新年度が始まってしばらく経ち、四月病患者の多くが姿を消したキャンパス。落ち着くはずなのに、なんかそわそわしてないか…?
それもそのはず。約1週間後に迫る東大の一大行事、五月祭に向けて多くの学生がいそいそと準備に励んでいるのである。
……でもぶっちゃけメジャーリーグ見て夜更かしするし、五月祭行かなくてもいいかな〜
っていうか大谷すげえよなあ〜 メジャーでも二刀流だもんな〜
あ〜メジャー級の球体験してみてぇ〜
???「じゃあうちで体験してみます?」
え、いや、いきなりなんですか? プロ野球選手でも抱えてたりするんですか…?
残念ながら実際のプロ選手はいないんですが、うちではなんとVRでプロ並みの速球(165km)を体験できちゃうんです。
五月祭の学生企画のうちの一つなんですが、仮想空間でキャッチングとバッティングに挑戦できます。
なるほど、流行りのVRで体験ですか… それじゃあちょっとやらせていただいて…
おおお!!すごい!歓声なんかもリアルでちょっとびっくりするほどのクオリティですね…!いいスコアが出るまで続けたくなります…
五月祭の企画ってことですけど、一体どこの企画なんですか?
これは『精密Lab.』の学部4年生が作ったコンテンツなんです。VRゲームだけでも、この他に空中飛行やカーレースを体験できるものが用意されています。もちろんVRゲームだけじゃなくて自動カクテル製造マシーンなんかも展示しますし他にも…
ちょっと待ってください!色々あるのはわかったんですけど、そもそも『精密Lab.』ってなんですか?
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まず、さっきから紹介してくれているあなたは…?
企画代表を務める、学部4年の結城です。
結城「『精密Lab.』は一言で言うと、工学部精密工学科の学術企画になります。
精密工学科で学んだ技術を生かしたコンテンツが盛りだくさんの大人気企画なんです。」
すみません、実は精密工学科が何を学ぶ学科なのかいまいちピンと来ていないのですが…
結城「ではまずは学科の説明からしていきましょう!」
結城「精密工学科は1946年まで造兵学科という名前で、兵器を作る学科でした。戦後、精密工学科と名前を変え、現在では材料、計測、加工から機械、電気、システムまでを広く扱う学科となりました。近年では、その重要性が産業界においても大きくクローズアップされているサービスを工学的に体系化することにも挑んでいます。」
なるほど…?ものづくりに関してならソフトでもハードでもなんでもありって感じですね!具体的にはどんなことをやっているんですか?
結城「医療用機器や、ロボット、VR(仮想現実)、AR(現実拡張)、画像処理など、本当に幅広いですね。社会の要請に応じて常に新しい研究分野を切り開いているので他にも興味に応じて様々なことができます。」
学科自体が扱うものが幅広いんですね! どうりで五月祭の企画の中身も盛りだくさんなわけです。
結城「そうなんです。実は私が精密工学科に進学した理由は、学部2年生の時の五月祭で『精密Lab.』に出会ったからなんですよ。
それくらい『精密Lab.』は学科の特色が表れていますし、とても魅力的な企画なんです。」
そんな風に紹介されたら、他にどんなものがあるか気になって来ました…
結城「では、せっかくなのでオススメのコンテンツをご紹介しましょう!」
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結城「まずはこちら… 自動カクテル製造マシーンです!」
うわっ めっちゃキラッキラしてますね いわゆる“機械”感がすごいですけど、これでカクテルを作ると…?
結城「そうなんです。カクテルってのはそもそもベースとなるお酒に、他のお酒やジュースなどを混ぜて作るアルコール飲料のことで、「混ぜ合わせる」とか「注ぐ」って工程が必要なんですよね。」
へ、へえ〜… 言われてみれば確かにバーテンダーってシェイカーをシャカシャカ振っているイメージがありますね。
結城「要はその工程を全部機械で自動でやってしまおうというのがこのマシーンなんです。」
なるほど! もうそれバーテンダーの仕事いらないじゃないですか。機械が仕事を奪うってこういうことなんですね。
結城「まあもちろんまだ人間の出る幕はあるんですが…(笑) 今回の企画では、作ったカクテルを実際にお客さんに楽しんでもらう予定です。
ちなみに、カクテルと言ってもノンアルコールのものを出すので皆さん安心して飲んでいただけます。」
アルコールパスいらずですね!親切設計!
