AIが人間の仕事を奪う?人工知能時代の生き方とは【”未来授業”に参加して】

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こんにちは。ライターの志宇知です。

現在東京大学の2年生で、理科I類から工学部へ進学予定です。

 

前回は「オリ合宿下クラ潜入体験記」っていうふざけた記事を書いたのですが、今回は少し真面目なことを書きたいと思います。

 


人工知能AI)ブームの昨今。

 

囲碁や将棋のプロ棋士と人工知能との試合や、現在開発中の自動運転技術を始め、毎日のように人工知能に関するニュースを耳にします。身近なところでは、Siriやルンバなど、私たちの身の回りでも人工知能はたくさん活用されています。

その一方で、AIが人間の仕事を大量に奪うのではないか、という危惧の声も日増しに強くなっており、もはやAIに関する諸問題は他人事ではありません。

 

私自身は工学部に進学していることもあって、人工知能は特に身近に感じており、人工知能との付き合い方やこれからの個人・社会のあり方について考えなければならないと思っていました。

しかし、いつか考えればいいや、と思ってずっと先延ばしにして、結局その「いつか」が来ることはありませんでした。

およそ一ヶ月前、10月15日(日)に東京大学本郷キャンパスで開催された「NISSAN presents FM Festival2017 未来授業」というイベントに参加するまでは。

 

今回UmeeTを通して、幸運にも、人工知能に関する問題やこれからの生き方について真剣に考える絶好の機会をいただけました。

未来授業のテーマは「AIは産業・社会の何を変えるのか?」。講師は、人工知能研究の第一人者である松尾豊さん、京都大学総長の山極壽一さん、映画プロデューサーの川村元気さん。錚々たるメンバーです。

 

今回は、「NISSAN presents FM Festival2017 未来授業」の様子や、イベントを通して考えたことなどを書いていこうと思います。この記事を読んだみなさん一人ひとりが、自分自身の「未来」について思索するきっかけとなれば幸いです。

 

 人工知能が人間の仕事を奪う?

 

そもそも、人工知能とは何か。人工知能は現在どの程度まで発達しているのか。これからどうなっていく可能性があるのか。ご存知ですか?

 

未来授業1限目では、東大准教授の松尾豊さんが、上に挙げたような事柄について短い時間の中でわかりやすく説明してくださいました。

長くなるのでここで全部は書きませんが、こちらの記事を読めば人工知能研究の歴史も含めよくわかると思います。松尾さんから学生へのメッセージも書かれています。

ざっくり説明すると、今は人間のような知能を持つAIはできていない。しかし、今までは人間が「どこに注目するか(特徴量)」を見抜き、モデル化していたが、ディープラーニングによってAI自らがそれをできるようになってきた、というのが現在の状況です。

これによって、例えば画像認識なんかができるようになってきました。観測した情報を自動でパターン処理するという「目の誕生」が今まさに起きているのです。

こうなってくると、AIは人間の仕事にも少なからず影響を与えてきそうですよね。松尾氏曰く、「市場が大きく」「単一作業で」「今まで『眼』がなかったから自動化されていなかった」産業はAIに取って代わられる可能性が高いそうです。ゆくゆくは、医者や弁護士といった職業にまでAIが侵食してきても不思議ではありません。

 

では、世間で騒がれているように、将来AIは人間の仕事を全て奪ってしまうのでしょうか?

 

私はそうは思いません。

 

ここからは私の素人考えで申し訳ないですが、理由を述べさせてもらいます。

 

そもそも、人工知能研究の目標は「人間のような知能を作ること」だと言って差し支えないと思います。

そのためには、必然的に人間がどのようにして物事を捉え、考えているか、すなわち脳機能の解明が必要になってくるでしょう。

しかし、人工知能がまだ十分に発達していない現在では、脳機能の研究をするのも結局は人間です。つまり、人間の脳でもって人間の脳について研究しているわけです。

このような構図では、どうしてもバイアスがかかってしまい、真の脳機能など解明できないのではないか。よって、人間のような知能を持つAIもできないのではないか。私はそう考えています。

