「コーチング」との出会い
五十嵐さん「コーチングの仕事の中で相手と話しやすい関係を作るとか、その人の居場所を作るとか、そういうことをずっとやってきました。やっぱり平和教育のボランティアともつながっている気がします。
チームでどうやってその人を生かしていくかというのは今回の選挙にも役に立ちました。」
Q人と人との関係を築くうえで、人はそれぞれの生き方自体に固有の価値があるとおっしゃっていましたけど、どうすれば世の中の人が自分の人生に価値があると思えるのでしょうか?
五十嵐さん「得意分野を生かしたり、新しいことにチャレンジして昨日できなかったことが今日少しでもできるようになったりすると、自己効力感が高まり、日々が楽しくなると思います。
また、恐れずチャレンジできる環境を作るためには“失敗”に対して寛容であることも必要です。
サッカーは90分間でゴールを目指して全員で何度も何度もシュートを狙いますが、1試合に1、2点しか入らないスポーツで、そういう意味では失敗に対して寛容です。これを小さいころから体験してきたことは自分にとって重要でした。」
Q学校教育の場でもとても大切なことのような気がしますね。
五十嵐さん「はい。そしてこの考え方は子どもよりも大人に対してのほうが必要だったりします。
大人のほうが失敗を許されない雰囲気があるので。
選挙活動の中でも失敗を恐れずどんどん新しいことにチャレンジした結果、今まで見てきた選挙事務所の中で一番成長のスピードのはやい事務所だったとある人に言われました。
選挙ポスターを111個の掲示板に貼るために111人に集まってもらって、(掲示板に各候補者がポスターを貼る場所の番号はくじで決定する)くじ結果が出た瞬間にみんなで同時に貼るというチャレンジをしたんですよ。
楽しみながらみんなで参加できる取り組みをしたかったし、この取り組みを通じて少しでも政治を身近に感じてもらいたかった。」
Q政治家は地域の人たちをつなげているお仕事とも言えますか?
五十嵐さん「そうですね。例えば千代田区のお母さんたちは子どもを預けた後の10~14時は比較的時間に余裕があるんだけど、もともと優秀な人たちが多いし、企業も優秀な人手がほしい。
僕が今実際やっているのは、ここで千代田区の経営者とお母さんをマッチングする。それだけでも双方が幸せになるし新たな可能性が生まれる。
行政とはリソースをつなげていくことかもしれないです。」

Q今後どういう活動をしていきたい?
五十嵐さん「この場所(事務所)を人が出会いつながるような場所にしていきたいですね。
それぞれの人生が豊かになるプラットフォームにしたい。」
Q人生が豊かになるという言葉も五十嵐さんはよくおっしゃってますね。
五十嵐さん「人生が豊かになれば戦争はしないと思うんですよね。
心持ちとしての豊かさです。ゆとりがあると敵意は生まれにくい。」
Q今の時代の人に豊かさはないと思われますか?
「なんとなく余裕がない感じがします。
時間に追われたり企業のなかの「こうすべきだ」の中にいて窮屈な思いをしている人が多い気がします。
自分を“表現”できてるか。言いたいことを言えてるか。シェアしたいことをシェアできるか。応援したい人を応援できてるか。が大事だし、それが豊かであるということの一つの指標だと思います。
ちょっと隣の人に声をかける余裕があればもっと豊かになるかもしれない。」
人生が豊かである→心に余裕がある→隣の人に気を遣える→新しい人と出会う→出会いが人生をますます豊かにする
という好循環が生まれる気がします。
五十嵐さんの中には異色のキャリアを歩んできたバックグラウンドのもと育まれた
「みんなが幸せだともっと世の中はよくなる」という価値観が根底にあり、
それが「人生を豊かにする」「人の居場所を作る」という思いを支えています。

Q周りの人の人生が豊かであると自分の人生も豊かになるのでしょうか?
五十嵐さん「周りが豊かなことは自分自身が豊かなことに直結するから、僕はなるべく周りの人にうまくいっていてほしいと思っています。
僕のコーチングの師匠がある人に聞いたらしいです。
『幸せになるにはどうすればいいんですか?』
そうしたら彼は『幸せな人のそばにいることだ』と答えたらしいです。」
Qコーチングの仕事に没頭された理由はなんでしょう?
五十嵐さん「周りの人々の関係をよくすること、これって世界平和につながる、人々の幸せに貢献できると思ったんです。
コーチングの仕事自体は、人間関係のよさが企業の効率や生産性の向上につながり利益を生みますよという資本主義的考え方ですけど
僕は人間関係がよいことによって一人ひとりが価値を感じているそのこと自体にも価値があると思っている。」
出会いのプラットフォームでは、出会いによって人々が豊かになり、良い人間関係を築き、五十嵐さんの言う世界平和につながるという流れがあるように思います。