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「歯が黒い!!」衝撃の夏から巡り合った不眠不休のミャンマーボランティア生活で得たものとは?

2017.03.29

はじめまして!文科一類1年の由地莉子です。

春休みに私がミャンマーで行った口腔衛生調査とボランティア活動にまつわる珍事件の数々と、睡魔と戦い続けた6日間を経て得たものについて書かせていただきます。

どうぞ最後までお付き合いください!

現代のお歯黒?

え、なんでミャンマー人の口腔衛生?

きっかけは昨年の夏休みにミャンマーを訪れて受けた衝撃、「歯が黒い…!!」

ミャンマー(特に農村部)を歩いていると歯が黒い人が目に付きます。お歯黒?虫歯だったらやばくない?いえいえ、これはミャンマーなど東南アジアで好まれる嗜好品、噛みタバコのせいです。

なぜ歯が黒いのかという疑問からはじまり、ミャンマーでは公衆衛生の基本とも言える歯磨きの習慣がどのくらい定着しているのか調べてみることにしました。

噛みタバコの材料
噛みタバコを食べる男性、唾液が赤くなり、歯に付着すると黒くなる

調査のプラットフォームを提供してくださったのが特定非営利活動法人ジャパンハート。カンボジア、ミャンマー、ラオスで医療活動を展開しています。(http://www.japanheart.org/

ミャンマー第二の都市マンダレーから30分ほどタクシーに揺られると(本当に上下に揺れます笑)ジャパンハートが活動するワッチェ慈善病院に到着。

ミャンマーは世界寄付指数ランキング3年連続1位になるほど寄付文化が根付いている国。この病院もお坊さんによって建てられています。

病院に入ると患者さんとその家族がベッドからあふれてベンチやベランダ、床にゴザを敷いて座っています。その様子はナイチンゲールのいそうな野戦病院さながら。患者さんたちはが「日本人が来た!」という感じで一気に注目、「ミンガラーバー」と笑顔で挨拶すれば嬉しそうに微笑んで挨拶を返してくれます。

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試練の幕開けーWindowsトラップ

 いざ調査を始めようと勇んでミャンマー人の友人に訳してもらったアンケート広げると、ミャンマー人のスタッフさんから衝撃の一言。

「ナニコレ、ビルマゴジャナイヨ、ヨメナイヨ」

 なんと、私はビルマ語の文字化けに気づかなかったのです笑

みなさん、ビルマ語がどんな文字かわかりますか?丸っこい暗号のような文字です。

マックでの文字化けはわかりやすかったのですが、Windowsでの文字化けはなかなかに陰湿で、ビルマ語を全く解さない私には発見不可能だったのです。準備してきたアンケートがお役御免になり、波乱の幕開けです。(ビルマ語にまつわるエピソードはまた後ほど)

右:Windowsで作ったビルマ語のアンケート 
左:文字化けが発覚し、通訳さんに書き直してもらおうと日本語訳を準備した痕跡。重い思いをして運んできた100部のアンケートはナースステーションで裏紙として再利用してもらえているはずです(泣)
マックの分かりやすい親切な文字化け

2日目。通訳さんを連れて患者さんに聞き取り調査。36人に調査して分かったのはほぼ100%の人が1日2回歯磨き粉をつけて歯磨きをしているということ。

噛みタバコのせいで歯が真っ黒なおじさんも1日2回ちゃんと歯磨きしているとのこと。「本当かいなー」と思いながらも、正直定着度50%位くらいを予想していた筆者にとっては、もはや現状に改善の余地がないように思えて行き詰まりました。

何のためにはるばるミャンマーまで来たのか。。。

ミャンマー人の歯磨き習慣ー隠された真相

しかし、実際に歯磨きしているところを見せてもらうと大きな問題を発見!正しい歯磨きの仕方が定着していないのです。

歯の表面ばかりを磨き、歯の噛むところや舌側は磨いていない人がほとんどでした。

3日目以降はミャンマー人の歯科医師さんに協力してもらって作った歯磨きの模範映像を見てもらって回りました。

歯磨きの模範映像を見せているところ
歯磨きの模範映像を見せているところ

一難去ってまた一難。調査が軌道に乗ってホッとする筆者に本当の試練が襲います。

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本当の試練ー「絶対に眠ってはいけない24時」

昼間の調査を終えると、手術のお手伝い。医療関係者でない私は手術機材の洗浄や患者さんの着替えの手伝い、ライト当てなどの仕事をさせていただきました。

人手が足りないので素人でもどんどん手術のお手伝いをさせてもらえます。

ジャパンハートは無償(治療費はもらっておらず、大人だけ実費分を負担してもらう…シーツ、注射針代など)で手術を行っているため口コミで多くの患者さんが詰めかけ、手術ミッション期間中は手術件数は1日27件にも上ります。

