三度の飯よりコレが好き!③「スペイン」

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学問に大学生活を捧げる東大生や、一つのテーマに直球勝負する東大院生が、学問や研究の真の面白さを誰でもわかるように伝えるシリーズ第3弾!

今回はスペイン語圏をこよなく愛する安村さくらさんに、その魅力をとくと語っていただきます!

☞学生証

  1. お名前:安村さくらさん
  2. 所属:総合文化研究科地域文化研究専攻(中南米小地域)
  3. 進路:おばあちゃんまでフラメンコ 

まずはこちらの動画を御覧ください。

 

Aqui muero yo!!

Posted by Khanetnia MK on 2015年12月18日

半円上にバックステージに立つ人々の中から、順々に男性ダンサーが出てきて、それぞれの得意技を見せていくこの踊り。バックの人は手拍子と掛け声でダンサーを応援しています。

これはフラメンコの中でもブレリアと呼ばれるもので、一人ひとりの個性が発揮できることから、公演の締めでよく使われる演目です。

さて、スペイン語圏の魅力の一端を見ていただいたところで、地域研究の面白さに迫っていくとしましょう。

スペイン語圏地域研究

駒場の地域文化研究専攻の通称中南米科というところに所属しています、修士1年の安村さくらといいます。中南米科には、文化人類学、言語学、政治学、文学、さまざまな側面から、スペイン語圏を愛し、スペイン語圏のなぞを解き明かしたいと考えている人々が集っています

地域文化研究専攻では世界を9つの「地域」にわけて、研究が行われています。

しかし、なぜ日本人がわざわざ外国語に習熟する労を払ってまで外国の地域研究をするのでしょうか。

その意義の一つは、アウトサイダーの立場から観察することで、その地域の内部の人たちにとっては当たり前になってしまっているような領域から、新しいことを発見できる、という点です。

とはいえ、自分の周りを観察していると、単純に特定の地域への愛着から、地域文化研究の道へ進んでいくという人も多そうです。

 

地に足のついた踊り フラメンコ

みなさんフラメンコと聞くと、どのようなものを頭に思い浮かべるのでしょうか。

私は、赤と黒の衣装で女性が踊っている様子を思い浮かべながら、大学1年の秋に東京大学フラメンコ舞踏団の練習を見学に行きました。

踊り続けて早4年。フラメンコは、踊りだけではなく、歌とギターがあって、その三者が一体となった芸能です。一人で踊ることも集団で踊ることもできます。

 

人と踊るときは、相手の動きを感じながら、いかに合わせていくかを追求し、一人で踊るときは、ギターと歌をしっかり聞いて、舞台上の自分の位置を自分で調整しながら踊っていきます。

そのどちらも楽しいですが、ベースはひとりひとりの持ち味を出していくことにあります。なので、集団で踊っていても自分が埋没している感覚は一切ありません

さらに、フラメンコ舞踊の特徴として、サパテアード(専用の靴で床を叩きつけるようにして音を出すこと)の存在が挙げられます。単に大きな音を出せばいいというわけではありません。歌やギターに合わせながら音量を調節しつつ、リズムを刻みます。自分自身が楽器になったかのような感覚があります。

 

以上をまとめると、フラメンコは「個」の芸術でありながら、他者との共同作業を楽しむこともでき、また足音を通して、音楽を作り上げていくという楽しさを味わうことができます。

男女、学年問わず、東京大学フラメンコ舞踏団では新入部員募集中ですので、興味のある方はのぞきに来てみてください。一度はじめたら、ハマること請け合いです。

五月祭

五月祭にて

→舞踏団のFBページ  https://www.facebook.com/flamenco.ut

スペイン語圏の魅力とは

スペイン語圏のなかでも私が特に大好きな、スペインとメキシコ。この2か国をメインにお話したいと思います。

バルセロネータ

バルセロナの浜辺、バルセロネータ

マシンガントークのスペイン人

スペイン語圏は中南米に広がっていて、国によって、話すときのリズム感、発音、方言等の違いがあります。特にスペイン人に限っていえば、そのマシンガントークが特徴だと言えます。機関銃のように、バンバンバンと話すようなイメージです。

バンバン話しますが、それは「自分も話すから、君もどんどん話そう」という風土があってのこと。そういう意味では、みんな素直に自分を出していけるので、肩ひじはらずに生活できます。「私はこんなに我慢しているんだから、みんな我慢しよう」という、出る杭を打つような雰囲気とは正反対のものですね。

 

私が駒場のスペイン語の授業で一番好きな先生は、「今週なにしてた?え、特になにも!?一週間寝てたわけ?」「世界で一番かっこいいのは阿部寛。異論は認めない。」なんて言う、煽りの達人でした。

煽るのはもちろん悪気があってのことではなく、自分の意見をばーんと打ち出すことで、相手の考えもどんどん引き出していこう、というコミュニケーションスタイルなのです。

 

カルロス一世

グラナダのアルハンブラで見つけたPlus Ultra カルロス1世のモットーであり、筆者のモットーでもあります。前へ、前へ、前進あるのみ。

メキシコのカオス感

メキシコは好き嫌いがはっきり分かれる国かもしれません。(ちょっとカオスすぎて、予想外の出来事に適応できないタイプの人には向いていないのかも。)

先住民文化が残り、それでいて長者番付1位になったことのあるおじさん(カルロス・スリム氏)が住んでいて、メトロの中にはリュックから音楽流してCDを売っている人がいて。

 

ラテン系の国というと、「明るい」というイメージを持たれがちですが、単に明るいわけではないように思えるのです絶望の中の明るさとでもいいましょうか

メキシコは極端な格差社会で、この問題は個人でどうにかできるようなものではないです。しかし、それに対して絶望して自暴自棄になるのではなく、社会の中の暗い部分も全部ひっくるめて、それでも前を向くような、そんなしたたかな明るさがあります。

それは、私自身が中学3年のときにストリートチルドレンの女の子たちを保護する施設を訪問したときに強く感じました。メキシコは誰でも受け入れてくれる、懐の深い国です。

死者の日007

写真は、今年3月にメキシコシティで撮影が行われた映画007の冒頭シーン。12月に公開されたようで、私はまだ見に行けていないのですが。メキシコには「死者の日」というものがあって、それをモチーフにした大行列シーンのようです。

実際の「死者の日」はこのようなものではなく、マリーゴールドで華やかにかざった祭壇に髑髏を模した砂糖菓子を並べ、家族ぐるみで死者をお迎えする、という明るくにぎやかなお盆のようなものです。

死者の日

スペイン、メキシコ、そしてその他のスペイン語圏の国々にはそれぞれ個性があるので、乱暴にくくりたくはないのですが、どの国にいっても、居心地がよく感じられるのは、あの開放感なのかな、と思います。

自分自身を貫き通しているからこそ、他者がそうしているのも素直に受け入れられるというのは素晴らしいことですね。

第二、第三の故郷をもつこと

地域研究のいいところは、普段日常で使用している言語、暮らしている土地から離れたところで起こっている現象を丹念に見ていくことで、新しいものの見方を獲得できるという点に尽きるのだと思います。

 

第二外国語なんて大学に入って最初の一、二年しか勉強しない人の方が多いと思いますが、その外国語を使う地域が、いつか「第二の故郷」になるかもしれないので、ゆるりゆるりと気長に付き合っていくと、人生の楽しみが増えるのではないでしょうか。

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ABOUTこの記事をかいた人

安村さくら

おばあさんになるまで踊っていたい

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