東大生はバラモンの夢をみるか?【インド哲学の教授に実態をきく】

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東京大学文学部思想学科インド哲学専修、通称”イン哲”

このイン哲について、読者の方々は一体どんなイメージを持っているでしょうか。

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「東大 イン哲」でググるとこんな感じ

「東大の魔境」

「就職できない」

「卒業するとバラモンになれるらしい……」

こんな噂を耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

しかしその実態は謎に包まれたまま。今回UmeeT編集部はそんなイン哲の実態に迫るべく、教授に取材を依頼しました。

 

クローズアップUmeeT・イン哲の実態に迫る

 

今回編集部がお話を伺ったのは、文学部思想学科インド哲学仏教研究室の蓑輪顕量教授。

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笑顔からにじみ出る仏のようなオーラ

学生(?)証

  1. 氏名:蓑輪 顕量(みのわ けんりょう)教授
  2. 所属:東京大学文学部思想学科インド哲学仏教学研究室
  3. 略歴:東大大学院を1989年に修了。愛知学院大学の准教授、教授を経て2010年より東大教授。
  4. 好きな食べ物:和食(カレーも好きだそうです)

 

ー蓑輪教授、本日はよろしくお願いします。早速ですが、教授はイン哲について流れている噂をご存知ですか?

いえ。あまり良くない噂が流れているということは聞いたことありますが、具体的にどんな噂があるかは把握していません。どんな噂が流れているんですか?

 

(取材陣、教授にNAVERまとめを見せる)

 

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「……」

 

ー世間の誤解を解くためにも、噂の真偽を教えていただきたいです。教授、よろしくお願いいたします。

 

噂の検証①:インテツに入ると卒業できない

 

ーイン哲に進学した人は、約半数が蒸発するという噂があります。実際の状況はどのようなものなのでしょうか。

そんなことはないですよ。もともとイン哲の卒業生は、優秀な方もいますので、外資系の企業だとか、一流企業に就職される方は多いです。

たまたま卒業できない方もいますが、殆ど0に近く、その原因も病気だったり金銭的な理由だったりなので、他の学科と変わりません。

 

ー蒸発というのは悪質なデマだったわけですね……。イン哲卒業生の進路として最も多いのはどちらなんでしょうか。

やっぱり大学院進学が一番多いですね。最近になって一般企業の就職が増えてきました。イン哲は昔から、大学院に進学して研究者とか大学の先生になる方が多かったので。

 

結論①:イン哲進学者は殆どがきちんと卒業する。大学院に進学する割合は高いが、一流企業に就職する人もいる。

 

 

噂の検証②:インテツは魔境

 

ーイン哲にやってくる学生はどんな方がいるのでしょうか。

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哲学者(イメージ)

もともとイン哲は明治時代、日本の文化に多大な影響を与えた仏教をきちんと研究する機関として生まれ、漢文で書かれた仏教文献を読むところから始まったんです。

仏典の研究には漢文やサンスクリット語、チベット語などいろんな言葉が必要なので、昔から語学が大変な学科だといわれてきました。だから卒業生は語学の先生になる人も結構多いんですね。

イン哲には長いヒゲを生やした世捨て人みたいな人が多いと思われているかもしれないけれど、実際には世界的研究者を多く輩出しているので、それを目指している学生さんが多い。

日本人は漢文が読めるので西洋の研究者に対して優位に戦えますから、イン哲は長らく世界の仏教研究の中でも頂点に居続けているんですね。

そういう点からも留学生が多いです。アメリカやヨーロッパもいましたし、まあアジアが多いですね。

 

ー仙人みたいな人もたまにいますか?

それはね、いますね。

非常に個性豊かな方がいらっしゃって。でもそういう人たちもみんな温かく迎えるってところがやっぱりイン哲なのかなと。

テンションハイな人とか、自分の殻にこもっちゃってる人とか。そういう人たちはイン哲に限らずその学部にも一定数いると思うんですけれど、そういう人たちが次の時代を生み出していく次の能力を持っているのかもしれませんし、イン哲では『ちょっと変だな』くらいで温かく迎えています。

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「ちょっと変だな」くらいで

 

結論②:イン哲の学生は、世界的研究者を目指す学生や、留学生が多い。個性豊かな人々もたまにいるが、「ちょっと変だな」くらいで基本温かく迎えてもらえる。

 

噂の検証③:イン哲に進学する学生の半分が僧侶

 

ーイン哲では学生の半分が寺の息子などの僧侶層が占めるという噂があるのですが、本当ですか?

それはですねー。

ただ、他の学科だとお坊さんが学生ってことは少ないと思いますが、イン哲は毎年ほぼ1人は確実にいます。もともと母数が少ない(例年一桁台)こともあって、確かに僧侶の割合は高いといえますね。

 

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蓑輪教授自身も日蓮宗のお坊さんです。

ーこれは本当といっても差し支えないような……?

『イン哲は宗教界のエリートを養成する』という噂についてはいかがでしょう。

東大の使命っていうのは、一番が研究者の養成で、その次が高度な専門職者の育成なんですね。

宗教者はある意味で高度専門職者だといえますが、彼らは自分たちがやっていることを説明できなきゃいけないですし、宗教の現場で必要なものも身につけなくちゃいけない。自分で問題を見つけて解決していく能力が必要で、それらは演習を通じて少しずつ身についていくものです。

こういうのができようになると、お寺さんに戻った時に、宗教界のエリートになっている人たちも多くおられます。

現在いろんな宗派が現代の問題にアプローチするための研究所を持っているのですが、そこの責任者になっている人が何人かいますね。

 

結論③:イン哲にはほぼ毎年僧侶が進学するが、半数には満たない。イン哲の卒業生が宗教界のエリートになるというのは、割と本当。

 

噂の検証④:イン哲に入るとバラモンになれる

 

ーイン哲に進学するとバラモン(注:インドのカースト制度に置いて最上級である司祭者階級)になれるという噂がありますが……。

これ実は、噂の一人歩きなんですよ。駒場で学部の説明会をした際に、ある学生さんが『イン哲に入ればバラモンになれるんですか』ってトンデモ質問をして、これが最初なんです。

で、その答えなんですけど、普通に考えたらそれは無理なんですよ。生まれによってバラモンっていうのは決まっていますから。ですからその意味では、イン哲に来たからってバラモンにはなれません。

ところがね、生まれによってバラモンにはなれなくても、バラモンとして扱ってもらうことはできます。

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ーまじですか!?

 

次ページ:バラモンになる方法を教えてもらいました。

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ABOUTこの記事をかいた人

アリサ

実質時給692円で働いていました。お友達が欲しいです。

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