“東大みかん愛好会”。
数ある東大にあるサークルの中でもひときわ目を引くこの団体。
東大でみかん?? なんかの冗談かと思いきや、学園祭で蛇口からみかんジュースを出してみたり、校内で無料みかんを配ったりと、なにかと話題を掻っ攫っています。一体なんなの?どういう人がやってるの?
ということで、今回は東大みかん愛好会代表・清原さんのお家に伺ってお話を聞いてきました。
注目していただきたいのは、会った瞬間「あ、この人どこかおかしいな」と思わせる独特の雰囲気。もちろんいい意味ですよ。
言葉にしづらいですが、なんとか文章でお伝えしたいと思います。
☞学生証
- お名前:清原優太さん
- 所属:東京大学経済学部4年生
- 進路:みかん研究者か、みかんに特化した会社の経営者か、農水省か、考え中!
— 今日はよろしくお願いします。
はい、あ、ぜひこのみかん食べてください!
近くの老舗の八百屋さんで買ってきたんですけど、和歌山県のトップレベルの農家さんから限定で仕入れてきてるんです!
ほんとにふつうのみかんと全然ちがうので!
— おいしいです(違いは分からないけど…)
でしょ!!! 20個買ってきたんですけど、僕目の前のみかんあると無くなるまで止まらないので、先に確保して食べてくださいね!
— いや、1個で十分です(笑)
謎の団体、立ち上がる

— 単刀直入に聞きますけど、みかん愛好会、一体何で作ったんですか
え、みかんが好きだからですよ。
— 昔からずっとですか?
はい、僕が食べ過ぎるので両親はみかんを僕に見つからないように隠していましたね。また、小学校時代はみかんの食べ過ぎで肌が黄色くなり苛められたこともありました。
— それでも食べるのをやめなかったんですね。でもいくら好きでも普通は団体つくろうという所まではいきませんよね。キッカケはなんだったんですか?
きっかけはほんとにちょっとしたことだったんです。2013年春のある日、あまりにみかんが好き過ぎてTwitterで「みかん」と検索したら、「みかん3世」という名前のアカウントが一番にヒットして・・・。僕もLINEでみかん5世と名乗っていたので、似たような発想をするひとが他にもいるんだと感動してフォローしました。
— 他にもいるんですね、そのレベルの人……
彼はICU (国際基督教大学) の学生だったんですが、Twitterでの交流や、共通の友人がいたことなどが手伝って、実際に会いましょう、という流れになって。
2013年の秋の駒場祭で会って、意気投合したんです。
それでみかんサークル作っちゃおう、という流れになって、作っちゃいました。
そんなノリで作った団体ですが順調に成長して、メンバーが100人超えるまでになりました。
今では僕よりももっとみかんが好きなメンバーも在籍しています。
— さらに上が?
みかんの「皮をむく音」が好きな女の子とか居ますよ
— ……。
みかん愛好会の活動紹介動画▼
アイデンティティを模索した駒場時代
— それまでサークル入ってたりはしてたんですか?
結構転々としましたね。大学入ってすぐは、ふすま部に入ろうとしました。
— ふすま部!? のっけからツッコミどころ満載ですね。
当時としては、面白いサークル入って面白いことしたい!と思ってました。
でも今思えば東大に来て、勉強で勝てないことを知って、自分のアイデンティティを保とうと色々模索していたんじゃないかと。
それで、ふすま部なんですが結局入れなかったんですよね。
セレクションで落とされちゃいました。僕、器用じゃなくて、練習は頑張ったんですけど、上手くふすまが貼れるようになれなかったんです。
— ふすま部は、ほんとにふすま貼りの営業案件をやってるから、セレクも厳しいらしいですね
いや僕、本当に不器用なんですよね。
セレク落ちたのは2012年の夏なのですが、僕の下手さは2014年の新歓でも語り継がれていたそうです。色々とふすま部の方にはご迷惑をおかけしたのでこの場で謝りたいですね……
— そんなにですか! 想定外レベルだったんですね
その後は、時代錯誤社(東大で有名な「教員教務逆評定」などを出版する文芸・出版サークル。)に入りました。
時代錯誤社のマスコットキャラクターのカッパの格好で生協ダンサーズ(校内、特に生協前で練習をしているダンスサークルの皆さん)と踊ったり、三四郎池にダイブしたり、変わったことをやる恐怖感が無くなりました。
— うーん、さすが時錯。コンテンツが尖りまくってますね。清原さんの独特の雰囲気も、確かに時代錯誤社出身と言われれば納得しちゃう部分があります(笑)
時代錯誤社での経験は今の自分に大きな影響を与えたと思います。
でも僕、全く文才がなくて。時代錯誤社風の文章の切れ味を出せそうになかったので、1年生の終わりで辞めてしまいましたね。
その後、合格サプリ(受験生向けフリーペーパーを作るサークル)に入りました。
ひたすら大学受験生向けの記事を書いているうちに、ようやくまともな文章が書けるようになってきて。読者アンケートで1位になった時は嬉しかったですね。
また、フリーペーパーの広告営業のためにテレアポや企業訪問をしたり、メールや企画書の書き方など一通りのビジネスマナーを学ぶことができました。
今振り返ってみると時代錯誤社で得た「行動力」と合格サプリで得た「交渉能力」というのはみかん愛好会に確実に繋がっていると思います。
— 転々としながら実は、着々とみかん愛好会を作るための能力が磨かれていたわけですね
みかん愛好会、爆誕

— さて、ついに本題ですね。それで作ったみかん愛好会は、一体何をするところなんですか
初めは、みかん好きがこたつでみかんを食べながら、みかんについて語るサークルというコンセプトでした。
ユルそうだから入ってみよう、という感じで17人くらいメンバーが集まりました。
— それはユルいにも程がありますね(笑)
その後、とくに何もやっていなかったのですが、春になって、新歓に参加しようじゃないか、という話になったんです。
でも、ただみかんを食べるサークルだと誰も入ってこないかもしれないし、東大生ってちょっとでもロジカルじゃないとボコボコにしようとする傾向あるから、怖いなって思って、まともな理念考えよう!という流れになったんです。
— 新入生怖さに活動内容を考え始めたと……珍しい流れですね
それで色々考えている中で、みかんの消費量が40年間で77%も減っていることを知って。僕はこんなにもみかんを食べているのに、日本全体ではここまでみかんの消費量が減っているということにとても衝撃を受けました。
それで、「日本のみかんの消費量を増やす」、と理念を設定しました。
新歓は、その理念をもとに、まだ何も実績はないけど、農業研修とかお料理企画とか、やれたら面白そうなことをとりあえず全部言ってみたんです。ふざけたサークルじゃないです!!真面目な団体です!!と必死に強調していました。
そしたら結構ウケちゃって。新歓メーリスには100人が入って、そのうち35人が入会してくれました。
— 新団体なのに35人、大成功ですね!
その頃は、神が舞い降りてるって言われてました。勧誘が教祖っぽかった、みたいな。

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