そして人間のようなAIができないのであれば、必然人間の仕事が完全になくなることはないでしょう。

もちろんこれは1大学生である私の個人的な考えなので、これからの技術の発展次第では人間のように複雑な知能を持ったAIが開発されることもあるかもしれませんが。

また、授業の中で松尾さんも、「人間は自己の成長や社会貢献が好きな生き物だから、仕事はなくならないだろう」と仰っていました。こういった方面からも、将来的にAIが人間の仕事を完全に奪ってしまう可能性は低いと思います。

 

だからと言って安心していいのでしょうか?

人間の仕事はなくならないにしても、人工知能の発達は社会の仕組みや私たち個人の生活を少なからず変えることでしょう。いや、すでに人工知能は社会や個人に大きな影響を及ぼしていると言ってもいいかもしれません。

 

このような現代において、我々はこれからどう生きていくべきなのか?そして、どういった社会を作っていくべきか?人工知能にはない、人間らしさとはなんなのか?

そういったことを問い直す時期が来ているのだと、私は思います。

 

今までそんなこと考えたこともなかったという人も、この機会にぜひ真剣に向き合ってみませんか?

 

何をとっかかりに考えていいのかわからない、という人も安心してください。

これらの問題を考えるヒントが、山極さんと川村さんの話にありました。

 

 AIとヒトの違いとは

 

突然ですが、皆さんに質問です。

 

あなたは毎年何人に年賀状を送りますか?メールやLINEでの会話を含め、日常的にやり取りをする人が何人くらいいますか?

大体でいいので、人数を思い浮かべてから、以下の記事を読んでいってください。

 

未来授業2限目の講師は、京都大学総長山極壽一さん。霊長類学者です。ゴリラ研究を通じて、霊長類の進化を探ってきた専門家の立場から、人類の未来について語ってくださいました。

 

中でも印象的だったのが、脳に占める大脳新皮質の割合と集団規模の話です。

山極氏によると、大脳新皮質は社会脳とも呼ばれ、それが脳に占める割合は、その種の社会グループの大きさと強い正の相関関係がある、ということでした。そして、ヒトの大脳新皮質の大きさから、人間の集団サイズは150人程度であることがわかる、とも仰っていました。

これを聞いて、違和感を持った方も多いのではないでしょうか?今の世の中は情報化社会で、SNSも発達していて世界中の人と繋がれる時代です。LINEやフェイスブックで何百人、何千人と友達がいる人も珍しくありません。それなのに、人間の集団サイズがたった150人というのはおかしいじゃないか、と。

 

ではここで、先ほどの質問に戻りましょう。

年賀状を送ったり、日常的にやり取りしたりする人数、思い浮かべましたか?

 

 

……その人数って、おそらく150人より少ないですよね。

 

つまりはそういうことなんです。グローバル化だ、情報化だ、などと騒がれても、結局親しく付き合える人数は昔と比べてさほど変わっていないんじゃないか。山極氏はそう仰っていました。

確かに、その通りかもしれません。

科学技術が発達して、様々な人と気軽にコミュニケーションが取れる現代だからこそ、実際に会って話をすること(生のコミュニケーション)や人間関係の維持・構築がこれからの社会でより大事になってくるのではないか。

もっと拡張して言えば、身体性や主体性の伴った体験が重要なのではないか、と考えました。

つまり、人と会ったり、どこかに旅行に行ったり、といった周囲の環境との相互作用を大切にしていくべきなのだと思います。

今の段階では、人工知能はこういったことができていませんから。(この辺りの話はシンボルグラウンディング問題とも関わってくるので気になった人はググってみてください!)

 

要するに、「コミュ力をつけろ!自分で考えて行動しろ!」ってことですね(笑)。身にしみます、ハイ。

 

次ページ:未来授業3限目 映画プロデューサー・小説家 川村元気さんの話

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ABOUTこの記事をかいた人

バスケと映画が好きです。徳島県出身。

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