【各分野の東大生が結集】話題沸騰中の映画『ズートピア』を語り尽くす会

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映画『ズートピア』。小さな子供でも楽しめるディズニー映画でありながら、差別問題などをテーマに据えたその奥深い魅力に、多くの人がはまり込んで話題となっています。僕(村田)の周りでもTwitterやFacebookなどで絶賛する声が非常に多いです。

これはもしかするとファンを集めて座談会でも開いたらなかなか興味深いことになるかも……というわけで、6人の東大生が集まり、『ズートピア』レビュー会を開催しました! 

映画、動物、英語専門、お笑いなど一見興味や関心がバラバラな、キャラの強い参加者たち。この6人は『ズートピア』から一体どんなテーマを引き出していくのでしょうか。

超ざっくり・あらすじ紹介

と、本文に入る前に、ズートピアを知らない方のためにごく簡単にあらすじを紹介しましょう。

動物たちが高度な文明社会を築いた世界「ズートピア」を舞台に、ウサギの女の子ジュディが夢をかなえるために奮闘する姿を描いたディズニーアニメーション。監督は「塔の上のラプンツェル」のバイロン・ハワードと「シュガー・ラッシュ」のリッチ・ムーア。どんな動物も快適な暮らしができる環境が整えられた世界。各々の動物たちには決められた役割があり、農場でニンジン作りに従事するのがウサギの務めだったが、ウサギの女の子ジュディは、サイやゾウ、カバといった大きくて強い動物だけがなれる警察官に憧れていた。警察学校をトップの成績で卒業し、史上初のウサギの警察官として希望に胸を膨らませて大都会ズートピアにやってきたジュディだったが、スイギュウの署長ボゴは、そんなジュディの能力を認めてくれない。なんとかして認められようと奮闘するジュディは、キツネの詐欺師ニックと出会い、ひょんなことからニックとともにカワウソの行方不明事件を追うことになるのだが……。(映画.com(http://eiga.com/movie/81260/)より引用)

はい、大体こんな感じのお話ですね。ちなみにいわゆる「ネタバレ」的な内容はありませんが、「これから観に行くつもりだから極力ストーリーは知りたくない……!」という方は映画を鑑賞後に記事を読んでいただくか、自己責任でお願いいたします!

参加者紹介

ファイル_000 村田:ファシリテーター。音楽や映画が好き。

ファイル_005 杉山:すぎ山食堂店長。お笑いが好き。

13414671_1037612012996170_1364509495_n B太郎:文化人類学専攻。

13400957_820945034702906_322879310_n SCQIC:大の映画好き。

13383618_128609757559869_775789080_o 一富士:獣医学専攻。

13401267_10209357451076830_174885085_n アリス:英米文学専攻。

『ズートピア』の何がすごいのか

ファイル_000村田「皆さん、本日はお集まりいただきありがとうございます!とりあえずまず手始めに、『ズートピア』のここが良かった!という部分について、何人かにお話していただいてもいいでしょうか。」

 

13383618_128609757559869_775789080_o一富士「はい、よろしくお願いします。まず自分の場合は動物が大好きなんです。でも動物が出てくる映画ってどうしても子供向けの作品が多いというか、ストーリーがすごい!みたいな作品はあんまりなくて。

今回も予告編の段階ではそういうタイプの映画なのかなと思っていたんですけど、実際に観てみてもうこれはすごいなと思いました。普通だったらここで終わるだろうなというところから、さらにストーリーが展開していくじゃないですか。そこにとても魅力を感じましたね。」

 

ファイル_000村田「動物好きというところから『ズートピア』にハマった方もいるんですね。Twitterでも募集をかけた甲斐がありました。(今回一富士さんとアリスさんは参加者募集のツイートを見て連絡を下さりました!)アリスさんはどうでしょうか。」

 

13401267_10209357451076830_174885085_nアリス「私はやっぱりこの作品のテーマというか、差別とか人種問題への切り込み方がすごく面白いなと思いました。ナマケモノや狼のシーンはすごく面白いですし笑ってしまいますけど、よく考えればこれはステレオタイプ的な笑いですよね。一歩間違えれば差別になってしまうものだと思います。

でもそこでそういう種の違いに対して見て見ぬふりをするのではなくて、それくらいのジョークは笑えるといいよねというような、違いを認識しあった上で楽しくやろうよというメッセージが込められているのかなと思ったんです。そこが好きでしたね。」

 

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村田「なるほど。この作品が差別問題についてどう切り込んでいるかについては後でまた詳しく扱いたいですね。SCQICさんはどうでしょうか。」

 

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SCQIC「自分はこの映画がすごいなと思う点が二つあって、一つ目はこういった差別みたいなシリアスなテーマをエンターテイメントにまで昇華できるハリウッドはやっぱりすごいなということです。こういうことが出来るのは世界的に見てもハリウッドだけなんですよね。これはそれこそチャップリンの『モダンタイムズ』の時代から言えることだと思います。

これが日本とかだとなかなかこうはならなくて、社会的なテーマを扱った映画はありますけど、そういった映画はアート寄りの作品だったり所謂社会派と呼ばれるような作品だったりしますよね。でも『ズートピア』はそういう狭い範囲だけをターゲットにした映画じゃない。いい意味で最高の娯楽映画ですよね。これはやっぱりハリウッド恐るべしだなと。

もう一つはこの映画がSNSによって人気が加速した面があると思うところです。実は公開1週目は週間ランキングで首位を逃しているんですが、その後は順調に動員数を伸ばして以降ずっと首位をキープしてるんですね。多分これはSNSを介した口コミで広まった部分が大きかったと思うんですね。Twtterでもハッシュタグが広まってたりしてて(笑)。

