突然ですが、みなさん。「地下アイドル」ってご存知ですか?
「読者モデル」と同じくらい謎概念ですが、要は「メディアに出ず、ライブを中心に活動するアイドル」ってことです。
物理的に地下にいるわけじゃないですよ?
そんな地下アイドルでありながら、去年さいたまスーパーアリーナで開催したワンマンライブに1万5千人を動員し、激しいパフォーマンスと圧倒的な実力から「最強の地下アイドル」と称される仮面女子。
メンバー全員がジェイソンマスクをつけ、アイドルの武器である顔をあえて隠していることも話題になりました。
そんな仮面女子の中心メンバーである桜雪さん。
実は、現役東大生なんです!
今年で東大を卒業する桜さんに、キャンパスライフや現役東大生アイドルとしての自分、夢を追いかけ続ける秘訣など、いろいろ語ってもらいました。
SSAに1万5千人集める現役東大生の言葉、なかなか聞けないですよ!
そもそもなんでアイドルになろうと思ったのですか?
「実は、もともとアイドルになるつもりはなかったんです。所属していた合唱団をやめた後、音楽関係の仕事がしたいと思って今の事務所を見つけたんですが、自分がアイドルになることを聞かされたのはオーディションに受かった後だったので、すごくびっくりしました。ダンス経験もまったくなかったですし」
そんなこともあるんですね…。ちなみにそれはいつ頃ですか?
「高3の7月です」
高3の7月!それって普通の人がちょうど部活引退する時期ですよね…。受験勉強との両立は大丈夫だったんですか?
「事務所の人から受験生アイドルとしてやってみない?って勧められたので。両立するうえで一番大変だったのは、毎日ブログを更新することですかね。自撮りとか慣れてなかったし。あ、ちなみに受験の前日にブログ炎上しちゃいました(笑)」
まったく笑い事じゃないですよね…。なんでそんなことに?
「『落ちろ!』とか『東大受験なめるな!』とかそういう中傷がいっぱい。そのせいというわけではないんですけど、現役では落ちてしまって。浪人してからはアイドルを続けながら現役時代の何倍も勉強して、無事合格できました!」
浪人してもアイドルやめないところがすごいですよね…
そんな世界初の仮面(女子の活動をしながらの)浪人を経て、東京大学文科三類に入学した桜さん。どんなキャンパスライフを送ったのでしょう?
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桜さんほどの美女だったら、さぞ薔薇色のキャンパスライフが待っていたんでしょうね…ましてや東大男子なんてイチコロだし、超絶リア充不可避ですよね…(ちなみに仮面女子は恋愛OK)
「全然そんなことないです。1~4限に授業を入れて、夕方はライブに行く毎日です。そもそも飲み会に行ったことも友達と遊びに行ったことも一回もないです」
飲み会に一度も!?新歓とか学科飲みとかあるじゃないですか?
「サークルに入れないことは分かっていたので、新歓には行ってないです。基本的に夜はライブなので、学科飲みにも行けないです…」
一回くらい飲み会行ってみたいな~とか思いませんでした?
「飲み会というものが未知すぎて、なんとも…。お酒も全然飲まないですし」
ちなみに飲み会ってどんなイメージですか?
「なんか…いぇーいって感じ?」
この世に飲み会を知らない女子大生がいるとは…。「はじめてのおつかい」みたいな感じで「はじめてののみかい」とか企画したらおもしろそう。
大学の友達とは遊べない分、仮面女子のメンバーとは遊びに行ったりするんですか?
「メンバー内でプライベートの交流は禁止されているので、それもないですね。連絡先も、どこに住んでるのかも知らないです。遊びに来ているわけじゃないし、友達みたいになっちゃうと派閥とかできちゃうので。でも、仲は普通にいいですよ」
プロ意識の塊だ…。
でも、それだけ同世代と交流がないとさみしくないですか?
「ライブの時はお客さんもメンバーもいてすごくにぎやかなんですけど、家に帰ったらすごく孤独です。この前の誕生日とかは、一人で大戸屋で晩ご飯を食べました」
一人大戸屋…独身のサラリーマンみたいだ…(まあおいしいんですけどね)
大学の友達ともメンバーとも遊ばない、連絡もとらない、そんな桜雪さんにとって癒しってなんですか?
「食べることですかね。好きな食べ物はシュークリームです。でも、食事制限とかも気にするので、そんなに食べるわけじゃないです」
どこまでもストイックで、そしてどこまでもアイドルですね。
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東大で学んだことはアイドル活動にどうプラスになっていますか?
「東大生であるおかげで、色んなクイズ番組に呼んでいただけていると思います。あと、心理学を専攻しているのですが、いやなことを言ってくるお客さんがいたら、『あ、この人は外集団同質性バイアスだな』とか心理学的に分析することで、イライラを半減させてます(笑)」
外集団同質性バイアス?まったく分からないけど、なんかすごそう。
逆に、アイドル活動での経験は学業にどうプラスになっていますか?
「握手会やチェキ会、ライブのMCでコミュニケーション能力が鍛えられたと思います。そのおかげで、ゼミの論文発表で高評価をいただけました。また、現役東大生アイドルの集大成としてファン心理の研究を卒論のテーマにしました」
コミュ力…!東大生に不足しがちなやつだ…
東大生の面とアイドルの面がいい相乗効果を生んでいるみたいですね。
でも、遊べないし、睡眠時間も満足にとれない。いっそのこと、アイドルやめちゃおうって思ったことはないですか?
