【進学選択を徹底解説】経済学から読み解く進振りの生き残り方【後編】

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こんにちは。経済学部3年のビーグルです。

愛と希望で以って経済学の面白さを東大生、そして世界と共有したい。

……そんな経済学大好きっ子が熱きパトスを胸に結成した、「UTEA」という新しい学生団体の末席を担っております。

今回は、

【進学選択を徹底解説】経済学から読み解く進振りの生き残り方【前編】

に引き続き、経済学の一分野の理論が活用されている「進学選択システム」を徹底解説していきます。

前編のまとめ 

  1. 2017年度→2018年度にかけて、進学選択が変貌した。

  2. その内容の一つが、新たに導入された「受入保留(DA)アルゴリズム」。

  3. 受入保留アルゴリズムとは、「二つの集合の要素間のマッチングにおいて、安定かつ最適なマッチングを見出すことのできるアルゴリズム」のこと。わけがわからないよ。

  4. 今までの希望順に内定が決まった方式(=従来型)では、自らの希望順序を偽って登録することで、留年回避ができることや次善の学科には行けるようになることがあるなど、戦略の余地があった

  5. そこで6人の学生ア〜カが経済学科・経営学科・金融学科の三つに進路希望を出すことを想定し、まず希望順に内定が決まる従来の方式について、彼らの内定先がどうなるかを確認。

  6. 経済学科に行きたかったが点数が足りなさそうだった少年イが金融学科を回避するために経営学科を第一志望にしたことで、純粋に経営学科に行きたかった少年エが落ちてしまったのだ…

  7. このように従来型のシステムでは、ある人にとってはいいかもしれないが、全体で見るとあまり良くないことが起こり得る

  8. 一方の受入保留アルゴリズムでは、彼らの内定先はどう変わるのだろうか? 少年イと少年エの運命の行く末は!?

というのが、前編までの流れでした。

これから、その続きを見ていきます。

受入保留アルゴリズムの進学選択での手順

復習

前編の最後に載せましたが、一応、受入保留アルゴリズムの進学選択での手順を再掲します。

ちょっと長いですが、お付き合いください

ステップ(1):まず、学生側が進学希望を出す
ステップ(2):次に、学科側が学生の評価順位を定める
ステップ(3):学科は、評価順に、第1希望の学生たちへ仮初めの席を与える
ステップ(4):席を与えられなかった学生たちは、第2、そして第3希望へと順々に回る
ステップ(5):学科側は、仮初めの席を与えた学生たちと、新たに回ってきた学生たちを比較。評価の高い順に仮初めの席を与える
ステップ(6):ステップ(4)(5)の繰り返し

早速、受入保留アルゴリズムを適用してみよう

すでに、ステップ(1)とステップ(2)は終了し、各人の志望学科と、その順位が定まったとします。(以下では、前編同様黄色のセルは内定、灰色のセルは内定失敗を表します)

  第1志望 第2志望 第3志望
学生ア 経済学科(E) 経営学科(M) 金融学科(F)
  イ (M) (E) (F)
  ウ (F) (M) (E)
  エ (E) (M) (F)
  オ (M) (F) (E)
  カ (E) (F) (M)

 

  経済学科(E) 経営学科(M) 金融学科(F)
定数 2 2 2
1位
2位
3位
4位
5位
6位

◯ステップ(3) 各学部は、その学部を第一志望にしている学生の中で一番欲しい学生を一旦受け入れます。

  第1志望 第2志望 第3志望
学生ア 経済学科(E) 経営学科(M) 金融学科(F)
  イ (M) (E) (F)
  ウ (F) (M) (E)
  エ (E) (M) (F)
  オ (M) (F) (E)
  カ (E) (F) (M)

第一段階で、学部が学生につける順位の表は次のようになります。

  経済学科(E) 経営学科(M) 金融学科(F)
定数 2 2 2
1位
2位
3位
4位
5位
6位

◯ステップ(4)

