取材のきっかけ
春風亭昇吉さん簡略プロフィール

日本タレント名鑑より
- 地元の岡山大学を経て、東京に行きたいという思いから東大へ入学
- 東大入学後、落語研究会にて落語を始める
- 三年連続で全日本学生落語選手権・策伝大賞の決勝に出場し、三年生にて優勝を飾る
- 四年生の際には、落語を通したボランティア活動やその功績を評価され、第一回総長大賞を受賞
- 東大経済学部を卒業後すぐに春風亭昇吉師匠に弟子入りし、現在も落語家として活動中
- 東大出身初の落語家
- 2012年から2014年にかけて、3年連続でNHK新人演芸大賞でファイナリスト

取材前に独演会に招待していただきました!
昇吉さんにとっての落語
東大卒業後、就職には不向きであると感じた昇吉さんは落語家になることを決意されました。(詳細は著書に委ねます)
落語家になられてからも、NHK新人演芸大賞の他、若手演芸選手権優勝や北とぴあ若手落語家競演界北とぴあ大賞など多くの賞を取り、活躍されています。
昇吉さんにとって落語とはなんなのか。
落語とは一体どのようなものなのか。
今回は知られざる落語の世界について聞いてみたいと思います。

落語をする昇吉さん
落語家ってどんな人たち?
僕「落語家にはどういう方が多いのでしょうか?」
昇「いい人が多いですね」
僕「いい人というと?」
昇「たとえば昔ネタ帳にお茶をこぼしてしまったことがあって、先輩に謝ってたんですけど、師匠が見に来たときには一緒に謝ってくれました。そういうのは脈々と受け継がれていくんですよね」
いい先輩を見て、いい後輩が育つというのは素晴らしい社会です。
僕「落語の稽古はお茶出しに始まり、師匠方へのお手伝いが多いと本で読みましたが、その稽古を通して人が良くなっていくのですか?」
昇「稽古は中が円滑に回るようにするためですが、気配りを学んで、それをお客さんに対しても活かすことが出来ます」
僕「なるほど」
昇「以前、名人のお墓の戒名に無舌というのがありました。これは何も語らないということですが、落語家の中には出てくるだけで笑いが取れる人や、落語の最中に居眠りして笑いを取る人がいる。これは全部人間が面白いんです。
『芸は人なり』といいますが、意地悪な人、お金儲けが目当ての人がするとどうしてもそれが滲み出て伝わってしまいます。だからこそまずは自分という人間を磨く必要があります」
芸は人なり。深い言葉です。同じ言葉でも誰がどのように言うかでまったく意味が異なってくるというのは非言語の世界の興味深いところです。落語をするために、自分を磨くというのは遠回りなようで一番の近道なのでしょう。

僕「落語家というと、やはり普段から話好きの方が多いのですか?」
昇「無口な人のほうが多いです」
僕「それは意外です」
昇「お喋り嫌いな人のほうが面白いんですよ。教室でペラペラ話してるやつより、黙ってるやつのほうが話してみたら面白いじゃないですか」
寡黙な人が裏で考えていることを聞くと面白いことがあったりします。ギャップなんですかね、これは…
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