「日本酒は飲む芸術品」現役東大女子・伊澤優花が語る日本酒ビジネス物語

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伊澤流、東大ネットワークの使い方!

単刀直入に東大に入って良かったことを聞いてみました。

「凄い人が多いです。ただ学内で関わることはあまりありませんでしたけど(笑)」

自分より頭のいい人に囲まれたいという希望はかなったものの…ということですね。

ただ東大のネットワークは自分の身の回りだけではありません。

学外で会うような社会進出している東大生や、偉大なるOBたちが無数に存在します

伊澤さんはかなりOBのネットワークにはお世話になったと言います。

「日本酒のリテラシーを上げられたのはOBの方に飲みに連れて行っていただいたおかげです。そこで相当銘柄を飲んで覚えられました。」

OBってそんな簡単に奢ってくれるものなんですかね?

それなら僕も今度連れて行ってもらいたいなぁ~

「今何してるのと聞かれて、日本酒に興味を持って勉強していて、どう考えて、どうしているということを話すとOBの方が面白がって飲みに連れて行ってくれたんです。それで更に他のOBの方を紹介してくれて、また飲みに連れて行ってもらってみたいなことを繰り返していたら、日本酒は飲むし、色々フィードバックはもらえるし、相当可愛がってもらえたのが一番大きかったですね。」

あ…無理やん…

僕もあるお色気ラブコメ漫画に興味持って勉強してて、色々考えて、色々してるんですけど、面白がってOBの方が矢吹大先生に会わせてくれたりしないですかね…

すいません、余談でした。

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OBとの付き合いから伊澤さんの日本酒ビジネスは本格的に進んでいきます。

その過程で最初に紹介したような肩書が加わっていきました。

今回はその過程は省略させて頂き、現在の活動にスポットを当てようと思います。

現在の活動について

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今伊澤さんの中には「海外」「人材」という2つのテーマがあると言います。

海外

僕は英語が得意ではないので、海外に距離を感じてしまいますが伊澤さんはまったく違っていました。

「海外って”外”って書きますよね? でも私としては母親がマレーシア人だったこともあって、たとえば徳島に行くよりもニューヨークに行くほうが心理的距離は近かったです。徳島で方言喋られたらわからないけど、ニューヨークなら英語で言葉が通じるから。ただ自分の強みが活かせて、最も魅力的なところって考えたら海外でした。」

さらに伊澤さんは続けます。

「日本でパイが小さくなってるから海外に市場を求めるのは当然の理ですが、それ以上に自分の好きなものを海外に持って行って、凄い評価を得て、しかも外貨を稼げるならそんないいことはないですよね。自分の好きなものが世界で評価されることだけでもロマンがあります。

根本にあるのは、やはり強烈な日本酒への愛なのです。

実際海外でどのような活動をしているのでしょうか。

私の専門は高級酒市場です。高級酒ってとてもニッチですけど海外では一定の需要があるし、日本酒に関しては今後更に成長していきます。取引先はユダヤ系の大富豪や富裕層、高級ワイン商、高級レストランですが、彼らは値段以上のものを求めています。

値段以上のもの? それは味とかそういうものの話でしょうか?

ここで伊澤さんはコーヒーの3rd Waveの話をしてくれました。

  • 【1st】 薄くて安いアメリカンコーヒーの流行
  • 【2nd】ラテなどでアレンジを加えた、オシャレで美味しい高価なコーヒーの流行(スターバックスなど)
  • 【3rd】豆の生産地や淹れ方を追及したハンドトリップの「こだわりの一杯」の流行(ブルーボトルコーヒーやゴリラコーヒーなど)

これと同じことが日本酒でも言えるそうです。

第二波が獺祭による大吟醸。一般的に美味しい日本酒が広く飲まれるようになりました。

そしてリテラシーの上がった人達が求めるものは、「こだわりの一杯」

値段を超え、味も越え、求められているのは生み出されるまでのストーリーや哲学なのです。

海外で高級酒を売るときに必要になるのもやはりそのストーリーです。

100以上ある酒を甘い、辛い、フルーティーといった味だけでソムリエすることは不可能に近い。

そこで日本の蔵事情に精通し、英語も話せる伊澤さんが輸出した後の日本酒の支援を行っているのです。

現在伊澤さんの活躍もあり、輸出してから、レストランまでの道筋、販路の開拓は進んできているそうです。

そこでその道に車を走らせるのが今の伊澤さんの仕事ということです。

人材

日本における人材不足問題の解決に向けて、酒蔵同士が連携し合うコミュニティの形成にも着手しています。

「日本酒は同じ材料を使っても作り手によって全く味が異なるほど、最も職人が色濃く映し出すお酒です。それくらい人が重要なのに、日本は今人材不足に悩まされています。」

現状では、若者にとって酒蔵がそもそも就職先として認知されておらず、農大や研究所、ハローワークに募集をかけているだけなので、リーチできる層が限られ、長期的に働いてくれる人材が獲得できていないそうです。

