気がついたのは、外部から体験や感動を得ても、自分に何かが欠けているせいで、まるで定着しないということでした。

 

―そんなにアグレッシブにいろいろやってるのに、あんまり心に刺さらないんですか?

 

そう、何を経験してもこぼれ落ちていって、あんまり残らない。そこで自分の内面を見つめてみると、つねに虚しくて心に穴があいていた。この心の穴が気になって前に進めない。どうしたらいいのかと悩みましたが、人の内面なんてすぐには変わりません。ゆっくり解決していこうと思い、成果をあせるのをやめました。

IMG_3945

 

現実を生き延びるメソッド

 

―そして2013年に大学を卒業したのですね。

 

社会人になると、お金も時間も学生時代より自由になった。それでも、心の穴が埋まることはありませんでした。むしろ、生活が安定したことによって、自身の心の穴に目が向くことが増えました。

 

―今年出版された『心の穴太郎』はそこから生まれたのですか?

 

じつは去年1月に引っ越しをして、十数年ぶりに机を手に入れたんです。それで、机があるのがうれしくて小学校以来で漫画を描いてみたのが『心の穴太郎』。心の穴から生まれたから「心の穴太郎」なんですけど、最初はチラシの裏とかに描きなぐっていました。

 

―それが、あっという間に書籍化しちゃったんですね!?

 

机を買ったおかげです。机って偉大ですよ! 平らだし。今うちに4つも机あります。

 

―(机への評価がとにかく過大だなぁ……絶対4つ要らないよね……)

ー『心の穴太郎』はどんな人に向けて描いたのですか?

 

最初は同世代に向けたギャグ漫画のつもりでした。だけど意外にも、女子高生から中高年男性まで読んでくれてるらしい。「アホすぎて笑った」という人もいれば「哲学書だった」「泣いた」という人もいて謎です。新政府総理大臣の坂口恭平さんに「わかるよ」って帯を書いてもらったのですが、人それぞれ何かを感じてるのかも。

IMG_3963

 

―読者それぞれが共感ポイントを発見できるのですね。どんなことを考えて描いてるんですか?

 

マイナスのことの中に、いかに笑いどころを見つけるかです。「本当につらかったけど、後になったら笑い話」ってよくあるでしょう。私が学生時代、自分で自分にメールしてたのも、そのときは半泣きでやってたけど、少し経ってから客観的に振り返ると、だいぶマヌケで笑える。

 

―つらいときのことを思い返して、あえて笑えるところを探すんですね。

 

はい。みんなそうだと思うんですけど、現実をきちんと生き延びていくのって、けっこう大変ですよね。だけど、その大変さの中に、笑いどころが隠れていることもあります。そこを見つけ出せると、つらい気持ちが薄まったり、客観的な気持ちで考え直したりできるかもしれない。

よく、「シャレにならない」って言うじゃないですか。たしかに世の中、シャレにならないことがたくさんあります。すべて真正面から受け止め続けたら、現実をサバイバルすることはできません。だったらその分、シャレにできることはシャレにしちゃって、ダメージを減らしておいたほうがよいのではないでしょうか。

 

IMG_3960

東大生は心の穴まみれ

―東大生にも、心の穴ってあるんでしょうか?

 

東大生は心の穴まみれですよ! 「優秀」な人が多いけど、その中にも、あらゆる種類のヒエラルキーがある。

必死で勉強して合格して、授業についていくのが精一杯のイカ東(「いかにも東大生」)もいれば、けっこう遊んでいるのに要領よく単位をとる、他大のかわいい彼女持ちのイケメンもいる。

 

―わかります……同じ東大生なのになぜなんだ……。

 

格差を感じますよね。本当は、それぞれ良いところも悪いところもあるのに。自分より相手のほうが優れているポイントだけで比較しちゃって、劣等感でひねくれてしまう人がたくさんいる。

 

IMG_3971

自称、穴太郎のコスプレがついに完成。作者が言うんだから、まぁしょうがないですよね・・・

 

―「誰かと比べてダメな自分」に悩むことって、誰にでもありますよね。

 

入学したての東大生は、多かれ少なかれ希望に燃えています。中には「優秀な自分」のイメージに酔ってる人もいる。聞かれてもいないのに大学名を言ったり、いつまでもセンター試験の点数を競ってたり。だけど、身1つでは何もできない自分に気がつくと、心が折れる。人間関係や就活で挫折を経験することもあるでしょう。

それでも、世間、地元の人たち、親戚は、ときに「優秀」のレッテルを貼りつづけます。「東大生なのになんでつらいの!?」とか言われたら、もうどうしようもない。

イメージと現実のズレに悩み、自尊心と劣等感が混ざって混乱する。その結果、自己肯定感がなくなってしまう。うまくいかないこともある自分でいい、と思えるまでの道のりは長いです。

 

 

穴があってもいいんだよ

―心の穴持ちの東大生たちにアドバイスはありますか。

 

「心に穴があってもいいんだよ」でしょうか(笑)。

あとは「自分の心の穴の正体を考える」。私も、自分の心の穴に悩んだときがありました。だけど、自分が感じていた虚無感は何だったのか、自分の心の穴が何なのかを考察し続けた結果、「自分は心に穴があってこそ自分なのだ」と納得することができました。

 

―心に穴がある自分や他人を受け入れられる余裕が欲しいです。

 

もちろん、「充実! 心に穴あいてない!」って人は、幸せです。でも正直、どこかに足りないものがある人のほうが、私は愛着を感じます。

「心の穴を埋めたい」というのは当然の欲求です。だけど埋まらなかったからといって、ダメ人間なわけではない。穴のぶんだけ心の表面積が増えてるかもしれないし、穴によって風通しがよくなってるかも。心の穴が生み出す虚無感は、人を優しくしてくれると思います。私なんて、だいぶ優しいですよ(笑)。

あと、つらいときは「これ後で絶対、笑える話になる」と妄想することです。

そして、落ち込んだら漫画を読むといいですよ!『心の穴太郎』、生協書籍部でも売っていますからね!

 


『心の穴太郎』には「がんばって穴を埋めようと奮闘するけど、何か穴埋めを妨げること(クスッと笑えること)が起きて結局埋まらない」と言うエピソードが多いです。

本のタイトルだけ見ると少しネガティブな内容をイメージしますが、いざ手にとって読んでみると、「自分にも心の穴があることを受け入れて、それを笑いに変えてしまう」穴太郎に自分を重ね合わせて、気付いたら勇気づけられていることもある。

心の穴太郎は、異色の経歴を持つハミ山さんだからこそ生み出せたキャラクターというわけではなく、実は読者の皆さんのすぐ側にいるのかもしれません。

 

最後に:東大生向け書き下ろしの限定作品を掲載しちゃいます!

思わず心の穴の存在を再確認してしまう東大生も多いのでは・・・

東大生の穴太郎 (1)

心の穴太郎はつらいと心の穴が広がるんです

もっと知りたくなったあなたはこちら!

作者クリニカさんのtwitter   心の穴太郎のtwitter

LINEで送る
Pocket

ABOUTこの記事をかいた人

杉山大樹

UmeeT編集長 常にエンターテイナー的でありたいです。 笑論法創設代表・東大エンターテイメント広報部部長

この記事に感想を送る▼

メールアドレス (必須)

メッセージ