”空から”研究を見てみよう!

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実用的な応用例

本記事では、興味本位で”instagram”というキーワードを基に分析を行ってみました。

しかしこのシステム、実はとても実用性が高い分析ツールなのです!

例えば、どの研究領域が今後発展する余地があるかを予測して、研究者や投資家が注力する先を決める参考にする、などということにも応用できます。

 

それでは、実際にそのような研究の例をいくつか紹介します。

 

(1)サステイナビリティ(持続可能性)4

今の環境を維持するために、サステイナビリティをテーマとした研究活動が幅広い分野で行われています。(エネルギー、森林、水…など)

しかし、そのために現在どんな研究が行われているのか、その全体像を確認することが難しくなっています。

そこで、俯瞰システムを用いてサステイナビリティに関する研究の全体像を把握しました。

その結果、サステイナビリティに関する研究は、森林や海洋などといった地球環境に関するものから、健康や都市・交通システムなどといったミクロなものま主に15の領域に分かれていて、それぞれの領域が複雑に絡み合っていることが分かりました。

また、エネルギー分野の領域がまだ小さいけれども、大きくなってきていることから、今後も発展していくと予測することができました。

 

Sustainabilityの学術俯瞰図4

 

(2)太陽電池5

太陽電池は地球に優しいクリーンなエネルギーであることから、技術の発展が大いに期待されている分野です。

よって、世界中で太陽電池に関する研究は活発に行われていますが、これによって、太陽電池に関する研究の全体像を捉えることは難しくなっています。

そこで、学術俯瞰図を作成することで太陽電池に関する研究の全体像を把握しました。

また、研究領域ごとの成熟度(発展途上 or 成熟)を算出しました。

さらに、国ごとにどの領域に注力しているかを観察することで、国ごとの研究戦略の比較を行いました。 

太陽電池の学術俯瞰図5

 

学術俯瞰システムを使って感じたこと(私の経験談)

ここでちょっとした余談を…

 

私は以前材料工学を専攻していて、電界効果トランジスタ(FET)に用いる新しい有機半導体材料の開発を行っていました。

研究テーマは、ある有機分子(Aとしましょう)と他の分子を組み合わせたFET材料の開発、でした。

 

どんな実験を行っていたかというと、

①   Aといろいろな分子を組み合わせて新しい材料を合成

②   ①を半導体部に用いたFETを作製

③   ②がちゃんとFETとして動作するか調べる

というのが大まかな流れです。

 

そこそこ頑張った甲斐もあって、最終的には2種類の新しい材料を作ることができました!

(研究成果は投稿論文として公開していますので、興味のある方はよかったら覗いてみてください(笑)6

 

…しかし、ある時ふっと思ったのです。

 

「なんか研究室入ってからAFETについては詳しくなったけど、それ以外はあんまり学んでないし、すごい視野が狭まってる気がする…」
「そもそも、FETに用いられる材料って、有機材料以外にも色々あるよな…?」

 

などなど。

 

そこで、FETの学術俯瞰を興味本位で行ってみました。

FETの学術俯瞰図 

…なんと!私が研究していた有機半導体の分野は、FETの分野では三大グループのうちの一つであることがわかりました!

ナノカーボン材料や、無機材料もFETの材料として有機材料と同じくらい大きな研究領域だったのです!

 

また、それぞれのクラスタをさらに分解すると、その中でもさらにいろいろなグループに分かれていることを発見しました。 (例えば、ナノカーボン材料の中では、グラフェン、カーボンナノチューブなどに分かれています。)

 

私は、初めて学術俯瞰を行った時、

 

「FETの研究分野は、自分が思っていたよりもずっと広いものだったんだなぁ…」
「自分が知っている研究の範囲は、この中のほんの小さな領域なんだなぁ…」

 

などなど、いろいろ感想を持ちました。

それは自分にとってちょっとショックだったと同時に、面白い!とも思いました。

 

また、「有機、ナノカーボン、無機、それぞれにメリットデメリットがあるから、それぞれに適する使い道があって、だからこそそれぞれの材料を研究する意味があるんだな〜」と考えたりすることで、普段とは違う視点を持てたからこそ改めて研究の意義のようなものを考察できたのかな、とも思います。

それから、普段と視点を変えて物事を見てみることは実は大事なんだなぁ〜、と実感しました。

 

学術俯瞰システムに興味を持った人へ

もっと詳しい解説が載ってある本が出版されていますので、ぜひ手にとってみてください!

松島克守ら「知の構造化の技法と応用」

 

まとめ

本記事では大量の論文を分析することで研究を”空から”観察するツール、学術俯瞰システムについて紹介しました!

このシステムを使うと新しい研究領域の発見、今後の変化の予測などができるので、研究戦略を立案するための参考資料として活用されています。

そして何より、学術俯瞰システムを使って”空から”研究を見てみると、色々な新しい発見があってとても面白いです!

 

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!!!😊

 

参考文献

  1. https://www.researchgate.net/publication/229062236_Article_50_million_An_estimate_of_the_number_of_scholarly_articles_in_existence
  2. M.E.J. Newman, Fast algorithm for detecting community structure in networks, Physical Review E, 69, 066133 (2004).
  3. https://link.springer.com/article/10.1007/s11625-014-0244-x
  4. Y. Kajikawa, et al., Creating an academic landscape of sustainability science: an analysis of the citation network, Sustain. Sic, 2, 221-231 (2007).
  5. I. Sakata, et al., Bibliometric analysis of service innovation research: Identifying knowledge domain and global network of knowledge, Technological Forecasting & Social Change, 80, 1085-1093 (2013).
     
  6. C. Fujisue, et al., Air-stable ambipolar organic transistors based on charge-transfer complexes containing dibenzopyrrolopyrrole, RSC Adv, 6, 53345-53350 (2016).
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