では酒蔵で働きたい人がいないのかというとそうではありません。

日本酒が大好きで、作りたいという若者は数多く存在しています。

しかし現在彼らは酒蔵に片っ端から電話を掛けて、最初に通ったところで働くという状況。つまり酒蔵の中身がブラックボックスのままなのです。

その結果、就職した後、酒蔵との相性が合わず、早期離職してしまう人が後を絶ちません。

「酒蔵」と「働く意欲のある若者」の間を繋ぐ道が暗闇であることに気付いた伊澤さんは、灯りを灯そうとしています。

まずは酒蔵側に自分たちが選ばれる側である意識を持たせることで、職場環境について考え直させるきっかけを与えます。その上で、積極的に酒蔵のビジョンや性格といった情報を開示し、現場で若者と交流を持つようにさせることを目指しています。

たとえば酒蔵を集めて合同説明会を開いたり、酒蔵へのインターンを運営したりしています。

これにより、これまで蔵単位で行われていた採用や研修の活動が、コミュニティとして行われるようになり質も効率も上がるはずです。

さらに酒蔵のコミュニティが形成されれば、情報交換の活性化にも繋がります。

「そっち今絞り何本とか、今もろみこんな感じなんだけどアミノ酸度上がんないんだよねとかそういう相談が出来るようになります」

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なんだか難しい専門用語が出てきたぞ?

昔ながらの蔵ごとの酒造りも素晴らしいですが、時代の変化に伴なって、酒造りは新たなステージに踏み出そうとしているのです!

 

伊澤さんは将来蔵元を継ぐ予定ですが、蔵の経営と同時並行でこれら2つの軸の活動も続けていくつもりだということです。

やり残したこと

はい…!
ここまで我慢して聞いてきました。
もう耐えられないです。
自分の愛するものを、深く勉強し、現場に乗り込み、蔵元生まれというポテンシャルも活かしつつも、それだけに囚われることなく、世界で活躍するオンリーワンの存在。
まだ大学4年生、僕と1学年しか変わらないってホンマでっか?!
眩しすぎます!
これは天津飯の太陽拳かなにかですか?
エッチなモザイクシーンにかかる謎の白い光ですか?
パニックパニックパニックみんなが慌ててる~ですよ!

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伊澤さん!やりたいことやり抜いてますよね?

「カラオケも行ったことないし、やり残したことはいっぱいあります。夏はいつも海外にいるから夏祭りにも行けない。浴衣デートや、文化祭、バレンタインや制服デートとかしてみたかったです。だから私、日本の恋愛ドラマとか凄い見ます!」

おいおいおいおい、犠牲にしてるもんいっぱいあるじゃないですか!

1人で孤独に頑張り過ぎ!

「実はこの前一日中家で作業してる日があって、誰とも喋ってなかったから郵便配達の人が来た時に言葉が出てこないことがあって…言語がどれだか頭の中で選択されなかったんです」

言語がどれだか分からない?

何か国語頭にあるっていうんですか!

どこまで頑張ったらこの境地にたどり着けるのでしょうか…

やり残したこともいっぱいあって、しかもそれが浴衣デートだったり、バレンタインだったり。

雲の上の人に思えてましたけど、普通の女子の一面も垣間見ることが出来ました。

最後に馬鹿馬鹿しくも愛おしい日本への愛を語る

日本酒を通して、日本のカルチャーをも同時に世界に広めてくれている伊澤さんに日本への愛をとくと語っていただきましょう!

「ルイ・パスツールっていう150年以上前のフランス人がパスチャライゼーション(低温殺菌)という方法を見つけたんですけど、日本はそんな化学技術の見つかる300年以上も前から全国各地でやっていました。それくらい日本は変態文化なんです!

日本酒は米という糖分を持たないものを磨いて、丁寧に洗って、吸水させて、それを蒸して、それを麴菌を”破精させ”、一方で酒母を仕込んで、 三段仕込みという方法で仕込む過程で並行複発酵させて・・・というとっても複雑な工程を経て出来るのですが、こんなものを作ることは日本人しか出来ないです。そういうところに日本人の繊細な心を感じます。

日本酒ってワインと比べると色もないし、華やかさがなくて全然主張しない。

ただ料理に寄り添う包容性があったり、温度で変わったり、そういう奥ゆかしさが私は好きです。

日本酒好きが高じて、和食や生け花、着物に興味をもつ方も多いですよね。またはその逆も。当然といえば当然ですが、それはいずれも芯に日本人のものづくりの精神や奥ゆかしさ、日本的で繊細な美しさを纏っているからだと思います。

日本酒は飲んで味わえる日本文化。「美味しい」は万国共通だから、海外の方にも日本酒を通じて日本の美を体感してもらえるんじゃないかな。

真剣に向き合う人の言葉の重さを感じずにはいられません。

この記事を読んだ方は、ぜひいつもよりちょっといい酒を買ってきて、それが作られたストーリー・日本の愛しい文化を思い浮かべてみてはいかがでしょうか。

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男子校の化身

奈良の山の上で修行してました。

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