【東大生×祭り】祭りって、なに?【率直なギモンを東大教授にぶつけてみた!!】

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都市×祭り

 

ー 東京のような都市が祭りを行う意義ってなんですか?

 2011年の神田祭は、3月11日に起こった震災のために中止になってしまいました。しかし、その後のインタビューなどでも答えていますが、祭り本来の意味を考えると、本当は開催した方が良かったと思っています。

とはいうのも、祭りは災害に立ち向かうという意味を持っているからです。秋祭りが、収穫を祝うものであるのに対し、夏祭りは、京都の祇園祭のように、夏を迎えて衛生状態が悪くなって流行る疫病を封じるという意味合いがすごく強いのです。

そもそも、都市はなぜ祭りを必要とするのでしょう。祭りとは、生活の平穏を保証してくれるものであり、平穏な生活をもたらすものであったはずです。

実際に、東日本大震災のあとには祭りの復活が強く求められました。それぞれの土地に伝わる芸能は、祭りによって継承されることが多い。祭りが地域のコミュニティ再生の核となりうることは実際に証明されていることでもあるのです。

災害時に、形式的、表面的な自粛を行うのではなく、祭り本来の意義を真摯に捉えて、開催すべきだったと今でも思っています。

 

ー 昔、お祭りはどのようなものだったか、というようなことってわかるんですかね?それこそ文化財として保護したりとかして価値を固定するという風にしたら、伝統の保護という面ではいいような気がするんですが。。

 

祭礼を文化財として保護して、伝統を守ろう、という動きは確かにあります。無形文化財、無形民俗文化財に指定して、完成された「作品」として保護して行く考え方です。これは先ほど述べたような、美術館で「作品」を保護するという考えにも似て、現時点での判断による価値が固定されかねないと思っています。また、変更や変化を許さないということになりがちです。最近、山車を引く祭り33件が揃ってユネスコの無形文化遺産に登録されましたが、神田祭はそこから外れています。

なぜなら、伝統に対する考え方が他の神社とは大きく異なるからだと思います。

神田祭においては、古いものを何が何でも守るという考え方は希薄で変化に対してとても柔軟で。そのため、この神社は文化財認定をほとんど受けていないのです。わずかに、関東大震災のあとに鉄筋コンクリート造で再建された社殿が登録有形文化財になっているぐらいです。

ふたり象使い2009

2009年神田祭にて附祭で木下先生はゾウ使いを演じている

また、すでにお話したとおり、この神社は江戸・東京の経済に深く根を下ろしてきました。現代では、千代田区から中央区が氏子の地域であり、ここには日本の経済を支える企業がたくさんあります。そこで働く人たちの信仰が今なお生きているという意味では、大都市といえども、ローカルな神社だと言えます。地域社会とつながっているのです。2010年に刊行した『鬼がゆく−江戸の華 神田祭』(平凡社)ではあえて、境内がサラリーマンであふれかえる初詣の光景をあえて紹介しました。

このことからもわかるように、神田明神は現在進行形の神社なのです。

たとえば伊勢神宮や明治神宮のようなかつての国家神道と深くつながった神社とは対極でしょう。町人が中心の神社であったため、徳川家康が江戸に幕府を構えるはるか以前から存在していたという意味で土着的であり、町人の信仰によって支えられたという意味で世俗的です。この神社を幕府は大切にし、江戸の発展とともにあったと言えるでしょう。

 

ー 実際にお祭りを再現することがどのような意味を持つのですか?

 

祭りの失われた姿を再現する側として関わることは、身をもって体験するという意味で有意義ですが、町神輿を担ぐ町会のひとびとや、沿道の見物客には、まだまだこちらが考えているほどの力を与えられていないと思います。

町の人たちにとって、神輿を担ぐことが一年で最大の喜びであることは変わっていないし、今後も変わらないでしょう。おそらく、わたしたちの附祭を目にしたところで、変な行列がくっついているくらいに思うだけでしょう。しかし、神社が以前の祭りを復元したいとする以上、この活動は続いて行くだろうと思っています。

 

花咲か宮入

文化資源学研究室の神田祭参加の様子

東京の真ん中で行われている神田祭でさえ、わずか100年前は全く違った姿であったということを認識し、社会と文化がいかに移ろいやすいものであることを知るだけでも意義のあることなのです。

もちろん、復元と称してはいるものの、江戸時代の祭りに戻ることはありません。

それはわたしたちが江戸時代人になれないことと同じです。むしろ、過去に対する理解、一部は共感の問題ですね。

乙姫&浦島

附祭にて、玉手箱を開けた後の浦島太郎に扮した木下先生(左)

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ABOUTこの記事をかいた人

医学部医学科6年。2016年度阿波踊り、東大連連長。

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