東大発ベンチャーへの投資を行っているUTECの社長・郷治さんに迫る!!

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「東大発ベンチャー」の活躍が最近ニュースになっています。

有名な例ではUmeeTでも取材に伺ったユーグレナ、上場バイオベンチャーで一番時価総額が大きなペプチドリーム、Googleに買収されたシャフト、日本ロボット大賞を受賞したMujin、Baiduに買収されたpopInなどなど……。

こうした企業一つ一つがすごいのは勿論ですが、それと同時に東大が組織として「大学発ベンチャーをどんどん育てよう」という取り組みをしていることも成果につながっていると言えるでしょう。

 

そうした「東大発ベンチャーを育てる」ことに取り組んでいるVC(ベンチャーキャピタル)が東京大学エッジキャピタル(通称:UTEC(ユーテック))です。

今回はUTECの社長をされている郷治(ごうじ)さんにお話を伺いました。

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UmeeT編集部(以下:編)「こんにちは、お忙しいところありがとうございます。今日はよろしくお願いします!」

郷治さん(以下:GO)「どうぞよろしくお願いします。まあ、働きながらだけど、僕も最近皆さんと同じ学生になったので今日はどうぞ気楽にやりましょう」

編「えっ」

GO「工学系研究科技術経営戦略専攻の博士課程に入ったんですよ」

編「そうなんですか!(社長やりながら博士課程……すごい……)」

 

「そうそう、学生証ももらいましたよ」(郷治さん)

 

<郷治さんプロフィール>

  1. 名前:郷治友孝(ごうじともたか)
  2. 役職:UTEC 代表取締役社長 マネージングパートナー
  3. 略歴:1996年4月 東京大学法学部卒業、通商産業省(現経済産業省)入省。2003年6月 スタンフォード大学経営大学院修士課程修了。2004年4月 退官、UTEC創業参画。2016年9月 東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略専攻博士課程(坂田・森研究室)入学。

元は政治家志望でした

編「郷治さんって、元々法学部ご出身なんですね!お仕事的に工学系だと思っていたのでびっくりです」

GO「そうそう、僕は元々文一でそこから法学部政治コース(第3類)に行ったんですね。

水泳部に入っていたんですが有名なOBに当時官房長官や自民党政調会長をされていた加藤紘一さん(故人)なんかもいらしたので、政治に関心を持っていました。で、加藤先生の議員事務所で働いたりしていましたね」

編「そこから官僚を志望されたんですよね」

GO「実はちょうどその頃に政策担当秘書をいう役職ができて、加藤事務所で内定いただいたので議員秘書もありだなと思っていました。

でも色々な方にお話を伺うと『いきなり秘書になるのはやめた方が良いよ』と言われるんですね。

朝の自民党の勉強会とかにもお邪魔させてもらったんですが、確かに資料作ったり発言したり政策提言しているのは官僚の方が多かった。それで国一(現在の国家公務員総合職試験)を受けることにしました」

編「どの官庁を受けられたんですか?」

GO「志望したのは大蔵省(現・財務省)と通産省(現・経産省)でした。通産省の方がのびのびやれる感があったので通産省に行くことにしました」

大臣にダメ出しした新人通産官僚

編「そこでのお仕事がUTECにつながっていくんでしょうか?」

GO「そうですね、ただそうなったのは偶然でして。1年目にやんちゃしたのが効いていると思います」

編「やんちゃ……」

GO「最初に配属されたのが電子政策課というところだったんです。今で言うとIoT(Internet of Things)をやっているようなところ。

当時は電子メールを導入したばかりだったんですが省内で全然使われていなかった。そこで、実態調査をしようと開封確認付きの調査メールを省内のメールアドレスに送り、大臣を含めて使っていない幹部を割り出して省内に公表したんです。

『一番使っていないのは大臣だ』ということを省内に明らかにしてしまった。確か入って1ヶ月くらいのことだったと思います」

編「確かにやんちゃですね……」

GO「他の部局から上司宛に『なんだこれは』とクレーム電話がかかってくる。

実は上司に相談せずにやってしまっていたので、その後こっぴどく怒られました。これで事務次官への道は絶たれたな……と(笑)」

官僚人生最大の危機を笑い飛ばす郷治さん

 

編「よくクビにならなかったですね(笑)」

GO「懐の深い組織だなと思いました。その後、中小企業庁に異動になったんです」

大仕事:投資事業有限責任組合法

編「異動後のお仕事がUTECとつながってくるのでしょうか?」

GO「まさにそうです。当時思っていたのが『日本にはせっかく良い技術があるのにそこにお金が流れる仕組みが弱い』ということでした。

技術をビジネスにする時には、リスクを取って技術の開発段階に投資することが大事なんですよ。

開発が上手く行ってその後成長してきたビジネスに投資するようなファンドは結構あったんですが、それよりも前の段階の投資はとてもしにくかったんです。

投資家も、そのようなリスクの高い段階から投資するファンドに投資しようとしても、法律的な『無限責任』を負わされるので、動きたくても動けない状況でした」

編「それを何とかする、と」

GO「一回目のチャレンジは上手く行きませんでした。

内閣法制局が、”投資家の『無限責任』をなくそうというなら、政府がしっかり規制せよ”という考えだったんです。

私たちの考えていたような、”政府の規制を受けずに『有限責任』でリスクをとることができる投資を奨励すべき”という主張に対して内閣法制局は、”そんなことしたら無責任になってしまうではないか”と。

今でこそベンチャーキャピタルはリスクを取ってどんどん投資すべきと言われますが、当時はなかなか理解が得られませんでした

ベンチャーキャピタルが多くある今とは違いかなり苦労があったようです……。

編「再チャレンジされたわけですね」

GO「上司と一緒に、1年以上かけて色々な官庁を説得して回りました。

その間、ベンチャーキャピタル最大手の(株)JAFCOに出向して実務を勉強したり、中小企業庁長官のかばん持ちもやったり、大変勉強させていただきました。

JAFCOでは色々なベンチャーキャピタリストや経営者の方とご縁が出来たし、中小企業庁長官について政治家の先生方のところを回ったりしました。

 

通産省にいながらにして政府横断的にいろいろな省庁や、省庁以外の政界やベンチャーキャピタル業界の方々とやり取りして仕事ができたのは大きかったです」

編「省庁横断、あるいは省庁以外も横断ということを大事にされていたんですね」

GO「こういった仕事を最終的に投資事業有限責任組合法(1998年制定)という法律にまとめました。

これは、入省2~3年目でしたが自分の官僚時代で一番力を入れた仕事だったと思います。その後のキャリアのきっかけにもなりました。

省庁横断は法律の条文にもこだわっていて、この中には『通産大臣』という言葉を一切入れていないんですね

提案官庁の権限を増やすことではなく、リスクの高いベンチャーファンドにスムーズに投資できる仕組みやそれにまつわる会計、税制、独占禁止政策の枠組みを新しく作った政策。

通産省の権限や規制を一切出さないので他から見たらヘンだと思われたかもしれません(笑)

でもこの法律は、大蔵省、国税庁、法務省、公正取引委員会といった色々な省庁も絡む、政府をまたがった基盤的な法律だったんです。

だから省庁横断ということを全面に押し出したくて、こだわりました

 

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