アートで社会問題を解決?!東大×アートプロジェクトで、社会と芸術の接点を探る東大生たち

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みなさんは「アート」や「芸術」にどんなイメージを持っていますか?

 

例えば昨年から今年にかけて行われていたフェルメール展やムンク展。どちらも70万人近くの人が訪れた人気の展覧会です。

こうした展覧会は、日常の空間から切り離された美術館で説明を読んだりガイドを聞いたりしながらじっくり作品を観るという形で楽しまれています。

となると、アートや芸術はそうやって美術館やギャラリー、劇場などの施設に行ってかしこまって鑑賞するものだと思っている人も少なくないのではないでしょうか?

 

しかし近年、そのような枠組みを飛び出して「社会的な課題を解決するアート」が注目されています。

そして、東大のなかにもアートや芸術によって課題を解消できないか日夜考えている人々が存在します。それが私たちです!

私たちが東京大学文化資源学小林真理ゼミです!!!

東京大学文化資源学小林真理ゼミです。記事を書いている私は昨年からこのゼミに参加している文学部4年のビリーです。よろしくお願いします。ちなみに写真の撮影者も私なので、写真を探してもいませんよ!

 

小林真理ゼミとは、東京大学大学院人文社会研究科内にある文化資源学研究専攻が、学部で開講している演習の授業のこと。

そもそも文化資源学とは何かというと、世の中に存在しているのに注目されていない文化的価値を発掘しそれを活用することを考察する学問領域なのですが、

その中でも小林真理先生は、そこで重要な役割を担う地方自治体の文化行政や文化政策をテーマに研究をされています。

地域が持っている文化的な価値を掘り起こし、それを地域の住民が行政や民間企業などと連携して文化にするプロセスは、まさに文化資源学的営みです。

また芸術それ自体の価値を社会に認識してもらうためには、様々な手法がありますが、既存の文化施設の役割やあり方も重要です。文化や芸術を持続的に振興・展開してくための制度を研究しています。

小林真理先生。明るく朗らかです。

このゼミではアートマネジメントや芸術文化政策の実践に注目しそれを評価することを主眼にしています。

教室で理論的なレクチャーや文献講読も行われますが、それだけでなく実践に触れることも重視しているのが特徴です。

 

例えば、夏休みには合宿を行い、各地で実際に行われているアートプロジェクトの視察や運営関係者へのヒアリングなどを行います。

昨年度は群馬県の「中之条ビエンナーレ」や新潟市の「水と土の芸術祭」などに赴き、地域芸術祭の準備と実施の様子や文化施設経営の実態について直に体験しお話を伺うことで、アートプロジェクトの意義や困難、公共ホールや公共美術館の持つ重要性と問題点などについて理解を深めました。

昨年度の合宿の様子。りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館の視察中。

この授業は、美学芸術学や美術史学など芸術に関わる専攻の人だけでなく、芸術や文化政策に興味を持つ社会学専攻の学生や、さらに経済学部や工学部などの文学部以外の学生も多く在籍しており、総勢22名で活動しています。昨年度は10人だったので2倍以上です、賑やか……!

強要したか疑うほどに笑顔が素敵なゼミメンバーたち

多くの新しいメンバーを迎えて活動を始めている小林ゼミですが、今年度は「アートプロジェクトを実施すること」を目標にしています。

アートプロジェクトという言葉は馴染みがあまりないかもしれないので少し説明を加えます。ただ、この言葉は様々な定義の仕方があり、紹介するのは私たちなりの定義であることを念頭に置いてお読みください。

 

アートプロジェクトとは基本的に、

“美術館やギャラリー、劇場など既存の芸術文化施設の外に出て意識的に社会との関わりの中に芸術を位置付ける試み”

を広く指す言葉です。

多くのアートプロジェクトが大なり小なり、アートや芸術によって高齢者や貧困層の疎外や人口流出、治安悪化といった社会が抱える様々な問題を解消へ導くことを目指しています。

 

…と、抽象的に語ってもなかなかピンとこないですよね。

ここで、実例を出して実際のアートプロジェクトがどんなものか手応えを感じてもらいたいと思います。

 

例えば、2000年から行われている新潟の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」は里山全体が展示会場となった芸術祭ですが、これはただ単に会場を美術館から外に移して展覧会をやっているわけではありません。