27件と聞いてもピンとこないかもしれませんが、この数をこなすために手術は朝9時から始まり翌朝4時ごろまで続きます。これを約1週間続けます。睡魔と疲労でもはや限界が近づいた最終日の夜、手術を眺めながら浮かんだ言葉は「絶対に眠ってはいけない24時」。

辛いだけじゃない!ー人生を変えている実感

これだけを聞くと過酷なボランティアに思えてしまいます。でも頑張れる原動力があります。それは、ジャパンハートの活動が多くの人の人生を変えているという実感です。

調査中に右手が拘縮してしまった11歳の女の子に出会いました。彼女は8か月の時に機織り機の中に落ちて腕に傷を負いました。その時かかった医者が包帯の仕方を間違えたために右手が反り返った状態で拘縮してしまったのです。他の病院では治療費を払えないために手術を受けられず、今回やっとジャパンハートで手術ができることになりました。無事手術は成功しました。

右手のことで学校でからかわれ、学校に行きたがらなくなってしまっていた彼女は終始怯えた様子でしたが、手が治れば少しでも明るくなってくれるのではないかと思います。

 医療を無償で提供するということが、多くの人の人生のチャンスを広げ得ると強く感じました。

そして調査活動を通して多くの患者さんやその家族と触れ合う中で、「私達ミャンマー人のために活動してくれてありがとう。」と感謝されることが何度もありました。

いきなりやってきて歯を磨く様子を見せてくれと頼む筆者にも、患者さんたちが喜んで協力してくれたのは、ジャパンハートのスタッフの皆さんの日々の活動への感謝があったからこそだったのです。ジャパンハートのユニフォームを着て活動させていただけることに誇りと責任を感じました。

ジャパンハートの募金箱

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お坊さんに弟子入りービルマ語との格闘、再び

最後に素敵な出会いと嬉しかったことを紹介します。

2日目、夜の病院を歩いていると日本語で「こんにちは!」と声をかけられました。声の正体は、ザワナさんというお坊さん。英語、フランス語、日本語、韓国語を操ります。軽い気持ちで「ビルマ語を教えてください」といったのが過酷なビルマ語レッスンの始まりでした。1日1時間半、患者さんのベットをお借りして、「カジー、カー、カウェー、カー」という調子で難解なビルマ語を音読し続けます。

さらには平均睡眠時間3時間で限界の近い筆者に対して、

“I will give you homework, you should practice at home”

と言い放ち、ビルマ語書き取り練習帳を作ってくれるのです。

眠いやら、難しいやらで辛かったですが、暗号だったビルマ語が少しわかるようになりました。

最終日のレッスン風景
左:ビルマ語の宿題 右:ザワナさんがくれたビルマ語のテキスト

モテ期到来?!

嬉しかったことは、ミャンマー人にモテたことです笑

患者さんや家族は、二日間シャワーを浴びず化粧もままならない筆者でも、「ビューティフォー」といって写真を撮っていってくれるのです。通訳によると、筆者の顔はミャンマー人好みのようです。「えー、それなら、私、ミャンマーに住んだ方がいいかなー」というと、通訳さんは「そうですよー、リッコさん、ミャンマーに住んでミャンマー人のイケメンゲットですよ!!」と言ってくれました。(でもやっぱり日本人がいいので永住はやめておく予定です)

通訳さんと

ハードだったけれど、ミャンマー人の口腔衛生の改善にほんの少しですが貢献でき、お坊さんにビルマ語を教わり、ミャンマー人にモテて、多くの人の人生をより良く変えるお手伝いができているという充実感を持って活動できた、盛りだくさんの6日間でした!

ジャパンハートのタフで明るいスタッフの皆さんと @手術控え室

ジャパンハート・ワッチェ慈善病院では、口コミで患者さんは増える一方で、病院の施設や医療器具、人手は不足しています。興味を持ってくださった方はぜひボランティアや募金という形でご支援しただければ幸いです!

(ジャパンハート公式ホームページ:http://www.japanheart.org/)

特に医学部の方にとっては患者さんと交流したり、手術を間近に見ることができる貴重な経験になると思います! 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

この記事を書いた人
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由地莉子
海外を見て日本に関心が戻ってきた5年生です。
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