以茶会友〜中国茶の世界へようこそ【駒場祭で本格中国茶を味わおう】

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今年9月、東大に新しいサークルができました。その名も中国茶同好会です。

中国で仕入れた本格的な茶葉や茶器を使ってお茶会を開き、中国茶を学びながら日中の学生が交流する場とすることを目的として作られました。

月2〜3回の定期茶会や専門家を招いての中国茶講習会を開く他、他の日中交流系のサークルとのコラボレーション企画、中国の茶産地への見学旅行、中国の大学のお茶サークルとの交流茶会など様々な活動を計画しています。駒場祭への出店も決まっており、準備を進めています。

今回は、筆者の中国茶との出会いや同好会の設立のエピソードを通して、少しでも中国茶の魅力を皆様に伝えられればなと思います。

中国茶との出会い

駒場キャンパスの裏に、小さな中国茶のお店「今古茶藉」があることを知っている人は、意外と多くないかもしれません。体育館裏の門を出て100mも進まないうちに行き当たるのですが、外からはあまり目立たないつくりになっているからです。

クラスメイトと散歩していた時偶然そのお店を見つけて、何とはなしに門を叩いたのが始まりでした。台湾から来た店主の簡さんは僕たちを暖かく迎えてくれ、たくさんの美味しいお茶を振舞ってくれました。その後も授業の合間に度々簡さんのお店にお邪魔し、みんなでお茶席を囲んだクラスメイトたちが、今回の設立メンバーの一部です。

 

その後、僕は中国・北京大学に交換留学へ。1年の中国生活の中で、中国茶に触れる機会はたくさんありました。

北京市街の南西、「馬連道」と呼ばれる場所に巨大なティーマーケットがあり、中国各地からありとあらゆる種類の茶葉が集積されています。

「馬連道」にある一番大きな「茶城」。この中にお茶屋さんがたくさん入っています

この場所、北京の観光地として決して有名ではないかもしれませんが、入ってみると実に面白いところ。北京観光の時は一度訪れてみることをおすすめします。

茶葉の卸売屋が犇くように立ち並んでいて、その中で茶葉屋さんが日がな一日お茶を淹れながらお客さんを待っています。お客さんが店に入るとまずは席を勧め、巧みな話術で相手を惹きつけながらお茶を振る舞ってくれます。

 

もちろん、相手は商売をしているわけですから、ここで安易に勧められたお茶を絶賛したり、買うと言ったりしてはいけない。会話の中で微妙な取引をしながらお茶を飲むのが楽しいところです。

放っておけば何時間でもそうしてお茶を淹れてくれるので、しまいには飲み過ぎてヘトヘトに疲れてしまうくらいです(中国茶って結構胃にくるものも多いんです)。

 

一緒に留学に行った友人と何度も同じお店を訪れているうちに、いくつかのお店の人とはとても仲良くなりました。

何もないのに「馬連道」に行ってお茶屋のおばさんとおしゃべりしながらゆったりと休日の午後を過ごすことも度重なり、福建省や湖南省から来た彼女たちのきつい訛りにも慣れていきました。

話の内容は政治について、孫の教育について、生活環境について、ここ数年の中国経済の急激な発展について、農村の人が北京で暮らすのがいかに大変であるかについて、などなど。

お茶の席を通して、実際にこの町で暮らす人が何に苦労し、何を感じているかという大学にいてはなかなか実感できないことが垣間見えた気がします。

馬連道の茶葉屋さん。お茶を淹れてもらいながらおしゃべりしています

 

中国茶に興味が出てくると、自分でお茶を買って飲むだけでなく、ちゃんとした知識をつけたいと思うようになりました。

北京大学の中国茶サークル「茶学社」に入って毎週のお茶会に参加したほか、北京で活動するフリーランスの中国茶の先生に友達と連れ立ってお茶を習いに行くこともしました。

ご好意に甘えてかなり高価なお茶をたくさん飲ませてもらいながら、お茶だけでなく中国医学や絵画にも精通している先生とみんなでわいわいおしゃべりした時間は、留学生活の中でも一番幸せな思い出の一つです。

お茶教室での茶会の様子

 

同好会の立ち上げ

最終的にその時一緒だったメンバーの中で、日本に帰っても中国茶が飲める環境が欲しいね、という話になり、同好会設立に至りました。

東京でも中国茶を売っているお店はあるのですが、個人で買うとかなり高く、みんなで少しずつお金を持ち寄って分け合った方が少ない負担で色々な種類のお茶が楽しめると思ったからです。

また東大には中華圏から来ている留学生がたくさんいるのに、それまで日本人と留学生が交流できる場が少ないと感じており(最近どんどん増えてきているように感じます!)、特に文化交流系のサークルはほとんどなかったので、同時にそうした交流の場になったらいいなという意図もありました。

 

こうして北京で発足した中国茶同好会。

東京にいた時から一緒に中国茶屋に出入りしていたクラスメイトも入り、中国人留学生グループにも募集をかけて設立メンバーを集め、最初はWechat上でやりとりして準備を進めました(中国ではネット規制でLINEもFacebookも繋がらないため、Wechatを使うしかありません笑)。

