CGクリエイター・河口教授に聞く 新しい時代のマンガとデジタルコンテンツ

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教授プロフィール

  1. お名前:河口洋一郎 教授
  2. ご所属:東京大学大学院工学系研究科教授、2000年より東京大学大学院情報学環教授。

 

「赤塚不二夫生誕80年企画 バカ田大学」 という次世代メディアクリエイターを養成する連続講義が東大で行われるというウワサを聞いて、第1回の講師を務める、CGアーティストとしても著名な情報学環の河口教授にお話を伺ってきました。

 

研究室の入り口からして、アーティスティック。

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なにか・・・得体の知れないものがあります!

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歴史を重んじながら、未来を作る

―今日はよろしくお願いします。まずは今回の「バカ田大学」での講義について概要を教えてください。

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基本的にはこれからの時代のメディアクリエイターに向けて、いかにして未来を作っていくかというテーマで各界の著名な方々が講義を行うイベントです。そこで、やはり奇想天外なジョークの分かるクリエイターということで、日本を代表する漫画家である赤塚先生の名前を冠してやらせていただいています。

 

私の研究の一貫したテーマは「歴史を重んじながら未来を作る、そのために先端技術を用いる」ということです。今回の私の講義では自分の専門であるCGの分野から、新しい時代のデジタルコンテンツについて切り込んでいきたいと考えています。

 

新たな形態を生み出して世界で勝負すること

―新しい時代のデジタルコンテンツというと、具体的にはどのようなものになるのでしょうか?

 

例えば漫画というコンテンツを例にとってみると、近年急激にその形態に変化が起こっていますね。昔は紙の媒体で読むのが当たり前でしたが、現代ではスマホとかパソコンといったデジタル媒体で漫画を楽しむ人が増えています。

 

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今まで日本は漫画やアニメを世界に誇る自分たちのコンテンツとして掲げてきました。しかしこのような流れの中で今後もその地位を維持していくためには、コンテンツの中身だけでなく、「それを伝えるメディア自体」を新しく生み出して世界に発信していくことが必要でしょう。

 

例えば、人口13億人の中国と1億人の日本では、自国で新しいキャラクターが生まれたときのシェアが全く違いますよね。このように、コンテンツの中身だけで世界と勝負していくには限界があるのです。やはり技術というものを絡めて、新しい形態を生み出していかないと勝負できません。発想・アイデアだけではすぐに真似されてしまいますからね。だから、「未来を作るために先端技術を用いる」必要があるのです。

 

―それは例えば、スマホの画面上で読む漫画の中でイラストが動いたり音が出たりといったことなどでしょうか?

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そうですね。そういったことになれば面白そうですよね。後は例えば、バーチャル世界そのものを鑑賞するっていう形態だってあり得ると思います。

 

例えば『ドラえもん』の映画などはCGでリメイクされたりしています。こうした映画の制作では、まずドラえもんの住む街そのものがすべてCGで作られている。そしてそこに、ドラえもんをはじめとした登場人物たちが配置される。これがあるアングルから切り取られて、映画になっているのです。

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転載元:http://natalie.mu/eiga/news/158361

つまりやろうと思えば、鑑賞する人が自由なアングルから物語を鑑賞することだってできるかもしれません。ドラえもんが話しているときに彼の背中側から眺めたり、もしくは雲の上から眺めたり、そんなことが出来たら面白いと思いませんか?(笑)

 

―それはたしかに面白そうです!

 

そうなると漫画とかアニメといったものの概念自体が変わってくることになると思いますね。いずれにしても、メディア自体を新しくしていくことが必要だと思います。

 

日本の文化が海外から評価された例として江戸時代の浮世絵が挙げられますが、あれは北斎や広重といった巨匠だけでなく、独自の版画技術を生み出した刷り師たちがいてはじめて成立したわけです。このようにコンテンツというのは、その中身を作る人間とそれを伝えるメディアを作る人間の両方によって支えられています

 

そしてメディアを作るという面では東大は日本の中で学びの場として面白いはずです。今回のこの「バカ田大学」という一連の講義が東大で行われることにはこうした意味があると考えています。なのでぜひ理系の学生にもたくさん来てもらえたらうれしいですね

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ABOUTこの記事をかいた人

murata

文学部美学芸術学3年。ポップカルチャー全般。

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