【運動会報コラボ記事・最終回】~挑戦するすべての人へ~ 運動会から世界へ 壮大なプロジェクトに挑む、一人の東大生を追う

LINEで送る
Pocket

「最新鋭のヨットは、海上をいかに早く走るかを追究した結果、船体が水面から浮き上がり、ヨットが浮いてるように見えるんです。これは船体と水との抵抗をぎりぎりまで抑えるための工夫の結果なんです。」

そう語るのは、東大ヨット部から世界へと飛び出した、法学部4年の宇佐美翔大さん。運動会運動部を入口としながらも、自分にしかできない選択をし、独自の道を歩んでいく彼の挑戦を語ってもらいました。グローバルを目指す東大生に贈る、もう一つの「グローバル」論、はじまり、はじまり。

 

長きにわたる運動会報コラボの連載もついに終わりを迎えます。フィナーレを飾るのは、東大から世界へ飛び出した宇佐美さんの物語。

挑戦する人を応援したい、そんな想いでインタビューに応じてくださいました。

運動会運動部を入口としながらも、自分にしかできない選択をし、独自の道を歩んでいく彼の挑戦に迫ります。

☞学生証

  1. 名前:宇佐美翔大(うさみ しょうた)さん
  2. 学部:東京大学法学部 4年
  3. 部活:東京大学運動会ヨット部(休部中)
  4. 所属:海神チームジャパン(ヨットレースの日本代表ユースチーム)

 

現在 ~空を飛ぶヨット~

-こんにちは!早速ですがいろいろ聞いていきたいと思います。まず、今なにをしていらっしゃるのか教えていただけますか?

 レッドブルユースアメリカズカップ(Red Bull Youth America’s cup)というヨットレースに挑む、「海神チームジャパン」という団体に所属し、そこの選手をやっています。

 このレース近年日本でも開催されているエアレースなどと同じエクストリームスポーツに分類されるもので、非常に過激で、スリリングなスポーツですね。海を漂い、ゆっくりと進んでいく、いわゆる一般的なヨットのイメージとは全く異なります。

 そしてこの、Red Bull Youth America’s Cupという大会は、19歳~24歳までの若手セーラーのワールドチャンピオンを決める大会で、その後に続くオリンピックなどプロへの登竜門とされています。

 

-いきなりスケールが大きいですね笑 どんなヨットに乗ってるんですか?

 日本にはないので笑、公式の動画しか見せるものないんですけど、こんな感じの船です。普段これとおなじのに乗ってトレーニングしています。

動画はYoutubeTMアメリカズカップ公式チャンネルからお借りしました。

-知ってるヨットと違う… これ、空飛んでません?(笑)

 あ、そうなんです。僕がチームで乗ってるヨットは、海上でのスピードを追求し続けた結果、船体と水の抵抗を減らすための工夫で船体が船から浮き上がり、ヨットが浮いているように見えるんです。

 

-はい( ̄□ ̄;)!!??

浮いてます…(海神チームジャパン オフィシャルFacebookより)

…浮いてるんです笑笑 この状態を私たちは「フォイリング」と呼んでいます。

 

-フォイリング…

ヨットというと、東大の山中寮とかに夏行くと乗せてもらえたりするじゃないですか(※)。そういうイメージしかないんですよね。

※東京大学運動会が所有する山中湖畔の寮、山中寮では、夏期開寮の時期にヨット部員がお客さんをヨットに乗せてくれるのです。

こんな感じです。

あれとはどれくらい違うんですか?乗り方とか。

 普通ヨットは風の力を使って進むので、速度は風よりはもちろん遅い、ということになります。ですがこういう船になると、さっき言ったようにスピードを追求した結果船が浮いているので、水面との抵抗がなく、風が吹けば吹くほど加速していくので、最終的には風の速さを超え、風速の約2.5~3.0倍近い速さになります。

 

-…すごくないすか。

 

迫力満点です!(チーム海神ジャパンオフィシャルHPより)

 それでこの船は風よりも速いので、ちょうど自転車で加速していくのをイメージしてもらうと分かりやすいですが、自分が進めば進むほど常に風が前からバーッてくるんです。

 

  どんな走り方をしても追い風になることがない(笑)

 普通のヨットと違って楽できる場面がない。なのでキツいです。

 常に向かい風の人生を歩まなければいけないんですね。

-…うまいこといいますね。

常に挑戦。(チーム海神ジャパンオフィシャルHPより)

 あとはやはり大きさが違いますね。

 これは全長10m、高さが20mくらいあります。まるでプールが縦になったようなイメージの大きさですね。帆の大きさが人にかかる負荷に比例するとすると、ヨット部で乗っていた時のヨットに比べ、1人当たりの負荷は5~10倍くらいになると思います。

 

-人が小さい…

 

本当に大きいです…(チーム海神ジャパンオフィシャルHPより)

 

過去 ~ヨット部から世界へ~

-どうしてまたこんな道を?

  ヨットは大学に入ってから始めたんですが、ふとしたきっかけで、誰でも出場可能な若い選手のみの大会で、運よくベスト8まで進んだんですね。

 しかもこのレースで使用した船が、先ほどの空飛ぶヨットの小型版で、ここで初めてフォイリングを体感しました。そのときの感動は今でも昨日のことのように覚えています。

 しかもそのとき周りにいたのはユース世代の有名な選手ばかりで、本当に輝いて見えたんです。しかもそうした若手の選手が、現在は日本の代表として世界で戦っているんです。

 自分はヨット部でも練習は頑張っていたっていう自負もあり、彼らと同じように、本気でヨットをやってやろうって思って、思い切って休部して、日本代表のトレーニング拠点がある江の島で一人活動を始めました。

 とはいえ、本気でヨットに向き合おうにも一人ではどうしてよいか全く分かるはずもなく途方に暮れていたところ、ナショナルチームの人たちが「一人でやるくらいなら一緒にやろうよ」って声をかけてくださり、それから一緒に練習させていただくようになったんです。

 一緒に練習するようになってきて約半年、やっとレベルが上がってきたかなと思っていたとき、転機が訪れたんです。

次ページ:宇佐美さんの人生を変えた、大きな転機とは。

LINEで送る
Pocket

ABOUTこの記事をかいた人

東京大学運動会に関わる、幅広い活動を展開しています。 東大生がもっと運動、健康、スポーツに親しんでほしい、そして、各方面で活躍する運動部を、身近なものとして応援してほしい。そんな願いを胸に、日々活動しています。

この記事に感想を送る▼

メールアドレス (必須)

メッセージ