ソシャゲでのやらかしだって活かせる!?経済学研究の世界へようこそ

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経済学。

 

この言葉に、いったいどんなイメージを持つでしょうか。

 

お金儲けの学問?需要と供給?

 

「マーケティング」とか?ビジネスマンの学問?

確かにそんな一面もあるでしょう。しかし、その裏には深〜い深〜い研究の世界が広がっているのです。「お金儲け」のイメージなんて、氷山の一角にすぎません。

あなたの知らない?経済学の世界

「八百長」の経済学!?

ほんの少しだけ例を挙げましょう。「教育の経済学」や「労働経済学」と呼ばれる分野。こうした分野では、データ分析を駆使し、たとえば「どのようにすれば、教育格差を減らせるか?」「就活に人種や男女の差別は影響するのか?」というような検証が行われてきました。

 

もっとぶっ飛んだ話をすると、「大相撲の千秋楽で八百長は行われているのか」について、経済学者が大相撲の勝敗数のデータを用いて立証するような研究もあります。

 

大相撲の八百長を経済学で解明!

「制度設計」の経済学

東大生の周りで役に立っていることと言えば、たとえば進学選択。去年から東大で導入された新しい進学選択制度には、実は経済学の知見がうまく生かされています!(進学選択制度について詳しく知りたい方はこちらへ!)

 

また似たような分野では、臓器交換のマッチングや、Google検索にどの広告を載せるか?みたいな話の舞台裏にも、実は経済学があります。事実、GoogleやeBay(利用者数世界最多のインターネットオークション会社)といった企業でも、こうした「制度設計」の専門性を持つ経済学者が起用されることが増えてきています。

このように経済学が扱うトピックはとても幅広く、しかも日々進化を続けているのです!

 

今回の記事では、UTEA・経済学部3年のビーグルがまさにその最先端を追い、掘り進めていくパイオニアの巣窟:東京大学大学院経済学研究科に潜入してきました。

そこで日夜研鑽を積む院生の一人、小田原さんに自らの専門分野について語っていただき、普段はなかなか見聞きすることのない経済学の舞台裏の一端を覗かせていただきましょう!

👉学生証

  1. 名前:小田原 悠朗さん
  2. 所属:東京大学大学院経済学研究科 修士課程2年

制度設計論って何だ???

──というわけで早速。ご専門は?

 

制度設計理論です。

 

──制度設計理論…難しそうな分野ですね…

 

名前は堅苦しくて取っ付きにくそうに感じるかもしれませんが、日常生活に密接している面白い分野ですよ。

例えば、人間はバレない範囲で自分に都合の良い嘘をついてしまうことがしばしばありますよね?無関係な人を装って商品を褒めるステルスマーケティング(ステマ)をしたり、どの会社の面接でも「御社が第一志望です」と言ったり…

 

よく聞くというか、身につまされる話…

 

このような話を「嘘をつくなんて人としてけしからん」で片付けるのではなく、「いやいや、正直に話した方が得になるような仕組みを作って、自ずと嘘をつかなくなるようにしましょうよ」とアプローチするのが制度設計理論です。

 

──例えばどんなアプローチするのでしょうか?

オークションを例に考えてみましょう。オークションで買い手が嘘をつけない、正直者が得をするように設計するんです。

 

そんなオークションあり得るのか???

 

正直者が得をするオークション?

制度設計理論で注目しているのは、「1万円!2万円!」と値段を吊り上げていく「せり上げオークション」ではなく、「二位価格オークション」という形式です。ご存知ですか?

 

──二位価格オークション…聞いたことないですね…

 

「二位価格オークション」とは、入札者が欲しい金額を申告し、その中で一番高い入札をした人に、二番目に高い入札額で売るという方法です。

 

──二番目に高い額…?なぜそんなややこしいやり方なんでしょう。

 

実はこれ、自分が本当に欲しいと思っている値段を正直に言うと得をする制度になっているんです。AさんとBさんの二人が二位価格オークションに参加する例を考えてみましょう。Aさんは100円以下なら買いたいと思っています。

このとき、Aさんは見栄を張って「110円で欲しい!」というと、Bさんが105円と入札していた場合にも落札してしまい、100円より高い額を払うことになります。

反対に、「90円なら欲しい」と低めに入札すると、Bさんが95円と入札していた場合、100円以下で落札出来たチャンスを逃すことになります。

正直に100円と入札すれば、高い額を払うことも、低い額で落札するチャンスを逃すこともありません。

──おお!まさに「正直に話したほうが特になるような仕組み」ですね!

 

制度設計理論では、この二位価格オークションを始めとして「本当はどれくらい欲しいのか」という情報を引き出すためのアイデアが沢山生まれています。

 

二位価格オークションの落とし穴

でもここが肝心なんですが、実はこの二位価格オークションには問題があって…。売り手がズルをしやすいんです…。例えば、下の図のように、売り手はBさんの入札額を偽って報告すると収入が増えます。

このように「売り手側が正直に制度を運用してくれるか」という点も重要な問題なのですが、買い手側の問題と比べるとあまり議論されてこなかったんです。私が研究しているのは、特にこの売り手側の問題です。

 

──なるほど!研究内容がよくわかりました!

話は少し変わるんですが、そもそもなぜこのテーマで研究しようと思ったんでしょうか?

ソーシャルゲーム(ソシャゲ)で失敗したことと、日本でも売り手の信頼性が問われる事件が起きていたことの2つですね。

 

次ページ ソシャゲでの失敗を糧に研究…?

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ABOUTこの記事をかいた人

UTEA

UTEA(The University of Tokyo Economics Association)は、高校生や進学選択前の駒場生に経済学の面白さを知ってもらう機会を提供する東京大学公認の学生団体です。現在、東京大学経済学部3, 4年生が中心となって運営に携わっています。 経済学に関心を持つ学生を増やすことで、東京大学経済学部をよりアカデミックな魅力溢れる場にすることを目指すとともに、社会における経済学のプレゼンス向上にも貢献すべく活動しています。

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