【東大生×祭り】祭りって、なに?【率直なギモンを東大教授にぶつけてみた!!】

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近代化×祭り

 

ー お祭りは、近代化でどのように変わっていくと思いますか?

 

現代では、民衆のエネルギーを管理するという祭りが果たしていた都市経営的な意味は薄くなり、代わって観光の意味が強くなってきたと思います。

観光化に成功している祭りとして、東京なら浅草の三社祭があります。山王祭と神田祭に比べれば格の低い祭りでした。浅草は江戸という都市の周縁部であり、その意味でも格下です。しかし、近年、「江戸らしさ」は都心ではなく浅草に見出されてきた江戸を感じさせるものとして三社祭がメジャーになったわけです。

神田祭は参加者が神輿担ぐことに終始しある意味、自己満足的なものに収束してしまったことから、観光という意味では劣勢であるかもしれないですね。

しかし、それは自立し自己完結し、観光客に頼る必要がないということでもあるのですね。

神田祭の未来を考える時、秋葉原との関係をいかに築いていくかという重要な課題があります。ご存じのとおり、秋葉原も日々変化し続ける現在進行形の町ですね。そこが氏子の町なのです。

秋葉原(進藤)

文化資源学研究室の神田祭参加の様子。秋葉原にて撮影。

 

神田明神はアニメやゲームとして有名な「ラブライブ!」の聖地でもあり、キャラクターグッズの販売をすでに積極的に行っています。昨年9月に、マンガ「こち亀」の作者秋本治さんが連載終了宣言を行ったのも神田明神においてでした。今年の神田祭には「こち亀」の練り物も出る予定です。

サブカルチャーとつながることで時代の流行を取り入れるという意味では江戸時代もそうだったのですが、観光に繋がって行く可能性を秘めています

まあ神田明神は東京の観光地になろうとしてはいないですけどね。笑

 

秋葉原

2015年の祭礼ではラブライブ!ともコラボした

 

ー 祭りを見に来たりする人たちはドンドン変わっていくかもしれないですね。一方で、祭りに参加する人たち自体は変わっていくと思いますか?

 

戦後には、女神輿が出ました。女が男と対等に祭りに関わってくるようになったのです。

また、氏子の地域に昔から住んでいる人たちは減って行くだろうけど、秋葉原の求心力で、氏子に取って代わり、秋葉原に集まる人たちが新たな担い手になることも十分考えられます。

 

ー 五月祭や駒場祭のような学生祭についてはどう思っていますか?

 

クラスやサークルの延長線で祭りに関わっているということから、案外、学生は惰性でやっているかもしれないですね。神田祭の町神輿の現状に似ているかもしれません。惰性は言い過ぎかもしれない。むしろ、自己満足でしょうか。楽しい場であることは間違いないでしょう。

わたしの関心に引きつけますと、戦後間もないころの五月祭は戦争が大きなテーマでした。学徒出陣により戦場で倒れた学生の手記を集めた『きけ わだつみのこえ』という本が出ます。岩波文庫で読むことができます。ベストセラーになったため、その収益で、戦死者を悼む記念碑を建てようという計画が立ち上がりました。制作を依頼された彫刻家本郷新は、それを若い男性裸体像で表現したのです。東大構内に立てる計画は、大学当局によって認められませんでした。そこで、五月祭に合わせて、一時的に銅像を建てた、ということがありました。当時の文化祭は、学生の意思を示すような真面目な機会であったかもしれないですね。たぶん、模擬店はなかったんじゃないでしょうか。

もちろん、現在も真面目なことはやっているのでしょうけど。それにしても、今は飲み食いが重視されすぎのような気がしますね(笑)。

 

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ー 観光目的などで祭りの持つ意味合いは変わっていくと思いますか?

 

近年、祭りという言葉が注目され宗教を離れ、いろいろな場で積極的に使われている感じがします。

たとえば美術の世界では、大地の芸術祭や、瀬戸内国際美術祭のような例が挙げられます。北川フラムさんなどを中心として、祭りという言葉を再発見し、現代の祭りを新たに作り出していったように思います。

地域振興や観光客誘致という意味もあるのですが、それ以上に、美術館中心だった美術の閉塞状況の打破という意義が大きい。美術館の外へ出ようという動きだったはずです。

これは、わたしの最初の話に戻るわけですが、その場かぎりの祭りが持つ力に魅せられたからなのです。すると、学園祭や文化祭も、それが日常ではなく非日常、恒久的ではなく一過性であることの意味を積極的に探ってみてもよいかもしれません。つまり、そうであるがゆえにこそ実現できるものの追求といったらよいでしょうか。

※北川フラム

東京芸術大学美術学部出身。アートディレクターとして「大地の美術祭」、「瀬戸内国際美術祭」など、様々な美術展や美術祭のプロデュースを行う。

(終)

 

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

医学部医学科6年。2016年度阿波踊り、東大連連長。

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