「東大かアイドル、どっちかあきらめたら私じゃなくなっちゃいます。もともと成績がいいほうじゃないので、アイドルじゃないただの東大生になったら劣等感しか残らないと思って。アイドルをしながら勉強しているってことが、私のたったひとつの強みなんです」
成績もよくないし、アイドルでもない僕は少しは劣等感を感じるべきなのかな…
東大生であることが、デメリットになったことってありますか?
「推しづらい、ってよく言われます。『雪ちゃんはどうせ俺なんかバカにしてるでしょ?』みたいに思いこんじゃうファンの方がよくいて。そんなこと全然思ってないのに」
プライドが高いと思われがちなのは、東大女子の多くが抱く悩みですよね。
どうすればそんな誤解を解けるでしょう?
「自分を飾らないことだと思います。私は、誰にでも目線を合わせて話すこと・自分のものさしだけでしゃべらないことを自分のルールにしていて。そうすれば、相手も壁を感じることなく話してくれます。本当に東大生なの?って思われるくらいがちょうどいいと思います」
たしかに、桜さんは取材陣全員の目を順番に見つめてしゃべっているのが印象的でした。目が合った時、「あ、自分に向けてしゃべってくれてる!」と実感できて、とても好感を持ちました。
これは東大女子だけでなく、モテたい男子も参考にすべきかもしれませんね。
「でも、逆にクイズ番組とか、東大生らしさが求められている場所では伊達メガネをつけて、東大生スイッチをONにして挑みます(笑)」
東大生の面とアイドルの面を上手に使い分ける。
このへんのバランス感覚が、桜さんの人気の秘訣かもしれません。
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今年ついに東大を卒業するわけですが、今後の進路は?
「アイドルを続けます。でも、現役東大生という強みを失うことは危機でしかないですね。東大卒のタレントはいっぱいいるし、どう差別化していくのかがこれからの課題です」
そんな厳しい世界と思っているのなら、アイドルをやめて就職しようとはなりませんでしたか?
「思いませんでしたね。でも、親からは就活しなさい、ってめっちゃ言われて。家帰ったら机の上に就活情報誌が置いてあったり(笑)。一応読むんですけど全然わくわくしなかったです」
ゼクシィを置いて結婚への無言の圧力をかける的なやつですね…
アイドルっていつまで続けられるか分からないし、不安定ですよね。一般的な東大生みたいに一流企業とか官庁に勤めて安定したい、とか思いませんでした?
「もし、もう一人自分がいたらそういう自分がいてもいいかもしれないって思うんですけど。でも、この道を歩き始めた自分がいるからには、今までの経験・自分のルーツを活かして生きていきたいなって思って。何も関係ないところに行くのは、ちょっといやかなって」
では、もっと先、アイドルをやめた後はどうなっていたいですか?
「黒柳徹子さんみたいになりたい、っていうざっくりとしたビジョンがあります!」
…それは頭から飴を出せるようになりたいってことですか?
「違います(笑)。黒柳さんって誰もが知ってるじゃないですか。黒柳さんの全盛期を知らない人でも黒柳さんのことは知ってる。これってすごいことだなって。私も黒柳さんみたいに日本一有名なおばあちゃんになりたいです。あと、ユニセフ親善大使などの国際的な活動もしていて、社会に貢献しているところもすごいです」
日本一有名な地下アイドルから、日本一有名なおばあちゃんへ。
壮大な夢ですね…。それに、国際交流に興味があるんですか?
「大好きです!海外にライブに行くたびに現地の言葉を覚えて行って、現地の子供と一緒に遊んだりします」
タフでグローバルとは、桜さんのためにあるような言葉ですね。
東大を卒業しても、アイドルを続けることについて世間から批判されたりしませんでした?
「アイドルなんてやってないで国のために働け、とか言われたことはありますね」
それは、ネット掲示板とかでですか?
「いえ、ビートたけしさんから言われました」
ビートたけし…世界の北野の言葉は重いですね…
親や世間が押し付けてくる「東大生らしさ」に、我々はどう立ち向かえばいいのでしょうか?
「東大生にアイドルをやる資格がないなんてことはなくて、いろんな東大生がいていいはずです。でも、夢を語るだけじゃなくて、実際に行動して何らかの結果を出して、自分の夢に説得力を持たせることが大事だと思います」
やりたいことがあるのなら、まず行動しろ
文句を言うやつは、結果でねじ伏せろ
東大生のみならず、すべての夢追い人に刺さる言葉ですね。
では最後に、あなたにとってアイドルとは?
「アイドルとは…何よりも根性のある生き物である!」
桜雪さん、ありがとうございました。
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「かつては、ロックシンガーが若者に生き様を見せていた。今は、アイドルが生き様を見せる時代だ」
乃木坂46プロデューサーの今野義雄さんの言葉です。
誰よりもタフに、謙虚に、我慢強く自分の夢を追い求める桜雪さん。
その生き様から、我々が学ぶべきことは多いはずです。
すっかり桜雪さんのファンになったあなた!仮面女子のライブに行こう!