ここまでVRにカクテルマシーンとなかなかユニークな企画ですが、他には何があるんですか?
結城「あとは、他にも学部3年生が担当する目玉コンテンツがあるんです。せっかくなので3年生の担当者が紹介しますね!」
こんにちは、3年代表の竹本です。
よろしくお願いします!3年生も何か作っているんですね!
竹本「そうなんです!我々3年生は「せいみつスイッチ」という例年行列のできる人気展示を製作しています。簡単に説明すると、ピタゴラスイッチを精密っぽくアレンジしたって感じですね。」
言われてみれば去年も結構話題になってた気がします。精密Lab.の企画だったんですね!
精密っぽくってのはどういうことなんでしょう?
竹本「そうですね。例えば一部のモジュールを説明すると、これなんかは下から鉄球が入るんですけど…」
竹本「『ガウス加速器』といって磁石の力だけで鉄球が上まで登るんです。磁石の間隔が遠すぎると鉄球が登らないのでそこは自分たちでちゃんと精密に計算しています。
その他にも電子制御で球が転がるコースを動かしたりします。制御のための回路もプログラムも全部自分たちで組んで作るんですよ。」
おもて面はいかにもピタゴラスイッチという感じですね〜
確かにかなり精密っぽいですね…!こんなモジュールが沢山あるなんて、見てるだけでも面白そうです。
竹本「今回はお客さんに協力していただいてゴールを目指すような仕組みも考えているので、ぜひ参加してもらいたいですね。」
見てるだけじゃなくて参加もできるとは、もう行くしかないですね!
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いやあ、こんなに色々と展示があるとは…
結城「いやいや、実はまだまだ紹介しきれないほどあるんですよね。
現実の体の動きとプロジェクションマッピングが連動する「水中都市で遊ぼう!」だったり、ディープラーニングなんて言葉とともに話題の「機械学習展示」だったり、お子さんが楽しめる工作教室「テンセグリティ教室」だったりと本当に色々用意しているんです。」
そうなんですね…!しかしこれだけ多くのものを用意するのは大変だったんじゃないですか?
結城「はい。大変だったことは色々あるのですが、一番は『ものづくりは想定通りには進まない』ということですね。例えば自動カクテル製造機では、カクテルを注ぐ仕組みをコンピューターでシミュレーションしてから制作したのですが、実際にやってみると勢いが強すぎてまともにカクテルを注げない、ということが起こりました。他の企画でも、プログラムを組む際原因不明のバグに数日間悩まされる、ということが多々ありました。このようにものづくりには色々とイレギュラーが付きまとうのですが、それを乗り越えモノが完成したときの達成感は何物にも代え難いものがありますね。」
なるほど、試行錯誤の上で出来上がった展示なんですね。そんな背景を知った後だとより一層各企画を楽しめそうです…!
結城「また、はじめの方にも言いましたが『精密Lab.』では工学部で学んだことを積極的に活かす、ということを念頭において制作を進めています。例えば自動カクテル製造マシーンでは機械自体の設計・3DCGモデリングに「設計学」、加工に「精密加工学」、制御に「制御工学」「プログラミング基礎・応用」などが、機械学習展示では先のプログラミングはもちろん、機械学習を基礎付ける「最適化工学」「確率・統計学」「精密数理」などの授業が役に立っています。」
結城「これだけ多くの学問に触れることができるため、その気になればどんなものでも制作するだけの知識を得ることができるというのが精密工学科ならではの魅力なのかもしれません。
それに、このような授業で様々なことを教えてくださる先生方も『精密Lab.』で研究内容を紹介してくださいます。我々の展示だけでなく、各研究室の展示も大変充実しているのでぜひ実際に来て楽しんで下さい!」
大人でも子供でも、実際に行ったらいくらでも楽しめそうですね…!いやいや、今回は本当に色々とご紹介ありがとうございました。
幅広いテーマがたくさん詰め込まれた『精密Lab.』 おもしろそう!と思ったあなた、ぜひ足を運んでみては?
開催場所
本郷キャンパス 工学部エリア 工学部 14 号館
5/19(土)9:00-18:00
5/20(日)9:00-18:00
※入場はいずれも 17:30 までとさせていただきます
※ OpenLab の実施時間は研究室ごとに異なります。
公式ホームページ 精密Lab. 2018 公式Facebookページ 精密工学科Facebook 精密Lab. パンフレット mayFes2018.pdf(2.2MB)http://www.pemayfes.t.u-tokyo.ac.jp/