【結構】良いイメージが皆無の三鷹寮。実際のところはどうなの?【良いところだよ】

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吉祥寺駅から遥か南、40分という途方も無い年月をかけて歩き続けると”そこ”に辿り着くことが出来る。

囚人の脱走を防ぐために築き上げられた壁。

“そこ”は一歩踏み入れると妖気が体にまとわりつく。足取りが重くなる。空の色が瞬く間に変わる。

危機を察知した本能に抗い足を進め続けると”それ”はその全貌を表す。

濃霧。

“そこ”の外観はあまりにも刑務所だった。

“そこ”には東大生がおよそ400体収容されている。

“そこ”の正式名称を”東京大学三鷹国際学生宿舎”という。
人はそこを”三鷹寮”と呼んだ─────。

三鷹寮の世間のイメージ

あなたは三鷹寮を知っているだろうか。

東大生であれば名前ぐらいは聞いたことがある人が多いのでは無いだろうか。

しかしその主な実態は門外不出。

Twitterでは「三鷹寮はクソbot」なるものが存在し、地震が起こるたびに「三鷹寮倒壊した」というツイートがTLを流れ、部屋が狭い、交通の便が悪い、汚い、ゴキ◯リが頻繁に出没する、換気扇から汚水が出たetcとにかく様々な情報が錯綜している。

結論から言おう。大体実話である。

 

そのようなネガティブな情報ばかり出回る悪名高き三鷹寮。はっきり言って、そのような情報は三鷹寮のごく一部の側面に過ぎない。実態はもっと酷く、そして素晴らしい。

ネガティブな側面ばかりフォーカスされがちな三鷹寮だが実に魅力に溢れている。実際に2年間この寮で住んだ私がその経験を元になかなか寮外に知られることのない実態を公にしていく。

家賃

何故、人は三鷹寮に住むのか。

 

三鷹寮に住む最大のメリットはその家賃だろう。

電気代のかかりがちな真夏でも家賃、光熱費を合わせて月に14000円あれば足りる。「三鷹寮に住むこと自体がバイト」という三鷹寮ジョークも存在するほどだ。都内のアパートは安いところで50000円程度であることを考えると、その破格さがわかる。

むしろ、これありきで入寮してくる人がほとんどを占めるだろう。でないと、こんなファーストコンタクトの悪い物件に住むはずがない。どう見ても刑務所だ。

壁のシミがそれっぽさを醸し出している。

もちろん、何の変哲も無い物件に月14000円で暮らせるはずもない。

待ち受けているのは値段相応の生活である。

住まい

ではその格安物件たる三鷹寮の部屋の中はどうなっているのだろうか。

入ってみる。

狭い。

部屋におけるベッドの敷地面積は膨大で、その存在感が際立つ。別にこれはベッドが巨大なわけではなく、部屋が狭いのだ。

そしてそのベッドはとてつもない硬度を誇っている。恐らく日本にこれより硬いベッドは存在しないであろう。寝るだけで心身ともに鍛え上げることが出来る。

そして空調。時期によって暖房か冷房のみしか使えず、寮生の選択の自由は風量を小・中・大の3段階に変えることのみにある。しかも効きは悪い上に電気代を食いまくるのは、夏は暑さに冬は寒さに慣れろというメッセージだろう。

そう、三鷹寮は精神修養の場なのだ。過ごすだけで成長することが出来る。圧倒的感謝。

 

そして窓。MAXでもおよそ30度しか開かないため風通しが非常に悪い。
そしてご覧の通り、網戸が存在しない。

網戸が存在しないと何が起こるのか。
そう、虫がバンバン入ってくるのだ。

三鷹寮はその自然の豊かさを存分に発揮し、それはそれは多種多様な昆虫が入ってきた。

蚊やコバエはもちろん、巨大な蛾、蜂、ガガンボ、テントウムシ等々……。このような昆虫達と日頃から触れ合っているうち、三鷹寮はビオトープとしての側面もあることを気付かせてくれる。

 

しかし三鷹寮の真髄はこんなものではない。

三鷹寮の部屋には浴槽が無い上に、最寄りの銭湯もそこそこ遠い。よって、シャワーを浴びるしかないのだが、これが凄いのだ。

これぞ三鷹寮の誇るユニットシャワー。省スペースの行き着く先。

しかしこれでは便器が水浸しになるのでは?と思ったことだろう。しかし東大の誇るこの三鷹寮がそんなことを考慮していないはずがない。実はこの洗面台は可動式になっていてこれを動かすとこうなるのだ。

これが三鷹寮の技術の粋。この最先端テクノロジーを前にして驚かなかった者はかつていない。

(実は洗面台が可動式ですらなくトイレがシャワーを浴びるたびに綺麗になってしまう棟もあるが)

