タワシと人の赤ちゃんから「恋愛の本質」を考える。東大生が「ありえない未来」を発想する「制作展」

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「スペキュラティブデザイン」

「メディアアート」

といった言葉を耳にしたことはありますか?

この言葉にピンときた方に、いや、むしろ「聞いたことない全くの門外漢だ!」という人にこそオススメしたい企画が間近に迫っているのです。

「東京大学制作展」

テーマ設定、展示物制作、運営などが全て学生の手により行われるメディアアートを中心とした展示会であり、東大の情報系を専攻する学生や東京藝術大学の生徒らが参加し作品を展示している。過去には、「現代の魔法使い」と称される筑波大学助教・メディアアーティスト落合陽一氏も作品を出展しており、18年目となる今回は「FAKE FUTURE」をテーマとして11/17(木)~11/21(月)の五日間開催される。(公式HPより、執筆者編集)

「FAKE FUTURE」というテーマの意味、そして制作展への想いを、本制作展の監督を務める城さんに伺いました。

👉学生証

  1. お名前:城啓介さん
  2. 所属:東京大学大学院学際情報学府 暦本研究室 修士課程1年

ありえない未来を考えることで本質を見出す

-よろしくお願いします。早速ですが、本制作展のテーマである「FAKE FUTURE」とはどういう意味なのでしょうか?

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まず、情報系の人たちが作っている最先端のものを一般の人たちが目にする機会って実は少ないんですよね。
この前あったデジタルコンテンツエキスポとかは参考になるとは思うんだけど、最先端の技術はものすごいスピードで進んでいる。

専門とする人はその進歩の勢いを肌で感じられる一方、そういった技術に疎い人がその技術の恩恵を受けるタイミングはずっと遅れてからになってしまう。
たとえば、「AR/VR、シンギュラリティ、ディープラーニングというような技術がどういうもので、世界がどう変わっていくのか」ということは、その人たちにはなかなか伝わらない。

制作展は、技術そのものや概念にフォーカスしています。
「それらの技術や概念が、ものすごい極端に進歩した未来はこう変わる」という「スペキュラティブな世界観」を提示するのが今回の制作展のコンセプトである「FAKE FUTURE」なんですね。

でも、難しく考える必要はないと思います。
人間がよくやることじゃないですか。「極端な例を引き合いに出して、わかりやすくする」ということは。
「FAKE FUTURE」は、科学技術や概念といったものに対してそのフォーマットを適用してわかりやすく伝える、っていう単純なことだと思います。

 

-ありがとうございます。「技術」と「概念」について極端な例を考える、とおっしゃいましたが、具体的にどういうことを今回の制作展では考えているんでしょうか?

例えば、「概念」に比重を置いているものとしては、「タワシと人が子供を生んだら?」という『OH MY BABY』という作品があります。

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『OH MY BABY』キャプション画(公式HPより)

無機物にも人工知能が搭載されるようになって、意識を持つようになったとする。そしたら、意識を持つ人間と無機物の間で恋愛するようになる。そして、恋愛の先にはきっと赤ちゃんが生まれるだろう。
そして、極端な例として、「人とタワシで恋愛が進んで、そして子供が生まれれば、その赤ちゃんはどういう形をしているか」というのをストーリーボードと赤ちゃんの実体として表現する、というものです。

タワシと人の間に子供が生まれるということは普通に考えたらありえない。
でも、「無機物と恋をすること」はちょっとありそうだと思えてしまう。実際に「クリューバー・ビューシー症候群」という名前もつけられていて、例えば、エッフェル搭に恋をしてしまった女性だったり、ジェットコースターに恋をした人とかがいます。

「タワシと人の間に子供が生まれる」なんて、一見ありえない未来だけど、そのありえない未来にこそ、恋愛することや赤ちゃんをつくることの本質が見えてくるんじゃないか。
「ありえない未来を考えることで本質を見出す」ということは展示会の大きなコンセプトにもなっています。

 

-なるほど。制作展の全体像が掴めてきたような気がします。最後に、制作展の主な来場者は主に情報系・デザイン系の人たちで、例えば他の専門の人や文系の人は参加しづらさもあるかもしれないと思ったのですが・・・

