【瀧本哲史インタビュー】革命抑止大学東大:革命、起こしませんか

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沿革で分かる大学の特色

ゼミ生: 他の大学、例えば京大はどうでしょう。

瀧本 : 京大は、最強元勲である西園寺公望が「もう一個、帝国大学作るか」ということで作りました。

元になったのは舎密局(せいみきょく。オランダ語「CHEMIE:化学」の音訳)という化学実験教育研究機関ですね。これは、テキストを暗記させる、江戸時代の寺子屋教育とは断絶していて、化学実験中心の実証主義だった。しかも、東大とは異なり、ドイツの自由な大学をモデルにした。

自由な体制でやらせてみた結果、滝川事件(1933年の思想弾圧事件)なども起きました。一方、東大の平賀粛学(1939年、経済学部教授の13名が辞表を提出した事件)は思想的なものもありますが、基本、派閥争いの喧嘩両成敗です。ちなみに天皇機関説事件はイチャモンですから、ここではノーカウントでよいでしょう。

いずれにせよ、国家予算の数年分に達した日清戦争の賠償金から、京都大学の創設に金を回して、東大とは違うモデルを創った西園寺は、さすが最強元勲という感じですね(編者注:ちなみに、瀧本ゼミには京都ゼミもあり、東京とは違うモデルで運営されている。両ゼミは東西戦という形で交流・切磋琢磨している)

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最強元勲・西園寺公望。数少ない公家出身の元勲で、京大や立命館大学の設立に関わった。議会主義の擁護者としても知られ、対外的にはイギリスやアメリカとの協調外交を志向した。1940年没。

ゼミ生: 日本以外の国はどうですか?

瀧本 : 『ハーバードの世紀』という本があります。これを読むとよく分かるんですが、アイビーの大学は「俺たちが国家建設する」という気概に溢れていますね。いわば、「国家が大学を創った」のではなく「大学が国家を創った」という。

ケンブリッジも面白いですよ。元々オックスフォードで住民と対立した学者たちが引っ越しして出来た。その中でも、面白いのが、ニュートンの出身でもあり、ノーベル賞を32人輩出しているトリニティカレッジです。このカレッジは港を3つ所有しているらしく、そこから賃料収入が入るという、とてつもない財政基盤を持っています。その財力は「昔王様から譲り受けた」ということになっている。えらく社会貢献的な王様だと思うじゃないですか?

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ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ。ある王様によって1546年に創設された。

この王様は、実は有名なヘンリー八世で、その財源といえば、国教会を作ったときにカトリック教会から接収した財産ですよね。そりゃあ「元は人のものですから、気楽に寄付出来ますよね」といった感じが、しないでもないです。

ゼミ生: あ〜、カトリック教会には悪いですけど、宗教革命は強いですね。ただ、革命は日本ではもう起きないですよね…。惜しい…。

革命、起こしませんか

瀧本 : でもある意味では、今の東大も革命者からお金をもらっていますよ。赤門入って右は流通革命(伊藤国際学術研究センター)、左は教育革命(福武ホール)です。ちなみに、学生運動に失敗して、東大を中退、外食革命に路線を変えた、ゼンショーの小川さんも東大の大口寄付者で、なかなかお金がつきにくいテーマに寄付を頂いていますよ。

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左から、伊藤国際学術研究センター・赤門・福武ホール。

僕としては「こういった革命志向の人間がもっと増えないと、日本は堕落していくだろう」という危機感がある。というのも、明治の元勲達が設計した、「後進キャッチアップ国家」型の「富国強兵・殖産興業、官僚制・常備軍」モデルはさすがに破綻しているだろうと思うのです。

なので、新しい高等教育を再定義して、その小さなトライアルとして、大学生の内に「社会がどう動いてるか」「どのように意思決定をするのか」をインテンシブに学ばせ、のちのち構成員が社会を変えるゲリラになるような組織、というのを創ってみた。実際にやってみたら、案外続いて、もう5年目になりました。

こういう沿革ですから、「就活で自慢することができた」とか「有名ゼミに所属できて嬉しい」とかで満足するような人には全然入ってほしくないです。革命志向の組織なので。あ、でもウチは資本主義革命ですが(笑)

第一弾「流されるまま東大:消化試合としての人生」

第二弾「地方大学東大:高値掴みする東大生」も併せてお読み下さい。

なお、瀧本哲史氏が東大生を中心に開いているゼミ「東京瀧本ゼミ企業分析パート」は、2016年度5.5期生を募集しています。

見学会日程
10/17 19時〜 @東大駒場キャンパス和館
10/30 17時〜 @東大駒場キャンパス
ES公開:10月中旬(後日HP上にて告知)
ES締切:10/30

詳細はこちら、ゼミ説明会の申し込みはこちらからご応募ください。

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ABOUTこの記事をかいた人

瀧本ゼミ

ビジネスと政策へのリサーチを通じて、 よりよい意思決定の方法を習得し、 社会にインパクトを与えるために行動する

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