故郷の停電を解決するため、海を越えて東大へ!インドネシア出身・テオの逆留学記




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「留学記」といえば、東大生が海外に留学した時の体験記であることが多いですが、「東大に」留学している人の話、聞いてみたくないですか?

過去に、

東大で漫才漬けの日々を過ごしたイギリスからの留学生・アレックスや、

「日本語は『勉強するもの』ではなく、『身に染みるもの』」と語る台湾出身・かねまさ

など、多様な留学生たちが登場してきた「逆留学記」シリーズ。

今回は、東大で電子情報工学・電気電子工学を学ぶインドネシア出身・テオに、東大での留学生活について語ってもらいます!


こんにちは。インドネシアから来た、留学生のテオです!

現在は工学部電子情報工学科・電気電子工学(EEIC)に所属しており、前期課程は理科一類22組(中国語クラス)に所属していました。今は主に専門の勉強をしていますが、留学生のチューターやインドネシア留学生協会など、課外活動もしています。

この逆留学の記事では、自分がどうやって東大まで入ったのかをはじめ、留学生としての生活について、少し書いてみたいと思います!

困難を上回る希望を見出して

まず、なぜ日本に留学したのか。

高校生時代、大学をどうすればいいか迷っていた時に、日本が大好きな親友に、日本政府が募っている国費で日本に留学できる奨学金のことを教えてもらったのがそもそもの始まりです。

当時私は、インドネシアで人気のある日本のポップカルチャーとメーカー以外は、日本についてよく知らなかったのですが、親友は私のために日本語を少し教えてくれたり、日本政府奨学金のための筆記試験の過去問を印刷してくれたりしました。

それがきっかけで、私も日本の文化やライフスタイルをはじめ、大学や研究にも興味を持ち、親友に相談したりネットで調べたりしました。

また、私は元々子どもの頃からロボットや電気製品に興味があったのですが、

当時のインドネシアでは、ラジオ、テレビ、車などのような身近な電気・機械製品のマーケットは日本メーカーが圧倒的なシェアを占めており、「テクノロジーといえば日本」というイメージがありました。

それに加えて、日本の大学について調べて行くうちに、日本の大学は歴史的に工学分野での研究成果が豊富であり、最先端技術の研究に取り組んでいる大学や会社も多数あることを知りました。

インドネシアの大学では、工学分野だと、力が入れられている分野はやはりまだ、経済発展において直接的な実用性をもつ分野に限られています。例えば、機械・土木・電気・採掘などです。

私が高校時代にもっと知りたいと思った量子の世界、ナノスケール技術などのデバイス(またはエネルギー系)の授業を提供している大学は、インドネシア内で見つけることができていなかったのです。

「インドネシアではできない自分のしたい勉強が、日本だとできるのでは…?」

こんな経緯で日本に留学しようかと真剣に考え始め、日本大使館の奨学金に申し込みました。

そして2015年12月。

インドネシアのバンドン工科大学の産業技術工学科に通っていたときに、日本大使館から文部科学省の奨学金に合格したというメールをもらった日が、私の留学の旅が開幕した瞬間でした。

とんでもなく幸せな1日でした!

しかし、国費留学生プログラムに合格した後になって、

「インドネシアで学び続けるのと、日本の大学で学ぶの、どちらのほうがいいかな」

という不安が今更ですが頭の中に浮かんで来ました。

というのも、国費留学生プログラムに合格したといっても、どの大学で勉強できるかはまだ決まっていなかったのです。国費留学の場合は来日して一年日本語を学んでから、入れる大学が決まりますから、希望する大学に入れない可能性もあります。(国費留学生の制度はこの後説明します)

また、インドネシアでの大学生活にもう慣れて来ていましたし、友達ももうできていました。さらに学費免除の奨学金まで頂いていました。

高校同級生達と元大学のバンドン工科大学(ITB)で

しかし、今から考えてみると、その悩んでいた時間も一瞬でした。

前述した理由に加え、留学という難しい挑戦にあえて立ち向かってみたい、家族からできるだけ独立した生活を始めたい、異なる社会の中で成長したいなどと考え、日本の大学に留学することを決断しました。

留学には覚悟が必要です。現地の名門大学を中退して、来日した友達もたくさんいます。

自分の選択に伴う困難を前もって予想して、自分に「大丈夫、絶対に頑張るから」と誓えるまで、あらゆる起こりうる難事と、留学生活への希望の間での行ったり来たりを繰り返します。

そして、留学するものは、困難を上回る希望を見出して、海を渡るのです。

国費留学生とは?