 

そう、三鷹寮は心身ともに鍛え上げられる訓練所であり、豊かな自然を保全するビオトープでもあり、そして最先端のテクノロジーも備えられた万能の施設なのだ。

立地

住めば都とはよく言ったもので、実際その通りだと思う。2年間の寮生活を通じて体はかなり万能の施設たる三鷹寮の生活に順応したと言えるだろう。

しかし、いくら住めど看過出来ない部分がある。

立地だ。

立地(りっち、location)とは、一般的には場所や位置という意味である。

(引用元:「立地」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2016年4月16日 (土) 03:07 UTC、URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%8B%E5%9C%B0)

三鷹寮の立地。こればかりはいくら住んでも都にはならなかった。なってくれなかった。なって欲しかった。

まずは、三鷹寮の位置をご覧頂きたい。

意図的としか思えないほど物の見事にどの駅からも満遍なく遠い立地。どの駅からも満遍なく遠いその様から、人々は三鷹寮を”陸の孤島”と呼んだ。

縦横無尽に交通網が張り巡らされた都内では、大抵のところへは徒歩と電車で30分あれば着くと言われている。

しかし30分の徒歩では都内のどこかに出るどころか最寄りの駅に辿り着くことすら叶わない。

東京大学の擁する寮でありながら、その東京大学駒場キャンパスに行くまでに凡そ50分はかかる。大学より神奈川県の方が近いという有様。

何故このような場所に出来てしまったのか。

遡れば、どうもこの三鷹寮が出来た時期は学生運動が盛んだったらしい。そして、もし寮を大学の近くに建ててしまったら学生運動の根城になってしまうと。それを防ぐためにこんな辺鄙なところに建てられてしまったという。

なるほどつまり、現在の三鷹寮生は過去の知りもしない人間達の尻拭いをさせられているというわけだ。皮肉にも”刑務所”と揶揄されがちな三鷹寮に”囚人”として贖罪しているという構図になっているのも趣深いものがある。

豊かな自然

さきほどの住まいの項で多少触れたが、この立地のこともあって三鷹寮は大変自然が豊かだ。寮内でしばしば狸を見かけるほどだ。

三鷹寮は四季折々でその様相を変える。

夜桜と三鷹寮。

新緑の三鷹寮。

紅葉と三鷹寮。

雪の積もった三鷹寮はさながら網走刑務所のよう。

どうだろうか。私はこの風景が好きである。帰寮するたびに四季を感じられるというのは大きな魅力ではないだろうか。

寮の敷地内でこのように森林を探索することも出来る。

友達

徒歩圏内にスーパーがある、フリーWifiの飛んでいる共用棟がある、自宅不在時には郵便物は共用棟が保管してくれる、筋トレルームがある、国際学生宿舎なので留学生と仲良くなれる等細かい利点は結構あったりするが、何より最も大きいのが友達の存在だ。

共用棟もあり寮生間の交流も活発。

寮で花火も出来る。

三鷹寮ではしばしばイベントが行われる。

入寮後すぐのウェルカムパーティ、ハロウィンパーティ、映画上映会、駒場祭前の前売り券交換会、留学生のフェアウェルパーティ、BBQなど、盛りだくさんである。寮生と交流する機会には事欠かない。そういったイベントを通じても友達が出来る。

BBQ

私は三鷹寮の自治委員会に属していた身だが、このようなイベントが絶えないよう委員会は尽力したしこの先後輩達もこれを伝統として続けてくれると思っている。

さいごに

ここまで色々言ってきたが、はっきり言って三鷹寮はクソ物件である。断言しよう。しかし、私は決してここに住んだことを後悔などしてはいない。

三鷹寮で友達が出来ると、寮生はフッ軽な人が多く気軽にすぐ集まることが出来る。深夜の突然の呼び出しにも対応してくれたり、逆に呼び出されたりもする。麻雀や飲みの面子に困ることはない。

クリスマスでも麻雀が打てる。 そう、三鷹寮ならね。

私は大学に入って最初の2年間をこの寮で過ごし、多くの友達や思い出に恵まれた。その友達や思い出はこの寮に住んでいなければ得られなかったものであり、そして一生物だ。

今や刑期を終え三鷹寮から出所した身だが、ここで得た友達とは恐らくこの先も付き合い続けることになるだろう。

三鷹寮の魅力を上手く伝えられたかわからないがこの先会話やTwitterで三鷹寮の話が出た時、ただのクソ物件ではなく、この記事のことを少しでも思いだし魅力があることも想起してくれたなら、ライター冥利に尽きるというものである。

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ABOUTこの記事をかいた人

チェン

1浪1留。東京大学理科2類1年生(2018年3月現在)。東京大学運動会柔道部所属。主な著作物…なし。

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