おっさん東大生が語る、50歳で東大に入学した理由

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そして予備校へ

そこで、これからどうしようかと思ったとき、「大学で勉強し直したい」という気持ちを思い出したのです。その際、どうせならいわゆる”最高学府”とされているところで学びたいと思い、予備校にも通って二年間勉強をして東大を受験した、ということです。実はいくつかの予備校には年齢を理由に入校を断られたのですが、そんな私を受け入れてくれる予備校もありました。入塾テストには一回落ちてしまいましたが…。

大変だったのは予備校時代の12月、これからセンター試験対策をしようとした矢先、衆議院の解散総選挙があったことでした。選挙区を地元の東京の江東区に変えようと思っていたことから、なるべく早く区民の方々に私の存在を知ってもらおうと無所属での立候補を決意、東大合格はお預けでもいい、そんなふうに思っていました。

私は、予備校職員の方以外には出馬を秘密にしていたのですが、同級生の一人が私のブログを発見し、結局ばれてしまいました。そして落選後、ほぼ丸腰状態でセンター試験を受けたのですが、案の定、八割を切るという東大受験生としてはあるまじき点数をたたき出してしまいました。しかし同級生が、私が選挙中欠席した授業のノートを見せてくれるという感涙を流しそうになったこともあったおかげで、二次で挽回し何とか合格することができました。

 

果たして入学して正解でした。ここで改めて私の自己紹介をさせていただきます。

 

☞学生証

  1. 名前:猪野 隆(いの たかし)
  2.  所属:東京大学文科一類2年
  3.  経歴:上智大学卒業後、国家公務員Ⅰ種(当時)採用試験合格。国税庁・国税局、経済協力開発機構(OECD)、旧大蔵省、衆議院調査局、東京地方裁判所等勤務。現在、政治活動もしている“おっさん東大生”
  4.  過去の特技:マラソン2時間58分(ベルリン)

 

東大に入って

大学では、自分が社会人経験者であり、世代もご両親と同じであることから、同級生からは敬語をもって接してくれましたが、自分はなるべく同じ目線でいようと努めました。五月祭や駒場祭の屋台でもみんなといっしょに活動し、シケタイ(試験対策係)もこなし、クラスコンパも都合くつくときはなるべく参加するようにしました。屋台は社会の縮図を見るようで、同級生各々の性格や人からも出て興味深かったです。

クラスコンパでは、みなさん恋愛に関心のあるお年ごろですから、自分が若かりし頃の恋愛話をするとよく耳を傾けてくれました。予備校時代の同級生もそうでしたが、私とコミュニケーションを図ろうと努めてくれたことには感謝していますし、ユーモアやファッションセンスといった私には欠けている点は、みんなに見習いたいと思っています。

ただ、予備校でもそうだったのですが、講義中にもかかわらず、遅刻した場合も含め、みんな何の気兼ねもなく教室を出入りする姿には驚かされました。昔の学生はもう少し罪悪感を持って遠慮していたような気がします。そして、多くの教授や講師もそのことを容認しているように見受けられます。時代の流れでしょうか。たしかに今のほうが、講義中にトイレに行きたくなっても我慢しなくてすむという点では、助かるのですが…

部活にも本当は参加して学生生活をより意義あるものにしたいのですが、朝や週末など講義のないときは地元で政治活動をしているので時間がなかなかとれず、未だに参加できていません。

毎朝、駅頭で挨拶をしていますが、このように激励をいただけると本当にうれしいものです。

第二外国語はフランス語を選択しました。なぜなら、前述のOECDの勤務地がパリだったので、日常生活ではフランス語を使っていたからです。もう二十年以上も前になるのですが、実は同じ時期にフランス語の教授も在仏されているとのことでした。フランス語を何十年も研究している者と生活上仕方なく二年間だけ使っていた者との差は、教授と学生という差になって表れたのです。

 

二年生になっての一番の思い出は、下クラの子(現在の同級生)や三十歳年下の先輩(笑)と学習ボランティアなどのため熊本地震の被災地に訪れたことです。これは、下クラの子らが率先し呼びかけたことなのですが、まさに社会人とのコンタクトが必要なわけですから、社会人経験者の私がいたほうが何かといいだろうと思い私も参加したわけです。こうした彼女、彼らの積極性や行動力も見習いたいものです。

駒場祭ではその内容を展示企画として発表しました。

そして、大学の教授や講義についてお話をしたいと思います。社会でも、その知識や教養の高さに尊敬できる方々はたくさんいましたが、特定分野については、大学教授のそれは格段その上をいっています。若かりし頃には気がつかなかったのですが、その道、何十年も研究されているわけですから当然と言えば当然です。したがいまして、教養課程の講義にもかかわらずその内容は高度で、それでいて学生にはさらなる学問研究を促すなど自主性を求めるものにもなっています。

つまり、講義では、学問の深さを感じとることができるのと同時に、参考文献をはじめその学問を探求するための道標も示されているのです。さらに図書館などの施設の充実ぶりも合わせ、予想以上の学習環境のすばらしさに自主留年してしまったくらいです。これほどコスパという点でも優れた環境は学外にはおそらくないでしょう。今から、本郷で専門分野について学ぶことも楽しみでなりません。

ですから、みなさんにも、部活動など学業以外でも学生生活にとって重要な活動もありますが、是非、このすばらしい学習環境を活かしてほしいと思います。

 

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社会人の立場から見えてきたこと

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ABOUTこの記事をかいた人

2015年、50歳で受験し入学。現在、自主留年をして文科一類の二年生。 過去、選挙に三回挑むも、いずれも落選。 今も、勉強の傍ら、政治活動中。

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