ここで、少し国費留学生について説明したいと思います。

「国費」が付いている理由は恐らく「私費留学生」と区別するためです。私費留学生の友達とは受験制度がもちろんだいぶ異なっているし、進学制度も違います。

国費留学生は、日本での学費や生活費などを、日本政府による奨学金という形で支援されている留学生のことです。学部留学生の場合は在外日本国大使館を通じて手続きが行われます。

これは国内選抜から始まり、インドネシアの場合は高校での成績や卒業試験に基づいた書類手続き、筆記試験、面接試験で専攻が行われます。

そして面接試験に合格できた応募者は在外日本国大使館から文部科学省に推薦され、次は、文部科学省が各国の推薦された応募者を選抜するのです。

国ごとに国内でのプロセスがあると思いますが、インドネシアの場合は奨学金の決定まで6か月間もかかります。

さらに、文部科学省からの奨学金受給が決定されて、来日できることが分かっても、どこの大学に入学し勉強できるかはまだ全く決まっていません。この時点まではただ専攻が決まっています。

修学制度として、日本の国立大学に入学する前に、国費留学生は「予備教育機関」に入学します。この予備教育機関とは東京外国大学の留学生日本語教育センター(東外大JLC)か大阪大学の日本語日本文化教育センター(阪大CJLC)のことで、

いずれかの学校に入学し、集中的な日本語教育およびその他の予備教育(理系は数学・化学・物理あるいは生物など)を受けることとなります。

で、どうやって進学が決められるの?

簡単に説明すると、メインとなる要素は「予備教育機関での成績」「各大学の枠」「留学生間の競争」で、どこの大学に入学できるかが決まります。

東大に合格できた場合は、一貫して専攻が変更できないため、進学振り分けにもそのまま入学以前に決まった専攻(つまり学科)に進学します。

東大学部生の国費留学生の人数は、国費留学生をまとめるオフィシャルな組織が存在しないためわからないのですが…。少なくとも私の学年では20人ぐらいの友達がいます。

留学生の友達とピッチングコンテストに参加したりした

大きくはありませんが、「困ったときはお互い様」という感じで皆と仲良くできます!

日本語がほとんど話せない状態から東大合格まで

来日して一年間、東京外国大学の留学生日本語教育センターに学部進学留学生のための予備教育を受けました。

ここではインテンシブな日本語の授業に加え、日本語での理系科目や実験の授業を受けていました。

予備学校での試験は、日本語(発表、作文、読解、聴解など)はもちろん、数学、物理、化学(または生物学)もありました。全部日本語で受験しました。

まだ一年間ぐらいしか日本語の勉強ができていなかった私にとっては、日本語の作文は本当に大変でした。

毎回の作文の練習で、先生に赤ペンを入れられていない部分はタイトルと、最初と最後の文章だけ、なんてこともありました。無茶苦茶な作文ですね(笑)

日本語での苦労は、理系科目にも影響しました。というのも、物理の問題などで、問題の設定が正確にどうなっているかわかりにくい、回答を日本語でどう説明すればいいか迷う、というような苦労があったのです。

実はインドネシアにいた時は、(奨学金受給の発表後でさえも)日本語は文字と語彙と文法しか勉強していませんでした。

文字といっても、平仮名と片仮名以外には、読み方には全然触れずに、数百の漢字と該当する意味を勉強しただけです。文法も、最初に勉強する『ある』と『いる』の区別しかできませんでした。

あまり勉強しなかった言い訳としては…インドネシアでの残りの時間を、なるべく家族や友達と一緒に過ごしたかったのです。

入学時には自己紹介すらできなかった私でしたが、勉強の結果先生方に信頼していただき、東京外国語を卒業した時は謝辞までさせていただきました。まるで光のような速さで進化した一年間でした。

苦労の末、希望の専攻と大学に合格できたことを知ったときは、言葉では言い表せないほど嬉しかったです。

東大を選んだ理由

そもそも留学先として、なぜ東大を選んだかと言えば、

最初に思い浮かべるのは充実している教育制度です。専門学科や研究室の質は世界的に評価されていますし、教養的な学びもできる環境です。

また、東大は非常にグローバルな環境だと考えました。他の大学より留学生の数が多く、出身地も様々で、国際的なプログラムなども豊富な東大は、留学生にとっても過ごしやすい環境や社会なのではないかと考えました。

しかし、東大を選んだもっとも大きな理由は、東大で学ぶからこそ作ることのできる、広い人脈です。東大に関係のある人々の多くはすばらしい力を持っていて、インパクトを生み出せる方々だと信じています。

一流の研究者である先生方から教えてもらえるにとどまらず、日本全国からの優秀な友達にも出会えることは大きなモチベーションとなりました。また、すばらしい卒業生や先輩達とも繋がりを作ることができるのは、ありがたいことだと思いました。

実際に入学してみても、東大で会った人々の多くは、やはりみんなそれぞれ、何かしらの凄さを持っていると思います。一見わからなくても、その人のすごいところを見つけると、もう「なんだこの人」としか思えません(笑)

留学生の友達や先輩方の中では、国に教育などの道で貢献したいと熱心に考えている友達、五・六ヶ国語を自由に操れて国際レベルで活躍している人、(日本語の勉強は本当に大変なのに)日本語の習得に成功した先輩達などがいます。

他の、留学生でない友達には、熱心に研究をしている人(小学生のころから研究してきた人や、一年生から研究室に通っている人など。すごい…!)、日本社会の役に立ちたい人(ヘルスケア・高齢化社問題面、エネルギー問題面、日中関係面など)、趣味をがっつりやっている友達などなど。

学生だけでも、言い切れないほどすばらしいな人材がいます。また、優秀なだけでなく優しい人も多くいて、本当にラッキーだったと思っています。

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