  第1志望 第2志望 第3志望
学生ア 経済学科(E) 経営学科(M) 金融学科(F)
  イ (M) (E) (F)
  ウ (F) (M) (E)
  エ (E) (M) (F)
  オ (M) (F) (E)
  カ (E) (F) (M)

 

  経済学科(E) 経営学科(M) 金融学科(F)
定数 2 2 2
1位
2位
3位
4位
5位
6位

従来型と違って、少年エが経営学科にエントリーできました!
そして・・・。

◯ステップ(5) 台頭してきた少年エの方が経営学科としては欲しいので…

  第1志望 第2志望 第3志望
学生ア 経済学科(E) 経営学科(M) 金融学科(F)
  イ (M) (E) (F)
  ウ (F) (M) (E)
  エ (E) (M) (F)
  オ (M) (F) (E)
  カ (E) (F) (M)

 

  経済学科(E) 経営学科(M) 金融学科(F)
定数 2 2 2
1位
2位
3位
4位
5位
6位

少年イの策破れ、灰色で塗りつぶされてしまいました。
ざまぁないですね。

策士イの策破れ

ステップ⑷・⑸をもう一周

まだ続きます。

◯2周目ステップ(4)

  第1志望 第2志望 第3志望
学生ア 経済学科(E) 経営学科(M) 金融学科(F)
  イ (M) (E) (F)
  ウ (F) (M) (E)
  エ (E) (M) (F)
  オ (M) (F) (E)
  カ (E) (F) (M)

 

  経済学科(E) 経営学科(M) 金融学科(F)
定数 2 2 2
1位
2位
3位
4位
5位
6位

少年イ、第2志望に登録した経済学科とのマッチングとなりますが・・・。

◯2周目ステップ(5)

  第1志望 第2志望 第3志望
学生ア 経済学科(E) 経営学科(M) 金融学科(F)
  イ (M) (E) (F)
  ウ (F) (M) (E)
  エ (E) (M) (F)
  オ (M) (F) (E)
  カ (E) (F) (M)

 

  経済学科(E) 経営学科(M) 金融学科(F)
定数 2 2 2
1位
2位
3位
4位
5位
6位

少年アとカに阻まれ、灰色に。

ステップ⑷・⑸をもう一周(ラスト!)

最後の一周です。

◯3周目ステップ(4)

  第1志望 第2志望 第3志望
学生ア 経済学科(E) 経営学科(M) 金融学科(F)
  イ (M) (E) (F)
  ウ (F) (M) (E)
  エ (E) (M) (F)
  オ (M) (F) (E)
  カ (E) (F) (M)

 

  経済学科(E) 経営学科(M) 金融学科(F)
定数 2 2 2
1位
2位
3位
4位
5位
6位

3周目ステップ(5)でもこれから変わらず、少年イは金融学科に内定ということに。

すぐに分かる通り、学生側の希望ができる限り反映されているほか、黄色のセルの上に灰色のセルがくることが無い、つまり登録志望順が変わる、たったそれだけのことによる理不尽な下剋上が存在せず、極めて妥当なペアリングとなっています(最適性)。

そう、下剋上なんてないんです

たとえ、少年イが正直に第1志望を経済学科、第2希望を経営学科としていても、結果は変わりません。
少年イが金融学科に行くまいと、周りが志望順序を正しく登録する中、いくら一人で策を弄しても意味がないことが、ここから読み取れます(耐戦略性)。

この通り、「受入保留アルゴリズム」は、「二つの集合の要素間のマッチングにおいて、安定かつ最適なマッチングを見出」しているのです!

謎説明が、ここでようやく意味を持ってくれました。

次ページ:進学選択で生き残るための真理とは!!??

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UTEA

UTEA(The University of Tokyo Economics Association)は、2018年2月に東京大学経済学部の有志学生によって立ち上げられた学生団体です。高校生や大学1, 2年生に経済学の魅力や有用性を発信すること、東京大学経済学部にアカデミックなプラットフォームを作ること、社会における経済学のプレゼンス向上に貢献することの3つを目標に活動しています。

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