東大総合図書館が閉館する? いま何が起きていて、何ができるのか。「閉館に反対する学生の会」代表が解説!

dsc_0246-1400x788
LINEで送る
Pocket

はじめに

はじめましての方ははじめまして、そうでない方はこんにちは。文学部三年の木村と申します。
突然ですが、東大の本郷キャンパスにある「総合図書館」が「閉館」するかもしれない、というニュースはもうお聞きになりましたでしょうか?

地下に「別館」を造っている総合図書館前広場の様子

地下に「別館」を造っている総合図書館前広場の様子

今回はこの問題について、基本的なところから今後の展望まで、ざっくりとお話ししたいと思います!

一番最後には、誰にでもできてお勧めな声の上げ方をご紹介します。

 

今、総合図書館で何が起こっているんですか?

本郷キャンパスに行くと、キャンパス中央の建物群が工事している、というのが嫌でも目に入ってきます。この西側部分が東大の中心的な図書館である「総合図書館」です。この工事計画に変更があったため、今回の「閉館」問題が起こっています。

工事計画の変更

銀杏並木を含む幅広いエリアが工事区域になっています

銀杏並木を含む幅広いエリアが工事区域になっています

本来、総合図書館の工事はいくつかの段階に分けられ進められる予定でした。すでにいくつかの段階は終了しているか、あるいは現在継続中であり、例えば今で言うと「国際資料室」や「参考室」2階の資料が利用できなくなっています。

ところが、10月に国会で可決された「第二次補正予算」で工事予算が付いたため、工事計画の一部が前倒しになりました。それでもすべてのエリアを同時に工事する、ということにはなりませんが、工事に伴う振動・騒音であるとか、空調や給水の確保などの都合により、「平成29年度1年間は、本館の施設としての利用が事実上困難であると判断せざるを得」ない、という、事実上の「閉館」予告が出されることとなりました(11月22日の公式発表第一報より。なお、11月の「図書行政商議会」という会議の資料では、「ほぼ閉館状態」という表現が出てきます)。

そして、書庫資料についても年半ばから利用制限がかけられるということが告知されていました。

今回の問題は大きく「図書館の機能」そして「大学運営における学生の立ち位置」という二つのトピックに分けられます。

何が問題か① 図書館の機能

総合図書館、聳え立つ入口

総合図書館、聳え立つ入口

皆さんは図書館をどのように使っているでしょうか? 本を読む人、勉強をする人。本を読む場合も、その場で読む人、借りて読む人、コピーして読む人と、色々な場合があるでしょう。

総合図書館の蔵書

東大には実は35の図書館があり、合計すると950万冊以上の蔵書を持っているのですが、総合図書館にはそのうち最も多い136万冊の蔵書があります(学部や研究所にまたがるこの図書館を合わせて「附属図書館」、Library Systemと呼んでいます)。ただし、その一部はもう学内外への移転が始まっていて、今残っているのは開架16万冊、閉架70万冊の合わせて86万冊となっていますが、このうちのどれだけに利用制限がかかるのか、ということが焦点になっています。

閉架(書庫)資料については、その重要性は分かりやすいかもしれません。閉架にあるのは「読まれなくなった本」だけではありません。戦前からの莫大な蔵書の蓄積が、総合図書館の書庫にはあります。日本で一番多くの蔵書を持つ図書館は永田町にある国立国会図書館ですが、国会図書館が全国の出版物を網羅的に集める「納本制度」を始めたのは戦後のこと。それより前の本は統一的に集められていたわけではないので、東大にしかない、という資料も当然存在します(ちなみに、東大附属図書館全体を合わせた950万冊以上という数字は、全国でも国会図書館に次ぐ蔵書数となります)。

むしろ開架の方が大事?

それでは、開架の資料はどうでしょうか? あるいは閉架は閉架でも雑誌資料はどうでしょうか? これらは他にも所蔵しているところがあるものが多いですが、利用制限がかかっても大丈夫なのでしょうか?

人によっては、むしろこのような開架資料の方が総合図書館の強みである、と主張します。図書館の特徴は蔵書が分類され並んでいること。書架を見ることはその学問を俯瞰することと同じです。最近つとに「学際性」が重視されますが、そのための学問への入り口がたくさんある、とも言うことができます。

蔵書が並べられている、ということは、書架の本を簡単に手に取って眺めることができる、ということともつながっています。目についた本を気軽に手に取ってみる、という行為は「ブラウジング」とも呼ばれます。先ほど述べた「入り口」に接するためには、この気軽さが何よりも大事です。また、偶発的な情報の発見も侮ることができません。

30日には「完全な閉館ではない」といったようなことを述べる公式の第二報が出ていますが、初めから問題は、閉館が完全なものであるかどうか、ということではありません。あくまでも、ここまで述べてきたような図書館の機能が果たしてどこまで保たれるか、ということなのです。

何が問題か② 大学運営における学生の立ち位置

もう一つ、総合図書館の問題に関しては外すことのできないトピックがあります。大学運営において学生の意見がどのように取り入れられるか、ということです。

そもそも今回の問題が明るみになったのは、11月18日、ある学生が知り合いの教員からのメール文面をTwitterに公開したことがきっかけでした。ご覧になった方も多いかと思います。

