地方創生は、誰のものか。~「地方嫌い」な東大生が見た、地方という現実~(完結編)

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3:僕らは、生ぬるい

分からない。

問題点は、どこかの立場を優遇すれば、どこかに負担が生じること。

あちらを立てれば、こちらが立たぬ。

あちらを立てれば、こちらが立たぬ。

例えば健診で各居住区に出張すれば健診率は上がり行政と市民は満足だけれども、お医者さんの負担がものすごい。不可。

逆に強制的にくる制度をつくると、確かに行政は嬉しいが、市民とお医者さんは大ダメージ。不可。

 

不可。不可。不可・・・・・・。

 

 どの案も、てんでダメ。それぞれの正義の対立を解消するどころか、表面的な問題点から抜け出せない

 だからこそプロモーションの外部委託や、ハガキにQRコードを載せるといった小手先の案しか出てこない。加えてインタビューした対象に共感しすぎて、あたかも自分がその立場にいるかのような感情になってしまい、冷静になれない。「会議は踊る、されど進まず」とは利害の対立により遅々として進まなかったウィーン会議を揶揄した言葉ですが、僕たちは踊る余裕すらなく、消耗していきました。

ああもう、全然進まない・・・。

あぁもう、全然進まない・・・。

 ICT課を中心とした市の職員の方からフィードバックをもらうチャンスがあり、プレゼンしたものの撃沈。

「結局、お知らせを見ない人はどれだけデザインを凝っても見ない。」

「来ないひとの本当の原因は何か、を考えてほしいんだよね。」

「健康づくり課と同じ目線でしかない。何のために君たちを呼んだかわかってる?」

健康づくり課が気づかなかったことを、教えてほしいんだよ。」

 僕らは、生ぬるい。このままでは塩尻に来た意味がない、そう痛感しました。

 

4:暗いトンネルを抜けて 

 意気消沈するチームメンバーと、それでも刻々と迫るタイムリミット。

だいたいこの時間から議論が白熱しました。

だいたいこの時間から議論が白熱しました。

 これ以上机の上で考えるより、再び実際の当事者の声を聴こうと街頭で突撃インタビューすることに。対象となる40-50代の方は日常的に忙しいということで、配偶者やさらに上の方など、対象を広げて声をかけてみました。とりわけ、健診に行くか・行かないかの「決め手」となった要因を中心にインタビューすることに。スーパーにいきおばちゃんに話かけたり、移動中のタクシーの運転手さんに声をかけたりとかれこれ20人近くに追加取材を決行。

 そしてやってきたメンバーで集まる最後の夜。翌日は市長プレゼン、という緊張の中、それぞれが持ち帰った話をまとめていると、ふとあることに気が付きました。

 

 「あれ、奥さんや親から説得されると、健診に行く人が多いぞ・・・?」

 

 「誰から勧められたか」という観点でいけそうだ・・・!と思ったのもつかの間。医者や市職員から勧められている場合、結局受診した人もしなかった人もいたのです。

 ああ、また違ったか・・・。そういう空気に覆われ始めたとき、ふと、一人がつぶやいた。

「ようするにさ、声をかける側【他人】だと思われているんじゃないの?」

 

 この一言で、空気が変わった。

その瞬間、時が止まったように感じた。

その瞬間、時が止まったように感じました。

 

 そうか。今まで「誰から言われたか」という客観的な事実を注視していたからばらつきが出たんだ。「声をかけられた人が、かけた人をどう思うか」という主観的な印象に論点をズラしてみると、驚くほどすっきりした。

 これがイシューだ。真の問題点だ。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

場をつくることを専門に。 workshop design や空間設計などを用いて、TEDxなどのイベントや国際フォーラムを手掛けてきました。 「ファースト・ペンギンズ」という、分野を超えた天才たちの楽園をデザインし様々なものをジャックしている最中です。

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