アーティストは自らの作品が設置される場所と向き合って作品を制作し、地域住民はボランティアとして参加することで芸術祭を作り上げ、来場者は作品を拠り所にして里山をめぐります。

準備や作品制作の段階からアーティストと地域の人々が協働 することでコミュニティが活性化され、廃校や廃屋がアートの力で生き返ります。

また、多くの来場者が訪れることによって経済効果も生まれています(昨年の来場者数は約54万人!)。

コミュニティの弱体化や観光客の減少といったその地域の課題をアート/芸術の力で解決しているという点でこの芸術祭はアートプロジェクトであると言えます。

昨年の合宿では大地の芸術祭にも行きました。展示作品(と小林先生)。

実は本郷キャンパスの近くでもアートプロジェクトは行われています。

谷中地区では「谷中のおかって」という団体がアートイベントの企画・運営・サポートを行っており、旧平櫛田中邸をアトリエとして活用した「DenchuLab.」や子供向けの創作教室「ぐるぐるミックス」を実施しています。

また、上野地区は元々美術館や博物館、コンサートホールなど多くの芸術文化施設が存在する地域ですが、最近では日比野克彦さんがプロデューサーを務める「UENOYES」というプロジェクトが進行中です。

旧博物館動物園駅が一般公開されパフォーマンスが行われていたのはご存知の方も多いかもしれませんが、あれもこのプロジェクトの一環なのです。

 

アートプロジェクトの概念自体はなんとなくお分かりいただけたと思いますが、その分私たちが東京大学の中でどんなプロジェクトをやろうとしているのか気になってきたのではないでしょうか!!!いいでしょう、教えてあげましょう。その詳細は……


 

 

 

 

 

未定です!

 

 

…………え、なにそれ?と思われましたよね。

せっかくここまで記事を読んでくださった皆さんに納得いただくためにも昨年度からの流れをご説明します。

 

昨年度の小林ゼミでは事前にやるべき課題や目標が設定されるのではなく、授業を通して履修者がやりたいことを見つけプレゼンを行って全員で取り組む内容を決める方針が取られました。

その中でアートプロジェクトを自分たちの手で作る案が浮上したのです。

折しも東大生協「きずな」廃棄問題が広く議論されていたこともあり、東大全体が組織として柔軟に活動できていない、また、東大生に学部学科を超えたつながりが生まれにくいという課題があると考え、それを解決する可能性を持つアープロジェクトの実施を目指すことになりました。

 

しかし、問題意識と方法のズレや、先生の海外出張の都合で計画は暗礁に乗り上げます。

そこでアートプロジェクトの実施は今年度に変更し、昨年度はそれに向けた準備を行っていました。上述の諸々は昨年度のメンバーで考えたことであり、受け継がれる部分もあるとは思いますが今年度は新たなメンバーも交えてまた1からアートプロジェクトを計画し、より実現可能性や実施効果の高いものを目指していきます。そのため、アートプロジェクトの内容自体はまだ未定なのです……!

 

現在はメンバーが2人1組になって各地のアートプロジェクトについて学習を進めており、その後6,7月にかけて計画立案を行い10月ごろにはプロジェクトを実施する予定です。

アーティストの方を外部から招聘することを検討しています。また、せっかく大学の授業内でプロジェクトを実施するのでただやって終わりにするのではなく、プロジェクトのアーカイブや事後評価を実施するところまで責任を持ってやろうと計画しています。

 

そして、直近に開催される五月祭においては、アートプロジェクトの実施の第一歩・資金調達のために、

「タピオカの美学」という店名でタピオカドリンクを販売します。

当店のタピオカドリンクは、茶葉選びから作り方まで丁寧に考え、まるで1つの作品を作るように、メンバーが気持ちを込めて作ったこだわりの一品です。 また、古本販売も行います。2冊1組、シークレットブックの状態で販売するので、中身は買ってからのお楽しみです。ぜひ食欲も読書欲も満たしていってください。

試作品のタピオカたち、茶葉にこだわっています!

今年の3月に退官なされた文化資源学専攻の木下直之教授の蔵書を販売します!

テントの場所は医学部広場A6です!

今後アートプロジェクトの内容が定まっていきましたらお知らせいたしますので私たちの活動に注目していただけたら嬉しいです。

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ABOUTこの記事をかいた人

ビリー

文学部美学芸術学専修4年。主に音楽と演劇にコミットしています。

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