【アジアのエリートであるために】日中最高峰の舞台で東大生は何を思ったのか?

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みなさん、こんにちは。京論壇です。

と、挨拶したのですが、そもそも京論壇(きょうろんだん)ってご存知ですか?

京論壇は、今年で13年目を迎える学生による議論団体です。東京大学と北京大学の学生それぞれ15名が、互いの国に1週間ずつ滞在し、両国で開催される「北京セッション」「東京セッション」で、日中間に横たわる様々な問題について英語で本音をぶつけ合い、徹底的に議論します。

今回は、そんな我々京論壇が、

日中最高の舞台で東大生が何を感じたのか?

中国のトップと語り合って何を思ったのか?

を皆さんにお伝えしたいと思い、多方面で活躍されている京論壇のOB・ OGにお話を聞いてきました。

インタビューに答えてくださったのはこちらのお二方です。

左から田中さん、土屋さん

👉学生証

  1. お名前:田中宏樹さん
  2. 参加年度:2010年度参加者・2011年度代表
  3. 所属:東大法学部卒業後、米国コロンビア大学大学院に進学し東アジア安全保障を専攻。現在は外務省に勤務。

👉学生証

  1. お名前:土屋晴香さん
  2. 参加年度:2017年度参加者
  3. 所属:東大法学部3年生で、高山ゼミのゼミ長を務める

 

果たして彼らは、日本のエリートは、日中最高の舞台で何を学んだのでしょうか?

価値観の衝突

───まず、お二人はなぜ京論壇に参加されたのでしょうか?

土屋:私は高山ゼミという国際系のゼミに所属しているのですが、そこではエコノミストの記事を読み、毎週国際情勢に関する議論をします。

そのゼミの議論の中で、中国の話題が毎週のように出てきたんです。でも、AIIBや一帯一路、少数民族問題、習近平の権力強化など中国に関する多くの論点を扱ったのに、それらの知識が自分の中で一つの像を結んでいませんでした。

そこで、中国の話題を自分で議論できる血肉にしたいと思い、先輩に紹介していただいた京論壇に入ることを決めました。

田中:大学1年生の夏休みに、南アフリカで人権分野のインターンシップに3か月ほど参加したのですが、オフィスにはヨーロッパやアフリカから多くのインターンが来ていて衝撃を受けました。特に、イギリス人やドイツ人が、ヨーロッパの将来について議論している姿が新鮮でした。また、そのオフィスのマネージャーは、アフリカの他の国から難民として南アフリカにやってきた方で、現地で弁護士をなさっていたのです。

このように、「ヨーロッパ」「アフリカ」といった他地域内での盛んな交流を肌で感じ、自分のアジアのことを考えるべきなのでは?という思いが湧いてきました。

その中で、自分自身は東アジアという地域を考えたことがあまり無かったため、東アジア・中国に目を向けてみようと思っていたところ、友達に誘われて参加しました。

 

───議論していて面白かった内容を教えてください!

土屋:私はグローバリゼーション分科会に所属していたのですが、「グローバリゼーション」という大きな現象自体にフォーカスした北京セッションでは、抽象的すぎてどの様な方向性で議論したらよいか悩み、非常に苦戦しました。

そこで、東京セッションでは議論の方針を変え、グローバリゼーションの分析といったマクロな議論ではなく、「愛国心」をテーマにしたんです。日中の参加者の間で「愛国心」についてもし意見対立があるとすれば、その意見の対立の根底にある価値観の違いや、違う意見を持つ理由を探ろうと考えました。

「グローバリゼーション」の議論で「愛国心」を扱う理由は、ヨーロッパで移民排斥を訴える極右政党の台頭を見てもらえば分かりやすいですが、やはり「愛国心」は反グローバリズムを語る上で非常に重要なファクターとなっているからです。

日本だと「愛国心」という言葉から、過度な排外主義・国粋主義などマイナスのイメージを連想する人も多いのではないでしょうか。しかし、英語だとnationalismとpatriotismという二語があって前者はポジティブな意味で使われることが多いんです。「愛国心」というワードの捉えられ方や背景は、このように国によって異なっており、特に日本と中国では全く違うのではないか?といった疑問から東京セッションはスタートしました。

東京セッションの様子

結果的に「愛国心」というサブテーマの中で、両国の違いが明らかになり、それを通じて根底にある私たちの違いや共通点が分かり大成功でした。日本人の愛国心が、「経済的繁栄」「アニメの世界的地位」といった条件があって成り立つものであるのに対し、中国側のそれは、歴史に根付いた無条件の愛だとも解釈できました。

さらに、実際の議論の中では愛国心にグローバリゼーションが与える影響や、日中両国の愛国心の違いの背景にある歴史教育の違いなども扱いました。

 

田中:僕が参加者の時は、経済格差分科会に入り「両国社会に存在する格差を、許容できるか」をメインテーマとして議論しました。

北京大生は、外資系企業やローファームに所属したり、大学院留学したりと、必ずしもパブリックセクターの進路を選んでいるわけではなかったものの、中国社会や格差に対する強い問題意識を持っていました。これは非常に印象的でした。

こちらは北京セッションの様子

また、中国の「蟻族※」と呼ばれる若者達が住む集落に行き、インタビュー等も行いました(※大卒という高学歴を持つにも関わらず、仕事を見つけることが出来ず、中国都市部で蟻のように仲間と一か所に住み生活している若者を指す)。それまで同世代の中国の若者と深く議論したことが無かったので、とても面白い経験でした。

 

次ページ:本気の議論から得た学びとは。

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