情報系の人たちが制作展に興味を持つことは、もちろんありがたいけれど、言ってしまえば、その人たちは僕らが一番接しやすい人たちだと思うんです。
つまり、僕らとその人たちはハイコンテクスト集団であって、色んなフォーマットを共有していて進んだ議論ができる一方で、三段飛ばしくらいのところから話が始まる。
そしてその飛ばした部分は往々にして忘れがちだと思うんです。それによって全く専門外の人に伝えようと思っても、伝わらないことに悩んでしまうことがある。

だから、今回は、とにかく色んな人に来て欲しいいろんなベクトルのフィードバックが返ってくる方が面白い、と思います。
来づらい位置にある展示会かもしれないけど、とにかくいろんな人に来て欲しいですね。

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「制作展 EXTRA 2016」の展示風景

制作展 EXTRA 2016 作品紹介

実は制作展は、一年間に夏と冬の2回開催されています。7月に開催された東京大学制作展 Extra 2016は冬の本番への序章として位置付けられ、「補序線」をテーマとして開催されました。ここからは、そこで展示された作品からピックアップしてコンセプト文とともにご紹介したいと思います。

・READY TO CRAWL

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通常、機械は複数の部品を組み立てることで完成する。
しかし、3Dプリンタでは、異なる部品であっても、初めから連結した状態で一体成形することが可能である。
「READY TO CRAWL」は、動力源のモーターを除いた、機構からフレームに至る全部品を3Dプリンタで一体成形することで、生物のように完成された状態で生まれ るロボットを目指した。
独自の機構を軸に、様々な歩行様式のロボットを展開し「生物らしい動きとは何か」を探る。

・一回音楽

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レコードやカセットテープ以降、音楽は何回でも再生できるものになりました。
もし、一度再生した音楽メディアが二度と再生できないとしたら、人はどう音楽に向き合うのでしょうか。
鉛筆削りをモチーフに「音楽とは何か」を考えました。

・ふぁぼらせったー

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Twitterの「ふぁぼ」の重みを感じたことはありますか?
親友からの何気ない「ふぁぼ」、少し疎遠な知り合いからの意味深な「ふぁぼ」、赤の他人から差し出された謎の「ふぁぼ」。

タイムラインに流れていく「ふぁぼ」に物理的なカタチを与えました。
積み上がったハートは、さながらネット時代の千羽鶴。
あなたはどのような重みを感じるでしょうか?

・Love Dream 歯ppiness

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電磁石により、咀嚼がシンクロする世の中。
「人」と「人」との咀嚼がシンクロするとどうなるのか。
今回の展示は、そんな未来への補助線です。

「もの」の口と「もの」の口との咀嚼がシンクロします。
そして「人」と「もの」の口との咀嚼がシンクロします。

咀嚼がシンクロした状態で、食事をするとどうなるのか?
アイドルと「握手会」ではなく「咀嚼会」をする世界へむけて、補助線を伸ばします。
Love Dream 歯ppiness!

 

紹介しきれなかった作品については、こちらをご覧ください。

 

各作品の描く未来が“ありえる”か、それとも“ありえない”か。ぜひ、会場まで足を運んで、あなたの目で判断してみてください。

イベントの概要

名称:第18回 東京大学制作展 「FAKE FUTURE」

日時:2016年11月17日(木)〜11月21日(月)  11-20時 入場無料

場所:東京大学本郷キャンパス工学部2号館
   2階 展示室・フォーラム+9階 92B(予定)

主催:東京大学大学院 情報学環・学際情報学府

問い合わせ:seisakuten[at]gmail.com

電車でのアクセス:
 東京メトロ南北線 東大前駅より徒歩9分
 東京メトロ千代田線 根津駅より徒歩8分 
 東京メトロ丸ノ内線 / 都営大江戸線 本郷三丁目駅より徒歩17分

Webサイト:http://www.iiiexhibition.com/

Twitter:https://twitter.com/iiiEx

Facebook:https://www.facebook.com/iiiexhibition/

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ABOUTこの記事をかいた人

高田一輝

ギターとペンライトの両刀使い。秋葉原でアーバンチルする、シティボーイになりたいアイドルオタクです。

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