22日の第一報も、それによって急遽出されたものであると考えるのが自然でしょう。

18日には「図書行政商議会」という会議の11月分が開催されており、メールはその結果を受けてのものでした。

図書行政商議会について端的に述べるならば、学部や研究所といった各部局において図書関係の責任を持っている教員が一堂に会し、図書館に関する重要事項を話し合う、というものになります。各部局に図書館があるため、それを横断するものとしてこのような会議が持たれています。

最初に説明したように、10月に先述した補正予算が採決されたことで今回の事態が起こったわけですが、18日の会議の時点ですでに、閉館ありきで話が進んでいたようです。

その後22日、25日、30日といくつかの公式発表がありましたが、現在に至るまで学生はおろか、ほとんどの教員(つまり、図書行政商議会のメンバーではない教員ということになりますね)にすら事前事後の情報開示がなされていない状況です。

25日にコメントフォームが開設されたとはいえ、そもそも情報が出ていないのでは意見集約にも限界があります。学生や教員といった図書館利用者の意見が反映される余地はあるのでしょうか。コメントフォーム以上の交渉の余地は開かれていないのでしょうか。

これら①②の問題については「note」にも拙文を投稿しているので、ご興味がある方はご一読ください。

「閉館に反対する学生の会」とはどんな団体ですか?

さて、名乗り遅れましたが、木村は現在「閉館に反対する学生の会」という有志団体で代表を務めています。もしかしたら名前を聞いたことがある人もいるかもしれません。

「閉館に反対する学生の会」のロゴ

「閉館に反対する学生の会」のロゴ

「学生の会」のこれまでの活動

「学生の会」は簡単に言うと、ここまで書いてきたような情報の整理と発信を行い、大学当局や図書館に対して交渉を呼び掛けていこう、という団体です。第一報が出た22日の深夜、前代表のYさんがTwitterアカウントを作成したことでその活動が始まりました。

木村は一学生として、卒業論文やレポートの執筆の上で非常に困る、ということや、もともと図書館に興味があり、ジュニアTAや新図書館ACSのメンバーとして図書館に関わってきた人間としてこの事態を見て、多くの人が困るのではないか、と考えたことから、運動への参加を決めました。Yさんには実名を出しにくい事情があったため、共同代表となることを請われ、引き受けることとしました。

「学生の会」は、ある教員の方から提供された図書館の内部資料も含む情報の発信、図書行政商議会への情報公開の呼びかけ、メディアへの情報提供などを主に行ってきました。

そして、25日から始めたのがオンライン署名活動です。

ここでは、現在までで学内外合わせて2000筆を超えるご署名をいただきました。

また、28日には各学部の教員(のうち当時メールアドレスを把握できた)方々に向けて公開署名の呼びかけを行いました。

こちらに関しても、13名の先生方からご署名をいただきました。

両署名は、先日13日、大学本部・総長・総合図書館宛に無事提出されました。

「学生の会」、もめてませんでしたか?

ところで「学生の会」と言えば、11月末ごろ何かもめていなかったか、大丈夫なのか、そう思われる方もいらっしゃるかと思います。その節は大変お騒がせいたしました。

マネジメントの不備により、一度分裂状態に陥ってしまいましたが、すでに署名を集めていたことに対する道義的な責任を重んじ、事態を収拾して今に至っています。ご安心ください(詳しい事情は「学生の会」ブログの方で述べています)。

これからの図書館問題の行方

さて、少し言い過ぎかもしれませんが、「学生の会」はまだ何もなしえていません。

騒動を収拾し、署名を提出したとはいえ、あくまでも署名は署名、運動の目的そのものではありません。少なくとも「学生の会」の名において果たさねばならない責任が一つ回収されたというだけで、総合図書館問題はこれからが山場です

公式発表は11月30日以降途絶えています。説明会の開催要求も出してきましたが、どうやら1月の科所長会議や図書行政商議会で色々なことが決まるまでは説明がなされないのではないか、という情勢です。

12月20日には東京大学新聞が「閉館、工事開始当初から想定」という記事を出しましたが、以下のリンク先で指摘しているように、実際のところ大学当局は今までと同じことしか言っていません。

会としてできることは、ひとえに情報の整理発信と呼びかけを続けていくことです。断片的に出ている情報を整理し、例えば質問状を作る、と言ったような形でまとめ上げていく必要があります。

最後に、皆さんにお願いしたいこと、あるいはお勧めしたいこと、と言ってもよいでしょうか。これが一つだけあります!

それは、総合図書館公式の「コメントフォーム」に投稿を行うことです。

「あくまでも署名は署名」と申し上げましたが、図書館にとっては、署名(につけられるコメント)によって、利用者の生の声が見えるようになった、ということの効果は少なからずあったようです。

このような「声」をダイレクトに伝える手段がまさに公式のコメントフォームです。

個人としてどう困るのか、何を求めるのか、それだけでいいのです。

求めることと今実現されていること、その差はまだまだ大きいですが、ここからが正念場です。一人ひとりが声を上げていくことが、何よりも大切です!

 

LINEで送る
Pocket

dsc_0246-1400x788

ABOUTこの記事をかいた人

東京大学総合図書館本館の実質的な閉館に反対し、段階的な改修や、有効な代替措置等の実施を目指し行動している団体です。現在の代表は文学部3年の木村悠之介です。

この記事に感想を送る▼

メールアドレス (必須)

メッセージ