ヴァイラルマーケティングの力ってやっぱりすごいなと思いました。いい映画をたくさんの人に観てもらいたいという思いが僕の中にはあるんですけど、ちゃんといい映画が広まってるんだなって、なんか嬉しくなりましたよね。」

 

ファイル_000村田「そうだったのですね。ネットと映画の関係で言えば、去年『セッション』という映画についてジャズミュージシャンで文筆家の菊地成孔さんが公開前にブログで酷評して議論を呼んだことがありました。

同じようなことがSNSで起こったときに映画にマイナスの影響を及ぼす可能性もあるのかなと思っていたんですが、今回はSNSがプラスの影響を及ぼしたということですね。」

『ズートピア』におけるステレオタイプをどう捉えるのか

13383618_128609757559869_775789080_o一富士「先ほど差別への切り込み方という話題が出ましたが、僕ははじめ映画を観終わったとき、「これって本当に解決になってるのか??」とも思ってしまったんです。結局ジュディの周りの人間関係しか描いていなくて、根本的に差別や偏見がなくなった訳ではないじゃないかと。

ただ何回も観るうちに、それが逆にこの映画の核なのかなと思うようになりました。やっぱり差別とか偏見を完全になくすことは難しい。種と種の間の違いというのは絶対ある訳で。でも、先ほどアリスさんも言っていましたが、そういう違いを認識した上できっと仲良くやれるはずだというのがこの映画のテーマなのかなと思いました。だからこそ、個別の話を一つきちんととりあげるという描き方が一番ふさわしかったのかなと。」

 

13400957_820945034702906_322879310_nSCQIC「とても大きな論点だよね。最近日本でもLGBTに関する議論が話題になることが多いけど、カミングアウトしないでもいい社会を目指すべきなのか、カミングアウトしてもそれを認め合った上で生きていける社会を目指すべきなのかというのは立場が分かれるところだと思います。この作品ではそこは敢えて観る人に解釈の余地を残すような作りになっているような。」

 

13414671_1037612012996170_1364509495_nB太郎「僕もそこはすごく面白いところだなと感じてました。加えて一つ思ったのは、ナマケモノや狼のシーンでジュディたちは苛立ったりはしても笑いはしないじゃないですか。」

 

13401267_10209357451076830_174885085_nアリス「あ、たしかに。笑うのは私たち観客なんですね。」

 

13414671_1037612012996170_1364509495_nB太郎「そうそう。結局あれをジョークとして楽しんでるのは、映画の外の世界にいる僕らなんだよね。それでこれは、映画の中の動物たちに対して僕らがある意味超越した立場にいるからなのかなって。実際人間だけがズートピアの世界に出てこないもんね。ポップコーン食べながら劇場で楽しく映画を観ている僕らだからこそ、ジョークに出来るのかなとは思いましたね。」

 

ファイル_000村田「たしかにそうかもしれませんね。

ちょっと話は変わりますが、獣医学科の一富士さんから見て、ズートピアに出てくる動物ネタの中でいやこれは全然実態と違うよみたいなことってありましたか?(笑)」

 

13383618_128609757559869_775789080_o一富士「うーん、そもそもズートピアには犬や猫のようなヒトに身近な動物は描かれていませんし、他の生き物については僕はこれまでディズニーが継続して作りあげてきた『その生き物のイメージ』を受容し続けてきたところがありますから、観ていて違和感は感じませんでした。

でも狐がずる賢いという話は寓話でしか見ないし、狼の遠吠えもあそこまで連鎖することはないと思いますけど(笑)

 

13400957_820945034702906_322879310_nSCQIC「あのシーンとかも狼ネタを用いつつそれを効果的に展開に組み込んでるあたり、やっぱストーリーの巧みさはすごいよね。」

 

ファイル_005杉山「あのシーンとかすごく面白いし、ステレオタイプ的な笑いだからといって、『笑っちゃダメ!』とか言うのは変だよね。作り手は一生懸命笑わせに来てるんだから。

違いに接するときの態度として、違いから目を背けるか、違いを侮蔑するかしかない訳じゃない。その間にあるちょうどいい態度のひとつが、いい意味で違いを面白がる』ことなんじゃないかな。愛のあるいじりができれば一番いいよね。」

13400957_820945034702906_322879310_nSCQIC「たしかに『ズートピア』でも、狼とかナマケモノのネタみたいに笑える楽しい形でステレオタイプが描かれている一方で、後半の肉食動物に対する迫害などでは行き過ぎた形のステレオタイプも描かれているよね。」

 

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村田「もしかしたらそれは『ズートピア』からの提示なのかもしれませんね。楽しいジョークにもなれば憎み合いの種にもなっちゃうものなんだということなのかもしれません。」

 

杉山「よファイル_005く言われる話だけど、やっぱり「いじり」と「いじめ」の違いというのはあるよね。俺は失敗した「いじり」が「いじめ」なんだと思ってる。「いじる」側の人には、愛を持って、相手が「おいしい」と思えるように上手にやる責任があるんじゃないかなと。」

 

13414671_1037612012996170_1364509495_nB太郎「そう考えると今回はいじる側の人は誰なんだろう。失敗しているいじり、つまりいじめになってるようないじりはあるのかな。」

 

ファイル_000村田「そこはさきほどB太郎さんの発言にもあったように、やっぱり僕らはあくまでも人間視点からしか観れないから分からないのかもしれませんね。もしナマケモノたちが僕らと同じような発言権を持ってたら抗議をされてしまったりするのかもしれません。」

 

次ページ:「ズートピアみたいに誰でも何にでもなれる世の中って、本当に理想なのかな?」

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ABOUTこの記事をかいた人

murata

文学部美学芸術学3年。ポップカルチャー全般。

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