留学組が帰国に際して茶葉や茶器を仕入れていき、9月の始動に備えました。ほとんどのメンバーは中国茶初心者なので、都内で開かれている中国茶の講習会に行ったりみんなで練習茶会を開いたりしてお茶を淹れる基礎知識を勉強しました。

講習会の様子

みんなでお茶を淹れる練習もしました

新学期が始まり本格的に活動がスタート。

本郷と駒場の両方で新歓茶会を開き、たくさんの留学生も含め延べ70人以上の人に来てもらいました。

会員がお茶に関しての簡単な説明をしながら、毎回和気藹々とした雰囲気でお茶会は進みました。お茶会の様子はFacebookやTwitterで紹介していますのでぜひ覗いてみてください!

新歓茶会の様子。会員がお茶を淹れています

お茶を飲みながら話も弾みました

中国茶の話

さてここで、せっかくなので少し中国茶の話を。

中国茶というと、読者の皆さんはどのようなものをイメージするでしょうか。ウーロン茶、プーアル茶、ジャスミン茶などが有名だと思います。

日本で作られるお茶は緑茶がほとんどですが、中国のお茶の種類は多様です。

中国茶は製法により主に6種類に分かれていて、緑茶の他に白茶、黄茶、青茶、紅茶、黒茶があります。

この6つは一体何が違うかというと、発酵の度合いが違います。例えば緑茶は全然発酵していないのに対し、紅茶は最後まで発酵しています。青茶などはその中間です。

写真は「黒茶」です

一般にウーロン茶は青茶に、プーアル茶は黒茶に分類されます(近年では異なる分類も提唱されていますが)。ジャスミン茶は緑茶や青茶にジャスミンの香りを付けたものです。

またお茶自体の特殊性に加えて、中国茶には独特の「茶芸」があることでも有名です。

「茶芸師」が洗練され儀式化された形式で優雅にお茶を淹れている様子などをどこかで見たことがある人も多いかもしれません。

しかし、中国茶の現在のような体系化が確立したのはそんなに昔のことではありません。

6種類のお茶の分類がなされたのもわずか40年ほど前のことですし、現在の儀式化された茶芸が形作られたのもここ半世紀の台湾においてです。

中国茶は伝統的な中国文化のように語られがちですが、現在人々がイメージするような「中国茶」がいまの形で発展し人気が出たのはここ最近のことで、そこには新しい要素がたくさん入っています。

特に大陸では文革中抑圧の対象でさえあった「茶文化」が伝統として称揚されるようになったのは改革開放後の数十年のことであり、現在の「中国茶文化」には多分に「創られた伝統」という側面があります。

 

とは言え、お茶自体は中国ではるか昔からずっと飲まれてきました。

古くは紀元前1世紀、前漢時代の文献にお茶に関する記述が現れます。唐代には『茶経』という、当時のお茶に関する知識を体系的にまとめた書籍も書かれました。

宋代以降には多くの茶館が街に現れ、喫茶は都市文化の欠かせない一角を形成するようになります。

 

北京出身の大作家・老舎は「一つの大きな茶館は一つの小さな社会である」という言葉を残していますが、

この言葉が表す通り、茶館はただお茶を飲む場所というだけでなく、そこに出入りする様々な人と関わる社交の場でもありました。

朝早くから多くの人々がまちの茶館に集い、仕事のない暇な人は一日中そこで来る人とおしゃべりしたり、将棋に耽ったりすることも。

様々な階層の人が出入りする茶館も多く、情報交換や売買、職業斡旋の場でもありました。一部の茶館では演劇や講談などの伝統芸能が上演され、都市の娯楽・芸能文化が花開く舞台ともなりました。

 

中国語に「以茶会友」(茶によって人に出会う)という表現があります。

時代は変わっても、茶が果たすそうした役割は変わらないでしょう。人と人が出会ったり、コミュニケーションをしたりする場を作り出す、それこそが、お茶の最も中心的な役割の一つだと思います。

そこに行けば必ず誰かがいて、一杯のお茶がある。顔なじみの友人や、初めて会う人と、まずはお茶でも飲みながら話をしよう。

私たちの茶会も、そんな空間になったらいいなと思っています。みなさんの参加をお待ちしています!!

来たる11/23-25は駒場祭。私たちは1号館120教室で、中国茶カフェを開きます。北京の茶葉屋さんと同じように、私たちのカフェでも会員が目の前でお茶を淹れながら来てくださった皆さんとおしゃべりします。

中華圏からの留学生の会員も多いので、当日は中国語で話せる卓も設ける予定です。中国茶に興味のある人もない人も、賑やかな駒場祭を巡る足休めに、どうぞ気軽に一服していってください!!

 

中国茶同好会の情報はこちら↓から

Facebook:https://m.facebook.com/utzhongguocha/

Twitter: https://twitter.com/utzhongguocha

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