いまこそ障碍の本質を問おう。
あなたは社会から忘れられつつある、あの事件を覚えているか。
戦後史上最悪とも言われ、「障害者」19名が一夜にして殺傷された事件を。
あの日、起きたことの影響に、あなたは気づいているだろうか。
この国、この世界に広まりつつある恐怖と嫌悪が、人々の平和を破壊することを。
いま、あなたはあの事件に背を向けられないことを、理解しているだろうか。
凄惨な暴力の「当事者」が置かれた状況に、あなたも決して無関係ではないことを。
インタビューの趣旨 この集会には東大の学生も多く出席しており、筆者もその一人である。事件の深刻さを理解できても、身近さを感じることができていなかったため、なんとなく当事者の世界を覗き、よく理解するきっかけとしようと思い参加した。 そして今回、たまたま機会があって、熊谷先生のもとへとインタビューに行くことができた。 この記事は、その記録であり、インタビューを通じた私たちの体験そのものである。 どのように向き合うべきかわからないうちに、忘れてしまうこと。これだけは避けていきたいと思い、私たちはこのインタビューを実行した。この体験を皆さんと共有することで、事件と私たちの間に橋を架け、私たちの希望を見つけることをしたい。 いまこそ障碍の本質を問おう。この事件を思い出し、その衝撃を受け止めることを通じて。 |
- お名前:熊谷晋一郎さん
- 所属:東京大学先端科学技術研究センター准教授
- 進路:仮死状態で生まれ脳性まひの持ち主にして、東大理一に現役合格。初めは数学科志望であったが、進振りで医学部に進学。医師として障碍研究に励み、現在先端研准教授。
- ご本人の遍歴については、こちらのインタビューを参考にされたい。
事件は私たちの中にある優生思想を暴いた。
さて、インタビューに入る前に「津久井やまゆり園」で起きた事件がどのようなものであったか、振り返ろう。