【どこまでが「正当防衛」なのか!?】東大法学部生が贈る大人気裁判劇【五月祭おすすめ企画】

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CASE1:勘違いしてしまった英国紳士

まず、みなさんに考えていただきたいのは、ある大きな勘違いをしてしまった英国紳士の話。

ある夜。酒に酔った女性彼女をなだめている男性がいました。

そこを通りかかったイギリス人男性は、女性が近くのシャッターにぶつかって尻餅をつくのを目撃。その女性は「ヘルプミー、ヘルプミー」と叫んでいます。(これは後で冗談だとわかりました。)

ジェントルマンな彼は、女性が暴行されていると勘違いし、彼女を救うべく2人の間に割って入ります。助け起こそうとしたのです。

 

そんな中、なだめていた男性の方を振り向くと、手を握って胸の前あたりに上げているではありませんか。

こんな感じだったんでしょうか

これはファイティングポーズ…自分に殴りかかってくる!と、またまた勘違いしたイギリス人男性は、とっさに回し蹴りをして相手は転倒。

 

蹴られた相手はその後死亡してしまった、という事件です。

 

皆さんはどう思いますか?

これは「正当防衛」と言えるのでしょうか?

 

「勘違いだったとしても、女性を守ろうと勇気を出したのは素晴らしい!」

「そういう状況で勘違いしちゃったのは仕方ないでしょ」

 

なんて思った方もいるのでは?

 

この事件は、

「勘違い騎士道事件」(通称

と呼ばれる日本で実際に起こった事件で、すでに判決が出ています。(最決昭和62326日 )

KNIGHT:どんな時代もみんなの憧れ

 

裁判の結果、イギリス人男性に「正当防衛」は認められず有罪と判断されました。(刑法362項傷害致死罪)

防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。(刑法36条2項)

 

身を守ったはずなのに何故なんでしょう?

 

実はこのイギリス人男性は空手3段の腕前を持っていて、回し蹴りは一撃必殺とも言われる空手の技の一つ。

空手の技は意外と危険

いくら相手がファイティングポーズをとって殴りかかってくると勘違いしていたとしても、それに対する防衛手段としてはアンバランスであった(「相当性を逸脱している」と言います)ことが、判決の主な理由でした。

 

要するに、

勘違いしていたことは認められたものの、

「ファイティングポーズから殴る」という行為に対して、「回し蹴り」は危険で強すぎる行為であることをイギリス人男性は認識していたこともあり、「正当防衛」は認められなかったのです。

 

裁判では、

「勘違いした」→仕方ない

「命を奪った」→殺人罪

のような単純な図式ではなく、

どのような状況だったのか、

イギリス人男性は「回し蹴り」がパワフルだとわかっていたのか、

といったあらゆる事実を踏まえて、判断することが求められているのです。

 

法律の難しさ、もとい、奥深さを体験していただけたでしょうか?

 

ではこんなケースはどうでしょう?

次ページ:CASE2 ドキドキの三角関係……!!

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「医学部に附属病院があるように、法学部に法律相談所を」 東京大学法律相談所は、学問的研鑽と地域社会への貢献という理念の下、皆様からの法律相談活動のほか、五月祭模擬裁判や講演会、講習や研修など、幅広い活動を行なっております。

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