いまこそ障碍の本質を問おう。凄惨さはすぐに忘れてしまうから。津久井やまゆり園の事件を受けて、脳性まひの東大准教授・熊谷先生を訪ねる。【前編】

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いまこそ障碍の本質を問おう。

 あなたは社会から忘れられつつある、あの事件を覚えているか。
 戦後史上最悪とも言われ、「障害者」19名が一夜にして殺傷された事件を。

 あの日、起きたことの影響に、あなたは気づいているだろうか。
 この国、この世界に広まりつつある恐怖と嫌悪が、人々の平和を破壊することを。

 いま、あなたはあの事件に背を向けられないことを、理解しているだろうか。
 凄惨な暴力の「当事者」が置かれた状況に、あなたも決して無関係ではないことを。

インタビューの趣旨
 2016年8月6日、東大駒場第2キャンパス・先端研にて、「『津久井やまゆり園』で亡くなった方たちを追悼する集会」が行われた。そこには自ら脳性まひを持ち、当事者として障碍研究に取り組んできた熊谷准教授らの呼びかけで約200名の人々が集った。そこでは世界中から寄せられたメッセージが読み上がられ、さながら私たちの進むべき先を確認し合うようであった。

 この集会には東大の学生も多く出席しており、筆者もその一人である。事件の深刻さを理解できても、身近さを感じることができていなかったため、なんとなく当事者の世界を覗き、よく理解するきっかけとしようと思い参加した。

 そして今回、たまたま機会があって、熊谷先生のもとへとインタビューに行くことができた。

 この記事は、その記録であり、インタビューを通じた私たちの体験そのものである。
 私はこの記事を、私たちがこの事件とは無縁でないという認識に、読者と共にたどり着くことを目指して書く。事件に対する人々の反応をなぞるところから始め、私たちと障碍の関係性を追いかける。私たちが置かれつつある状況の本質へと、道を開こうと思う。

 どのように向き合うべきかわからないうちに、忘れてしまうこと。これだけは避けていきたいと思い、私たちはこのインタビューを実行した。この体験を皆さんと共有することで、事件と私たちの間に橋を架け、私たちの希望を見つけることをしたい

 いまこそ障碍の本質を問おうこの事件を思い出し、その衝撃を受け止めることを通じて。

 
☞学生証
  1. お名前:熊谷晋一郎さん
  2. 所属:東京大学先端科学技術研究センター准教授
  3. 進路:仮死状態で生まれ脳性まひの持ち主にして、東大理一に現役合格。初めは数学科志望であったが、進振りで医学部に進学。医師として障碍研究に励み、現在先端研准教授。
  4. ご本人の遍歴については、こちらのインタビューを参考にされたい。

事件は私たちの中にある優生思想を暴いた。

 さて、インタビューに入る前に「津久井やまゆり園」で起きた事件がどのようなものであったか、振り返ろう。 

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